「女神と小熊」by kian
透明な庭2ndアルバム「Moon night parade」の中で収録されている「熊、タマホコリの森に迷い込む」は、アーティストkianの作品「Deep forest」にインスパイアされて作曲した楽曲です。
その曲からさらにスピンオフとして生まれたこの「女神と小熊」。
小熊を慈しみ愛を与える女神と、女神を母親のように慕う小熊を粘菌たちが見守っています。
そしてこの楽曲はこの「女神と小熊」も取り込み、多重構造となって新たな命を与えられました。
「deep forest」地の女神の話
夫神から 地の底を司るよう命じられた
子宮を持たない女神は
光の届かぬ岩のゴツゴツした場所で
小さな地虫の光るのを慰みに
ひっそりと生きてました。
ある日
母熊とはぐれて飢えた子熊が迷い込んできたので
女神は使い物にならない卵巣を自らの身体から取り出し
与えました。
それを知った夫神は たいそう怒り
「摂理に反する 本当にお前は役立たずだ」と
陽の光で造られた大剣をかざし
女神を罵りました。
女神は何も言わず
ただ 夫である男神を じっと見つめました。
じっと見つめたまま 大剣で真っ二つに割られ
地の底に棄てられました。
地に棄てられた女神の遺体を
地虫が喰い
さらに大きな虫が喰い
その虫を鼠が喰い
鼠を獣が喰い
獣を熊が 哭きながら
喰いました。
大きくなった熊は
大きな爪で
地の底に 光が届くように
岩を割きました。
地虫たちの為に暗闇を残したままで。
女神の亡骸に
柔らかな光が届きました。
光が届くと 緑が芽吹き
鳥や虫が種を運び
地の底に小さな森が出来ました。
夫神は苛立ちましたが
大きな熊が咆哮するので
恐れて 近寄れませんでした。
女神の卵巣を食べた熊は
永遠に死と誕生を繰り返し
その豊かで美しい小さな森を守っているといいます。
kian
「Moon night parade」レコ発ライブ、ツアーは9/3から始まります。
全曲トレイラー