vol.1 幼児教育
深センスピードともいわれる超高速で発展を続けるイノベーション都市深セン。深セン市が目指す教育、深センに住む人々が目指す教育とどのようなものなのか。私の住む中国深セン市の教育事情について書いていきます。今回は幼児教育について現地で感じていることをまとめてみました。
私の住む中国深セン市では、以前から常軌を逸しているとも言われる中国の大学受験(高考)、高校受験(中考)のためだけではなく、ここ数年は早教(zaojiao)と呼ばれる幼児早期教育、幼児教育や、受験とは関係のない囲碁教室、バレエ、絵画教室、そして深センらしいSTEM教室(創客教育、Maker教育)、ロボット教室、プログラミング教室が熱気をおび、教室が乱立している印象です。
習い事は幼稚園児でも3つくらいしているのは当り前で、4つ、5つとやっている人も多いとのことで、3つくらいしか通わせていない親にとっては、「こんなに少なくていいのだろうか?」と悩んでしまうほどです。
1つの習い事にかかる費用は月あたり1万から2万円で、3つもやっていれば月あたり5万円程度の出費になります。これに私立の幼稚園ともなると、3万円程度はかかりますから幼児教育の場合、月8万円の出費が当たり前という状況です。
深セン市は、香港と隣接する中国本土の都市として発展を続けており、最近では深セン市の平均月収は7000元(約11万円)とも言われています。このデータからするとまだまだ所得が低い印象ですし、とても習い事をさせることはできません。これは大多数を占めるであろう月収3000元~5000元(約5~8万円)程度の人々を含めた平均値なので正直現地に住んでいる肌感覚とこの平均値はかみ合わないない印象です(私の周りでは)。
実際に付き合いのある人たちはマイカーを所持していたり、食事や衣服にもお金をかけていたり、とても7000元の収入で暮らすことができるとは思えません。そもそも7000元の収入だったら家賃だけで給料が飛んでいってしまいます。
そして、日本のように男性が働き、女性が専業主婦というケースは少なく(私の周りでは)、私の肌感覚では彼らの家庭収入は30代の夫婦2人で少なくとも2万元(約33万円)から3万元(約50万円)は稼いでいるように感じます(データはありません)。そして、この収入は深センにおいて決して高収入ではありません。
私がお伝えしたいことは、収入がそれなりにあるから深センの人々が幼児教育にお金をかけているということではありません。彼らがどんな思いで子供たちに習い事をさせているのかということです。
この幼児教育ブームの根底にあるのは大学受験、高校受験で優位に立つためであることは間違いありません。しかし、彼らのマインドセットとして、「早期教育は子供たちの将来の夢をかなえる」ことだと信じていることが非常に重要で、必ずしも受験という強迫観念から習い事をさせているのではないというこです。
このマインドセットこそが深センの教育を見る上で非常に重要な要素になってくるので、マインドセットについては「vol.2マインドセット」に続きを書きたいと思います。
※中国を語る場合、日本とは異なり、非常に人口が多いこと、貧富の格差が大きいこと、地域による格差が大きいことから、私が見ている深センもごく限定的であることをご理解ください。