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「元」通関士が語る「未経験通関士の転職は『大手狙い』がいいと思う理由」(後編)

前編を読んだ読者様は「大手、一択じゃん!!」と思ってしまうと思うのですが、

ちょっと、待ってください!!

大手には「とんでもない落とし穴」があります。

「通関士は会社員である」

という言葉を「身をもって」思い知らされるのは、むしろ「大手」に所属している場合であると私は考えています。

後編となる今回は、未経験通関士のあなたが「大手を狙うことのデメリット」について語りたいと思います。

①通関部署に配属されても、すぐに異動となる。そもそもの配属先が通関部署とは限らない。

そもそも、「通関士として、ガンバっていきたい!」と思っている皆様が、勘違いしてはならないと思うことは、

国際物流会社は「国際物流会社員」を育てたい

のであって、あなた個人の「通関士としてのキャリア」を育成したいなどとは「これっぽっち」も考えてはいないということです。

 また、大手国際物流業者は国内外の拠点数が多く、最近では「コンプライアンス」であったり「CSR」であったりと、従来のような「営業」「総務」というような部署「以外の部署」も多くなっています。

 社内に設置すべき必要な部署に「必要な人員が不足した場合」には、その都度、社員を異動させ「適正な配置」をすることは「当然のこと」であり、それは「通関士のあなた」も例外とはなりません。

 つまり、通関士をスタートさせてから「1〜2年で、アッという間に異動を命じられて、通関士でなくなってしまうこともある」ということも「当然に」起こり得ることとなります。

「一体、何のために勉強したの?通関士って、バカバカしい!!」と思うかどうかは、皆様の判断次第になるのですが、コレが現実だと思ってください。

 また、現時点では「通関部署の人手は足りている」ものの、退職や異動に備えた補欠要員として雇用されることで「初めから」違う部署に配置されてしまう場合もあります。

会社都合で「出鼻をくじかれてしまう」ことも珍しいことではないのです。

そして、その後に、あなたが「通関士としてキャリアを積み上げれるかどうかは、『運ゲー』」ということになります。

これが、

「通関士は会社員である」

という、本当の怖さの部分であり、「大手」に転職することで、その怖さを身をもって、思い知ることになるかもしれません。

②業務が分業化されていることで、知識が偏ってしまう。

あなたが上述の「運ゲー」により「通関士」になることが出来たとしても、大手は「役割」が分業化されています。

例えば、あなたが「大手自動車メーカー」の通関担当になったとしましょう。

自動車部品関連の通関には強くなるものの、衣類の通関は「となりの部署」が行うこととなり、「猫」の通関となれば、「そのまた隣の部署」が行うなど「自動車関連部品の通関しか出来ない通関士」となってしまう怖れがあります。

 税関検査は「検査部門」が担当し、国内輸送は「配送部門」が担当し、顧客連絡は「CS部門」が担当し、実績管理から請求情報まで、すべて「社内システム」で完結する。

 まさに、「その会社内でしか通用しない通関士」の出来上がりです。

 この環境下で「通関をバリバリこなしている」通関士が『あなた』だとすれば、

「自動車部品の通関しかできないことで、他社の通関士に転職することに足がすくんでしまい、人事の季節には自分の配属部署のみが気になり、40代を迎えたころには、ただただリストラに怯える」

そんな「社内通関士」となっていることでしょう。

もちろん、これはすべて「極論」であり、大手に身を置いている「すべての通関士の方」に当てはまるわけではありません。

しかし、

「通関士、意外と天職かも?」

と思えた場合は「自分の通関士としてのキャリア」と真剣に向き合わなければならず、状況によっては

「大手に勤めていることによる、十分に恵まれた環境を捨てて、通関士として生きる決断」

をしなければならないかもしれません。

より真剣に「通関士」としてのキャリアと向きあい、行動を起こしていく「勇気」が必要となるのが、「大手に勤める通関士」であり、大手の安定した環境を手放したくない「あなた」の判断を狂わせることは十分にあると私は考えております。

 その結果、思考停止に陥り、どっちつかずとなり、会社は吸収合併され、50代を迎えるころに「リストラ」対象となる。そう、まるで私「元」通関士のような人生になることも「ある」ということです。

 それでも、私は「『4年』で通関部署から異動となった」ソコソコ大手国際物流会社での、「4年間の通関士生活で得られたものは大きかった」と感じています。

 そして、「あなた」が大手企業の通関士となり、「たった1〜2年で異動になった」としても、「大手でしか味わえない、スケールの大きな物流の担当通関士の一人」となることは、貴重な経験になるに違いないと思っています。

この記事を読んだ皆様は、きっと、

「なんか、大手はイロイロと大変そうだな」

と感じたと思うのですが、「スケール感のある貴重な経験ができるかもしれない大手を『転職の選択肢』からは外すべきではない」と考えています。

むしろ、

「未経験通関士こそ、最初に挑戦してほしいのは『大手』でしょう!!」

と私は思っています。

本日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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