プンクトゥム

河合隼雄さん、東畑開人さん、リチャード・ローティに私淑する大学3年生。 医学・哲学・心理学などに関心があります。

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最近の記事

アニメ『チ。-地球の運動について-』とEDアポリアから得る、学習と創作のモチベーション

2024年10月5日(土)からNHKで放送が始まったアニメ、『チ。-地球の運動について-』。 天動説が広く信じられ、神への信仰に背く思想は異端として処刑される社会の中で、地動説を証明しようとする人々を描いています。 まだ第2話までしか見ていません(原作は単行本2巻まで読みました)が、もう既に心を動かされています。 今回の第1,2話の中でも、もう好きなセリフがあります。主人公ラファウの、 「あんな巨大な天が、一つの発想で、こんなに合理的に、動いてしまったら、この説を、美し

    • クロストーク的読書記録―リチャード・ローティ×東畑開人『コミュニケーションとしての哲学・ケアとしてのコミュニケーション』―

      この記事は、私が読んだ書籍 100分de名著 ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』/朱喜哲 冨田恭彦『ローティ 連帯と自己超克の思想』 東畑開人『ふつうの相談』 東畑開人『雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら』 などをもとに、クロストークさせつつ読書記録を書いたものになっています。記事の最後にそれぞれの本のAmazonリンクを貼っておきます。 1.コミュニケーションとしての哲学(リチャード・ローティについて)リチャード・ローティ(1931-2007)は、アメ

      • 医学生の自由研究①「低・中分子創薬」~研究開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野(2023年)を読む~

        まえがき新しく何かを勉強しようとする時、教科書やスライドをはじめから一言一句読んでいったとしたら、きっと私はすぐに飽き飽きして、勉強を進められなくなってしまうだろう。 終わりが見えず不安になってしまうからだ。 では、不安にならず勉強するにはどうすればよいのか。 それは、まず目次を読むこと。そして、全体像をつかむこと。これに尽きる。 また一方で、そもそも興味のある勉強をする、というのも手だ。 一つ前のNoteでは、ChatGPTとの対話を通じて「大学生の自由研究」というモデ

        • 医学部生がChatGPTに医学の新しい学び方について聞いてみた ~現象学的アプローチ×医学~

          0.まえがき医学部での普段の勉強は、ついつい各試験に向けて詰め込んで試験が終わったら多くのことを忘れてしまう、ということが多い。医学生とはいっても、ほとんどは他の学部に入った学生と同じように大学入試を終え、大学生活を楽しみたいという気持ちでいっぱいで、勉強は効率良くこなして日々の試験に受かりさえすればいいと思っていることが大半だ。 しかし、そういった形の勉強だけでは不十分なのではないかと僕は思った。もちろん、試験勉強にも網羅的に勉強できるというメリットがあるし、そもそも勉強

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          となりのグレゴリー・ベイトソン

          大学の試験が終わって頭の中が空っぽにリセットされた後、ふとグレゴリー・ベイトソンについて書きたくなった。 グレゴリー・ベイトソンの本としては、『精神の生態学へ』(2023)と『精神と自然』(2022)が岩波文庫から出ている。ご覧の通り、近年佐藤良明さんのリニューアルした訳とともに文庫化されており、今現在ホットであると言えなくもない。 グレゴリー・ベイトソンとは何なのか。Wikipediaで調べてみる。 改めて見ても、何をしていた人かあまりよく分からない。よく分からないの

          となりのグレゴリー・ベイトソン

          【10選】2023年に読んだ本

          読んだ時期を(○月)という形で示しています。 ①『愛するということ』/エーリッヒ・フロム(1月)1冊目はエーリッヒ・フロムの『愛するということ』。 「愛は技術である」という主張が第一章から展開された後、その習得に向けて「理論」と「習練」という二つの観点から論じられています。 ページをめくる度に、フロムの厳しくも人間愛に満ちた言葉が出てきて思わずノートに書き写してしまうほど好印象でした。 ②『スピノザ―読む人の肖像』/國分功一郎(1月)難しい本ではありましたが、デカルト

          【10選】2023年に読んだ本

          東洋医学再考-プラグマティズムの観点から-

          はじめに本記事では、東洋医学をプラグマティズムという、ある哲学の考え方を糸口に根本から考え直してみることを目的とします。 プラグマティズムは、1870年頃から主にアメリカで生まれた哲学の一派です。 プラグマティズムと分類される哲学者の間でもそれぞれで考え方に差があるのですが、ざっくりとまとめてしまえば「有用ならば真」あるいは「真理というのは有用であるからこそ真理なのだ」という思想です。 プラグマティズムの哲学者の一人である、ウィリアム・ジェイムズ(1842-1910)は

          東洋医学再考-プラグマティズムの観点から-