気になるTower
なぜあの日、そこへ向かったのか。
そのことを検証したくて文章を書くことにします。
そこは透明な庭の「Tower」を作曲するきっかけになった成城学園カフェ・ブールマンの店主、吉岡さんの写真の撮影場所。
我々にとっては聖地です。
Towerのある場所は知っていて、すぐそばをしょっちゅう通っていることもわかっていたはずなのに、陽が落ちそうな危うい時間帯、この日はなぜか無意識のうちに向かっていました。
川縁の道を進みながら、この辺かなとその方向に目をやると目的地の多摩川住宅棟が見えてきました。
その景色の中には、あのTowerがあって、ライトアップされた満開の桜の向こうに見えたTowerは、まるで待ってたよと手を振ってるみたいに見えた。
早く会いたい気持ちと、陽が暮れる中の不穏な気持ちの中、その角を曲がるとTowerが聳え立っていた。
ちょっと離れたところに車を止めて、写真を撮る。
陽が暮れていく中、ここはもっと暗く見える。
周りの住宅棟は封鎖されていて、囲いの中の建物はまるで骸骨のよう。
ちょっと怖くなっていたけれど、できるだけそばまで行こう、せめて吉岡さんが撮影されたポイントまでは..。
圧倒的なそびえ方。
何かを言っている形相。
聞き取りたいのに怖ろしくて、もう、それ以上はどうしても近づけない。
給水塔をたくさん見てきたはずなのに、ひどい状況のものだって知っているはずなのに。
Towerに呼ばれた。
あなたのことはずっとのポケットに入れた。