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リサーチャーがデザインするようになって起きた変化

この記事は freee Designers Advent Calendarの16日目です。

こんにちは、freee株式会社でデザイナーをしているkouです。freeeでは人事労務プロダクトのリサーチ・デザインを担当しています。

このnoteでは、リサーチャーだった私がデザインもするようになって感じた変化について書いていきたいと思います。

リサーチャーとしてスタートしたキャリア

はじめに私の経歴をかんたんに。
大学・大学院では心理学や人間工学を専攻しました。研究を進めていくうちに、人の特性や状況にあった製品開発に関わっていきたいと考えるようになりました。その過程でユーザエクスペリエンスや人間中心設計という考え方を知り、新卒ではU'eyesDesignに入社。ユーザーリサーチ業務を主に担当しました。リサーチ業務の傍らUI設計などのプロジェクトにもちらほら関わったりもしました。

その後2018年4月にfreee入社。freee会計のデザインやデザインリサーチチームの立ち上げを経て、現在はfreee人事労務のリサーチ・デザインを担当しています。freeeでのリサーチ活動はポップインサイトさんで記事や動画にもなっているのでそちらもぜひご覧ください。そしてなぜか本日16日、時を同じくしてUXリサーチのアドベントカレンダーで定期リサーチに関するnoteを公開しました。こちらも合わせてご覧ください。

私のファーストキャリアはリサーチャーでした。新卒でリサーチャーという選択肢は当時も今もすこし珍しいかもしれません。いまでこそ「UXリサーチ」というワードが認知されてきましたが、新卒当時はあまり一般的ではありませんでした。

やりがいともどかしさを感じたリサーチャー時代

リサーチをすることでわからなかったユーザーの実態やサービスの改善点を発見できる。リサーチャーとしての仕事は、おもしろくも難しく、そして奥深い、私にとって魅力的な仕事です。

それと同時にもどかしさも感じていました。リサーチした結果を受けてこんなことができそう、こういう風にしたらユーザーにとってよりよくなるのでは?と感じることはあっても自分にはそれを形にできない。

またリサーチした結果をデザイナーに共有するときには、どう伝えるのがよいのか、何を伝えるべきなのかで悩みました。リサーチの結果を十分に活かせていないのでは?と不安を感じることも。リサーチを始めた当初は、どんな情報を得るとその先のデザインにつながるのかのイメージしきれておらず、もっとうまくリサーチを効果的に実施するにはどうすればよいのだろうと悩みました。

今考えるとリサーチの現場にデザイナーを巻き込み、デザイナーにユーザーへの実感をもってもらう。そうすることで、リサーチ結果をうまくデザインにつなげる。自分がデザインするのではなく別の方法でリサーチとデザインをつなげることもできると思います。ですが当時はそんなことを考える機転や余裕はなく、デザインまで自分がやろう!そうすることでリサーチの結果をうまくデザインに繋げられるはず!と息巻いていました。

リサーチャーとして仕事をし始めた当初からいずれはリサーチしてデザインも自分で、と考えていました。ですがデザインのバックグラウンドなしでリサーチャーからデザインも担当するようになった人も周囲におらず、デザインへの関わり方を模索していました。最初は見様見真似で自分がリサーチしたアプリの改善提案したり、以下に挙げるような本を読んで実際に試したりして、徐々にデザインに関わるようになっていきました。

当時読んでいた本の一部

デザインをするようになって起きた変化

リサーチとデザインの両方をするようになって数年が経ちました。デザインを担当する中で私の中でいくつかの変化がありました。

リサーチで受け取った情報をそのままにデザインへ

両方自分で行うので当たり前ではありますが、今ではリサーチした結果をスムーズにデザインに繋げられるようになりました。リサーチからデザインまで自分でやりきることで、だれかにリサーチ結果を共有する中で抜けて落ちてしまう文脈がなくなり、リサーチで得られた情報をもとにスムーズにデザインができています。これまで感じていたリサーチした結果をどう伝えるのか?うまく活かせているのか?という不安は減りました。

デザインを見据えたリサーチに

リサーチの質も変わってきました。リサーチのタイミングでどんな情報があるとデザインのときによさそうか、その見立てが以前より具体的にイメージできるようになりました。まだまだリサーチの後の振り返りであれを聞いておけばよかったな、、、なぜここをもっと詳しく聞かなかったんだ、、、と反省と失敗の連続ではありますが、以前よりリサーチでの問いが深まったと感じています。

デザインという行為について具体的なイメージを持ていると、インタビューなどのリサーチで収集すべき要素が感覚的につかみやすいと感じています。
リサーチャーとしてどんな情報が必要なのかといった迷いを持っている方はデザインまで自分で考えてみると、リサーチの視点も変わってくるのかもしれません。

リサーチとデザインの視点を行き来する

リサーチのセッション中に、こんな機能ができたらいいのでは?このコンポーネントをこう変えたら迷わないのでは?といったデザインのアイデアが生まれたり。リサーチ中にデザイン観点で気になったことをアスキングしたり。リサーチしている時にもデザインを考えている自分がいます。

一方でデザインしているときには、リサーチャーの視点で考えている時があります。この流れがユーザーにとってスムーズか?今度のリサーチでフラットにヒアリングしてみようといったように。デザインの中でその後実施するリサーチの計画を考えています。

リサーチャーとデザインの2つの視点がもう一方の行為の中でも垣間見えるようになりました。リサーチしている時でも自分の中にデザイナーの自分が、デザインしてるときにもリサーチャーの自分が隣にいます。リサーチとデザインはそれぞれが独立した行為ではなく、リサーチのセッション中にデザインの仮説が生まれたり、デザインの仮説があってリサーチを行なったりと2つの行為を行き来しながら体験が形づくられるものだと考えるようになりました。

デザインは難しくも楽しい

いろいろ書いてきましたが、なぜ私がリサーチからデザインまでするのか、それは「楽しいから」、これにつきます。リサーチで得られた情報を目の前に並べて、さてここからどんなことをしよう、こんなことをしたらよさそう、それならUIは、、、こんな体験になったらいいのではという仮説をもとにユーザーにヒアリングを実施する、これらの行為が楽しい、そう思うからリサーチとデザインの両方を担当しています。失敗と反省、勉強の毎日ではありますが。

デザインとリサーチを両方することで、私にとっては双方でよい効果がありました。「全リサーチャーがデザインまでするべき」という極端な話ではありません。このnoteを通してリサーチャーでもデザインに興味を持ったらデザインまでできるし、やってみるとリサーチにも効果があるということを感じてもらえるとうれしいです。


明日は3Dプリンタ使いのデザイナーhiroさんの記事です。お楽しみに!

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