午後の最後の芝生(はじめに)
ゴルフのスコアは、僕にとって午後の最後の芝生のようなものだった。遥かに続くフェアウェイ、その先に何があるのか、いつも少しだけ見えなくて、手探りで進む旅だった。始まりは、2020年の秋、瀬田ゴルフコース東コースでのスコア122。あのときの僕は、フェアウェイのどこまでも広がる緑に飲み込まれそうだった。まるで自分が打ち込んだボールがどこへ行くのかすら分からない、そんな感覚だった。
でも、時間が経つにつれて、その芝生の感触が変わり始めた。2021年、三木ゴルフクラブでのスコア118。少しだけ芝生が柔らかくなった気がした。けれど、まだ何かが足りない。風が少し冷たく感じられ、フェアウェイはまだ僕に優しくはない。僕はひたすら進むしかなかった。
そして2022年の11月、同じ三木ゴルフクラブで104。フェアウェイの緑が、これまでより少しだけ輝いて見えた。スコアが18打も縮まったその瞬間、僕は初めて午後の芝生が僕を招き入れてくれたような感覚を覚えた。それでも、まだ長い道のりが続く。
2023年1月、城陽カントリークラブでのスコア98。ようやく100を切ったあの日の午後、柔らかい日差しがフェアウェイを照らし出し、僕は自分のボールがまっすぐに進むのを感じた。フェアウェイはようやく僕に少しだけ心を開いてくれた。まるで「君はここにいてもいいよ」と囁いてくれているかのように。
2023年11月、ロータリーゴルフ倶楽部で90。ここまで来ると、午後の芝生と僕の対話が始まっていた。フェアウェイの曲がりくねった道筋が、僕に新しい挑戦を与えながらも、僕を次のステージへと導いてくれる。
2024年4月、Spring Cityで88、そして7月、蘇州Sunriseで82。フェアウェイはさらに広がり、僕が目指すゴールが少しずつ近づいている。午後の芝生は、もう僕の歩みを優しく包み込み、次の一打を待っている。そして、ついに8月、蘇州Sunriseでのスコア78。フェアウェイの向こう側にある何かが、僕に微笑みかけていた。
ゴルフとは、午後の芝生を歩くようなものだ。その一歩一歩が、少しずつ形を変え、やがて目に見えない何かへと繋がっていく。スコアの変遷は、僕とフェアウェイとの静かな対話だったのかもしれない。そして、その対話は今も、途切れることなく続いている。
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