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6月15日まとめ

 皆さんの夢は何部構成ですか。

 私はだいたい3~4部構成でシチュエーションも登場人物も目まぐるしく変わっていく脈絡皆無型です。ことがキレイに運ぶ夢なんて見たためしがない。たいがいの人が私と同じかと思っていたのですがそうでもないようです。高校の放送研究会に入っていた人はカメラワークやフレームの色指定あり、エンドロールまで流れる贅沢仕様の夢を見たことがあると語っていました。うらやましい反面、わりと心配にもなりましたがそのこはほんとうに優しくて常識人なので大丈夫だと信じてます。

 枕が余計でしたが、要は、6月15日も夢のように過ぎていってしまったという話です。

 この日は時間割が全休だったので、美容脱毛サロンの体験コースに行ってきました。電車の中づり広告とか見てると、体験価格はありえないくらい安くなってますよね。あらこんなに簡単に毛が滅ぼせるのね、と思っているところにちょうど体験チケットが届いたので渡りに船とばかり予約をしてみました。

 ※ここから先は筆者個人のおぼろげな記憶と意見で構成されています。効果を保証または貶めるものではないことをご理解したうえでお読みください。

 来店したらなんやココナッツオイルみたいな品の良い甘いかおりがしました。受付後、おかけになってお待ちしている間もふんわかした芳香が気になって、マスクの下で鼻腔を拡げて楽しんでました。その後担当者の方に個室に呼ばれ、ムダ毛や肌に関するカウンセリングを受けたんですが、「今回ケアしたい箇所はどちらになりますか?」「ワキ…です…かね」と返答してしまい、ナチュラルにアフラック櫻井翔と化しました。ネタにしてたつもりが緊張するとマジでこれが出る。

 その後の説明はもうあんまり覚えてません。先の失態で頭がいっぱいだったから、というわけでは全然なくて、普通に説明のテンポが速かった。許容速度の×1.4くらいでタブレットをスワイプされるうえ早口。「ああ、開始(はじ)まってるな」と思いました。こうやって頭を疲れさせて、判断力を削ごうとしているんだ。なによ、フン。負けないんだから! 途中途中で「女性だとほとんどの方がサロン脱毛をなさっているんですよね」だとか「当店でしか採用していない方法で…」だとかの発言に対し、わざとデカめにうなずくことで脳の活性化を図りました。

 さてカウンセリングを終えたらいよいよ個室に入ります。トップスを脱いで上はキャミソール一枚になり、ベッドに横になって天井を見つめていると隣からなにやら小刻みに音が漏れ聞こえてきます。急に不安感に襲われましたが、逃げ出す間もなく担当者が入ってきました。

 「では、失礼しますね」と光を当てられ、いわれるがままワキを見せつけるとお姉さんは目を見開いて言いました。

 「うわあ、これは…」

 ぶっ飛ばすぞ。なんなんだ! なんなんだ! 施術用に2,3ミリ伸ばしてきてください言うたやろが。この程度の濃さ、見慣れとるんとちゃうんか。そこに愛はあるんか。とベソかきかけましたが、よくよくその後の話を聞くと、自己処理がへたくそだったため肌状態が良くなかったので心配になっちゃったそうです。拡大スコープ的なのを肌にあてられてワキとそれ以外の肌のキメの違いを見せてもらったのですが、なるほど確かに…これは…案件でした。

 ただその、「人と違う」「よくない状態」という情報をこちらにいくつかよこすことで緊急性をアピールしようとしているのがうかがえる出来事でした。何を隠そう、この脱毛体験の裏テーマは、「カモってなあに」でした。毛の悩みは人に言いにくいからこそ、初めて体験するサロンで得た情報を鵜呑みにしかねない。私のような、軸のない、注意力散漫な人間は特に。一方で美容業界とは、ある意味で必ずだれかのコンプレックスに付け込まなくてはいけない立場だから大変だなとも思いました。サロンのお姉さんたちの飲み会とかどんなんでしょうね。

 今回は、体験料のほかにびた一文払ってたまるかというきり丸的な人格を降ろして挑んだため特に何を勧められてもホイホイ入会しませんでした。毛根と性根が図太くて良かった。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」で途中なにも信じられなくなりましたが、今振り返ってみると担当者の方は親切でした。

 施術を終え、ひりひりするワキを気にしながら店を後にしました。

 外に出るとなんだかんだお昼になっていたので、しばらく街をふらついてお店を探しました。道中、ひっさしぶりにキャッチに引っ掛かりました。しかも30秒以内に2人。一人目のキャッチ兄(にい)は併走しながら話しかけてきてたので8秒くらい気づかなくて、「サイサイッス…セーイ…」みたいなことを早口に言いながら手刀を切って角を曲がりました。するとそこに二人目のキャッチ兄が出現。「おねえさん、」「あ、そこ(背後)で、もう!」「あい、ス」これはほぼ原文ママのやり取りなんですがここだけ切り取るとスパイのやり取りみたいで面白いですね。キャッチ兄イフユーキャン。(これ言いたいだけかい)

 そっからコメダのサンドイッチに敗北したり、電気屋さんに立ち寄って少しグレードの高いオーテクのイヤホン買ってみたり、暑い中3000歩ちかく歩いて家まで帰ったり。そんな具合にケチなんだか不経済なんだかわからない散財をしながら脈絡のあんまりない一日を過ごしました。

 外出の回数が減ったからなのか、自由に出歩く機会をこさえた日は情報量が多いような錯覚をおこしています。それこそ今日はほんとうにいろんなことがあって、ふわふわと意識が定まらない4部構成の夢みたいでした。いまはあいにく手元にないですが、ココナッツオイルが手元にあったらまたサロンの夢を見てしまいそうなので、しばらく南国からは距離を置こうと思ってるところです。