映画「Eureka」デジタル・マスター完全版
鳥のさえずり、ラジオの音、学校のチャイム、踏切のカンカン、ホワイトノイズ、歓声、管を通り抜ける風、ノック、咳、聞こえないセリフ。
わたしたちは虫の音の種類で季節を理解し、エンジン音の加減で感情を受け止めていた。
そこに足りないものだけが、いわゆる音楽として足される。
音楽とSEの境界線は存在しない。
色のない映像、耳が拾う音の色彩は、ほんのわずかなものでさえも鮮明にインプットされる。
音楽とは何か。
これほど深く考えさせられるおそろしい作品に出会ってしまった。
ウィキペディアには「映画監督とは、映画の映像制作・演出面を統括する責任者のこと」とある。
もし「演出面」も統括するならば、映像制作に限らないはずではないのか。
青山真治。
監督、脚本、音楽を統括する人。
こんなすごい人が、この世界にいないこと。
悲しくてならない。