六ツ獄恋いろは 誘鳴スゥ√の感想
オタクとして生きてきて早17年ほど。初めてやった乙女ゲームはテニスの王子様の「学園祭の王子様」だったか「緋色の欠片」だったか覚えていませんが長らく乙女ゲームをやったりやらなかったりする人生を送ってきました。
この度、8年前からお世話になっているハッピーエレメンツさんがスマホアプリの乙女ゲームをリリースされました。おめでとうございます。いつもよくみている好きな絵柄そのままの立ち絵がとってもありがたかったです。
無課金でも進められるすごい優しい仕様でしたが、そもそもルート買い切りで500円未満って安すぎない、、?課金要素少なすぎない?いつもと違くない?どしたん?大丈夫?と不安になりましたので誘鳴スゥくんのルートを購入させていただきました。
結果としまして、買って大正解、後悔なし!ストーリーもさくさく読めるし立ち絵、スチル、BGMすごいよかったです!安すぎ!ただ、ストーリーのボリュームとしてはやっぱりお値段以上とはいかなかったかな、もう少し序盤の信頼度を上げていくところの絡みのエピソードが欲しかったです!でも今まで乙女ゲームに触れてこなかったライト層を乙女ゲームに取り込む最初のステップとしてはあれくらいのボリュームが一番とっかかりやすくていいのかもしれない!余計な説明やもだもだはなく、シンプルに乙女ゲームのいいところが詰まっていたと思います!
以下ネタバレとお気持ち!
スゥくん、ちょ〜〜〜〜かわいいねえ〜いいこだねえ〜〜〜よしよししてあげようねえ〜〜〜ってなる良いストでした。こんなに若くて小さくて一見非力に見える子にこんなに負担をかけさせて大人たち何してるの?人不足すぎない?治安警備は学校をサボらせてまでやることなんですか?と言いたくなる設定もりもりではあったけど、家の仕事を大事にする信念と誇りを持ったスゥくんの姿が美しかったよ、、幸せになって、、。
執着するものがあると闇落ちするから幼い頃から物にも人にも何にも執着せずに一線を引いてただ強くあること、鍛錬をすること、に全振りしてきたスゥくんが、主人公と関わることで執着を覚えて、守りたいものができて、今までと違う生き方を見つけてその生き方を貫くために努力をしていくストーリーの流れはめちゃくちゃに良かった。
ただ、やっぱりストーリーのボリュームがなさすぎて主人公が「同じ方向を見てくれる」「自分の考えに賛同してくれる」ところからスゥくんが恋に落ちていくのは些か安直すぎというかえ?そんなことで???ほんとに?と肩透かしを食らった感じはある。
リリース前のツンとしたクールなビジュアルと「俺はどちらでもかまわない。君が使い物になっても、ならなくても。」の台詞からこれは〜!どうやって主人公に興味を持つようになるか見ものですなあ〜〜!とくっつくまでのもだもだ好きなわたしは楽しみにしていたわけですが、すごいあっけなく主人公に惹かれていくのでびっくりしてしまった。序盤の主人公の役立たずっぷりに呆れてる描写からの鍛錬を頑張る主人公への好感度が上がる感じはわかるんだけどもう少しエピソード欲しかったな〜!の気持ち。これはSwitchとかに移植された時にシナリオボリュームが増すことを祈ります。設定、ストーリーの流れ、キャラクター的に移植されても十分勝てる作品な気がしますので大期待!
あとはもっとハッピーエンドまでの壁が高くあって欲しかったな。主人公の身の上的にもっと誘鳴家のご当主たちに反対されるエピソードがありそうだったのにそこはめちゃくちゃにあっさりしていて、なんなら軽く応援モードだったのも肩透かし。夜叉丸先輩のあの忠告はなんだったんだ、、?夜叉丸先輩も謎ばかりでちょいちょい伏線みたいなのを挟んでくる割には回収はなかったので追加パックの実装ありますか???それか他のルートで回収あるのかな?
