七つの月2023×高橋美千子「あの月を眺めて君を思う されど月には呑まれまい」
七つの月は、shezooが7人の歌手と七日間ライブを行うライブイベントで、2019年から毎年(コロナで直前に中止となった2020年を除く)横濱エアジンで開催されています。
ここでは、毎年7人の歌手から自作の詩や歌ってみたい詩を提案してもらい、そこにshezooが新曲を作り7人の歌手に歌っていただいてきました。
そして今年2023。
サブタイトル「どうしても自分が音を描きたい7人の詩人の詩をどうしても歌ってほしい7人の歌手に歌ってもらう」にあるように、今回はshezooがこの歌手にはこの詩を歌ってほしいという詩を選び、作曲をするという、超絶わがままな内容となっています。
その第一夜にはパリを拠点として世界で活躍するソプラノの高橋美千子さんが七つの月に初登場します。
美千子さんとはデュオユニットEternal flameでもご一緒していますが、今回は世界一美しいサックスを奏でる加藤里志さんを交えた最強トリオでお送りすることになりました。
かなりの曲が作ったはいいけれど、七つの月一夜限りの演奏で終わってしまい、再演されることが少ない新曲群でありながら、美千子さんは他の歌手に作った曲にもかかわらず、多くの作品を取り上げて歌ってくださっています。
その美千子さんへの新曲は
中原中也の「骨」
ホラホラ、これが僕の骨だ、
生きていた時の苦労にみちた
あのけがらわしい肉を破って、
しらじらと雨に洗われ、
ヌックと出た、骨の尖(さき)。
それは光沢もない、
ただいたずらにしらじらと、
雨を吸収する、
風に吹かれる、
幾分(いくぶん)空を反映する。
生きていた時に、
これが食堂の雑踏(ざっとう)の中に、
坐(すわ)っていたこともある、
みつばのおしたしを食ったこともある、
と思えばなんとも可笑(おか)しい。
ホラホラ、これが僕の骨――
見ているのは僕? 可笑しなことだ。
霊魂はあとに残って、
また骨の処(ところ)にやって来て、
見ているのかしら?
故郷(ふるさと)の小川のへりに、
半(なか)ばは枯れた草に立って、
見ているのは、――僕?
恰度(ちょうど)立札ほどの高さに、
骨はしらじらととんがっている。
——
これがどんな音になるのか。
それを高橋美千子がどう歌うのか。
加藤里志がどうアプローチするのか。
どうぞお楽しみに。
🌒七つの月2023第一夜
8月20日(日)「あの月を眺めて君を思う されど月には呑まれまい」
出演:高橋美千子(soprano)+加藤里志(sax)+shezoo(p)
時間:open 18:00 / start18:30
料金:予約店内ライブ ¥4,000+1drink(配信付き)
予約問合:045-641-9191 http://www.airegin.yokohama/contact.html
配信チケット:¥2000(3週間見放題)
https://umemotomusica.stores.jp/items/64d8461726021602486d83dd