シャトルバスドライバーは本日も快走中です!!#16
7月6日(土)14:17「お姉さんは善人?悪人?」
ショッピングモールの土曜日は、やはり賑わいがある。「出勤時にマイカー内で流しているFM」では「危険な暑さ」が連呼されている日であったが、こんな「酷暑の日」であっても、乗務したシャトルバスは「いつも以上」のお客様が、ご乗車されていた。
14:17となった今。定刻の出発時間となったため、シャトルバスの扉を閉めると、約20mくらい前方から40代くらいの「お姉さん」が手を挙げている。
「私、乗りたいです」
アピールだ。
「乗りたいですアピール」は、特に珍しいことではない。私も「時間を過ぎたら、絶対に乗せてやらない」などの意地悪をせず、基本的には「待つ」姿勢でいる。
今回も「一度は閉めた扉」を再度、開けて待っていたのだが、いつもと感じが違っていた。
その「手を挙げたお姉さん」は、急いでいる様子が全くないからだ。むしろ「全くもって、余裕です」感を漂わせながら、歩いている状況だ。
「あれ?乗りたいですアピールしてなかった?」
私は「自分の見間違い?」を疑いながらも、そのお姉さんも確かにバスに向かって歩いている。すでに、出発時間は1分過ぎているのだが、扉を閉めることができない。
こういう状況の場合、他の乗客の「心の声」が聞こえてくるものだ。
「運転手、何やってんだよ。もう、出発時間すぎてるぞ!!」
この時には、約15名ほどの乗客がいた。
もちろん、「口に出して文句を言う客」はいないのだが、それでも、この状況が理解できない客にとっては「モタモタしている運転手」にしか見えない。
そのお姉さんは扉付近に近づくと、スッとバスに乗り込み、シラっと空いてる席に座った。
「ヤッパリ、乗りたいアピールだったよね?」
私の見間違いではなかったことは証明されたのだが、他の乗客の手前「すいません」と言ってもらいたい状況ではあった。
もちろん、謝ってほしいという話ではなく、
「運転手さんは、この人を、わざわざ待ってたんだ。まっ、仕方ないか。」
という、他の乗客の納得感が欲しい状況だったからだ。
「バスの扉が開いてたんで、普通に乗りましたけど。何か?」
という感じで乗車された「お姉さん」に、モヤモヤしながらも、とりあえずは、シャトルバスをショッピングモールから出発させることができた。
シャトルバスがターミナル駅に到着した後、その「お姉さん」が運転席に近づいてきた。
「運転手さん、これどうぞ!!」
と渡してきたのは「チョコレート」であった。
お姉さん!こういう感謝は、いらないから、他の乗客に分かる感じで「すいません!」って言ってよ!!
心の中では、そう思っていたのだが、チョコレートは「ありがたく」いただくことにした。
結局、お姉さんは善人?悪人?
「恥ずかしがりやの善人?」ってことで、いいんですよね?
私は、結局「モヤモヤ」したままである。