個人的にかなりいいな〜!と思ったところは、スゥくんが主人公とこれからも一緒に生きていくためには避けて通れないけれど今まで成し得たものはほとんどいないとされていた「調伏」という試練の描かれ方。最終的に半月では成し得ることはできなくて、それでも少し解決の糸口は見えていて、ここまでその試練を達成するためにスゥくんがめちゃくちゃ頑張った成果で最後の窮地を脱するっていう流れ、めちゃくちゃに等身大でよかった。ここでその大きな試練をたった半月で成し遂げて超スーパースゥくんになっていたら「あ〜〜さすがフィクションですわ〜〜」と少し没入感が減っていたように思う。ここで、「まだできてはいないけどでも君のおかげでわかってきたんだ」っていうこれからの二人の可能性とスゥくんの伸び代を感じさせる描き方、かなり好き〜!良すぎ〜!!
そこまでのスゥくんは大人びていて達観していて大人に混じって色んな任務をして、難しい術だって使えてなんだってできるみたいに描かれていたけど、ストーリーを読むにつれて、スゥくんだって等身大の年相応の男の子で、なんでも完璧にできるわけではなくて、壁にぶつかって、今その壁を越える途中です!っていうところを描いているのがね、とても良かったです。ここをご都合主義にパワーアップして無双して敵に勝つ!みたいな描き方されてたらかなり魅力半減だったように思う。あの飄々としていたスゥくんがぼろぼろになっても成し得ようとしている姿を描いてくれてるのがとても素敵〜!!好き!
あとは雨に濡れているスゥくんのエピソードの契約の流れは、スムーズすぎて正直また肩透かしではあったけど、シチュエーション、神か、、?と思った。任務に疲れて雨の中動けなくなっているところに偶然出会って支える流れ、王道こそが最高と改めて思い知らされた。スチルもめちゃくちゃ綺麗だった。柳の下で雨宿り、、?柳ってスカスカじゃない?雨宿りできるか、、?みたいなつっこみたくなる気持ちもあったし、プレゼントしたのに結局主人公がつけるんか〜い!立ち絵変わるかな?って期待しちゃったよ〜!などという肩透かしもあったけど王道こそがいいよね、すごく切なくて良いシーンだった。スゥくんにたくさんのプレゼントを贈りたい。
夢渡りのエピソードのところもかなりよかったです。急に現れた主人公に対して「ほんもの、、?」「ほんものだ、、」ってなるやつ、何回見ても良い。良すぎる。最高のシチュエーション。この展開が出てくる作品大好きなのでめちゃくちゃアガった。敵が自分の一番大切なものに化けたり見えたりする中で戦わなきゃいけないシーンってバトルものとかで出てきたりしますけど、「あいつはこんなんじゃない」ってバッサリ殺すのも「違うってわかっていてもあいつと同じ顔は殺せない、、」って戸惑ったり絶望したりするやつもどっちも大好き。まさか乙女ゲーム内で見れるとは思わずかなり嬉しかったです。
個人的には追加パックなりストーリー追加なりでスゥくんの両親のエピソード語られてほしい。誘鳴で最強だったスゥくんのお母さん、どうしていないの、、?途中まで父が執着を手放すために殺めたのかしらとか、息子と夫への執着で闇落ちして討伐されたのかしらとか考えてたけど、母最強エピが出てきてなんかどれも違う気がしてる。母に甘やかされなかった分主人公に自然に甘えまくるスゥくんはかなりかわいいけどなんかわたしはあなたのお母さんではないのよ、、?これは本当に恋ですか、、?母性を感じて「好き」な気がしているわけではないですよね、、?と不安になったりもした。でもほんとにこちら側も母性をくすぐられる可愛さなので全てはオッケーです。かなりよかったです。
ただ、スキンシップの描写がかなり多くてなんだか照れ臭かったです。あんなクールそうなスゥくんのルートでこんなにスキンシップ激しかったら、スチルでキスシーンある尊人先輩ルートはどうなっているんですかね、少し気恥ずかしくて読むか悩んでます。
あと夜叉丸先輩が本当にいちいちチクチク言葉を使うのが好みすぎるので早く夜叉丸先輩ルートも実装してほしいです。ずっとチクチクされたい。なんやかんやいいながら心配してくれて手を差し伸べてくれるところ好き!!!ツンデレルート大好き!待ってます!!!