「元」通関士が語る「未経験通関士の転職は『大手狙い』がいいと思う理由」(前編)
前回の記事で「8月に入ってから、過去の通関士に関する記事の閲覧が急激に伸びている」という話をしました。
この「元」通関士シリーズは
「通関士試験合格チケットの活かし方」
を主なテーマとして、4月から記事を書き始めており、
今年、通関士を受験されるかたにとっては、当然に「(通関士)試験対策」の話に興味がある一方で
「もし、通関士試験受かったら、どうやって通関士をやっていこう?」
ということも、同時に興味事であるのではないかと感じております。
今回のテーマは
「通関士試験に受かったら、転職先としては『まずは大手』を狙いましょう!!」
という話です。
単純に「給料が良さそうだから」とか「休みが貰えそうだから」という「労働条件」視点ではなく、
あくまで
「通関士試験合格チケットの有効活用して、この厳しい社会を生き抜いてほしい。」
という、私の願いを含めた「生き残り戦略」的な視点で、語っていきたいと思います。
今回は、通関士をキッカケとした「会社員人生」を歩んでいく上で「『最初』は、大手に挑戦した方が、いいんじゃない?」と思う理由を「厳選して2つ」お伝えしようと思います。
①多くの人が関わることで、多くの学びを得ることができる。
未経験通関士の方が、まず取り組むべきことは
「正しい知識を正しく学ぶ」
ということです。
会社全体として、過去の通関実績を正しく管理し、業務の平準化が行われ、整理整頓されて保存されている可能性で言えば「大手」は信頼できます。
また、会社内で「独自の勉強会」などを積極的に開催しているのも「大手」が多いです。
会社の規模が小さくなると、どうしても「担当通関士の独自色」が強くなり、「たまたま教えてもらうことになった先輩通関士」のやり方が「すべて」となってしまいがちです。
この業界では、「他社の通関士」の方とコンタクトを取り、仕事を進めることもあるのですが、
「明らかに、その解釈おかしいでしょ。」
という、偏った考えの「残念通関士」の方にも遭遇することがあります。
「未経験通関士」の方は、特に「たくさんの先輩通関士のやり方」を見て「いい所を吸収」することに徹するべきだと思っています。
また、現在では「コロナをキッカケ」として、「関税協会」や「通関業会」などが、無料のオンラインセミナーを頻繁に開催するようになり、「会社以外」からでも知識を習得できる環境が整ってきています。
たくさんの「通関のやり方」を学びながら、メイン業務となる「税関申告書作成」を中心とした通関士業務を学んでいくことが大事だと考えます。
そして、「大手」であれば、あなたの作成した申告書を「Wチェック」する人(=先輩方)や部署(=審査チーム)等が「必ず」いることで、作成時のミスにも気づいてもらえ、アドバイスをもらえたりすることがでることも大きなメリットです。
また、先輩や同僚の「申告誤り(非違や誤謬といわれる)」から学ぶことも多くあります。
大手であればあるほど、「多くの人が、あなたの周りにいる」ということになり、そこには「多くの事例」があります。
人間関係が面倒だと感じる以上に、「未経験通関士のあなた」にとっては
「勉強となる、多くの材料がソコにある」
ことになり、これこそが「最大のメリット」と言うべきでしょう。
②「通関士が自分に合っているのか?」の適性を判断できる。
「私は、通関士を目指しているのだから、通関士一筋で、一生がんばるんだ!!」
という「あなた」の意気込みは十分に評価したいのですが、やはり人には「適性」というものがあります。
実際に「通関士」になってはみたものの、
「どうも、チマチマした計算作業が合わない」
「頻繁にアップデートされる法令やルールの読み込み作業が性に合わない」
「申告書を間違うことができないと思うと、会社に行くことさえも憂鬱だ」
など、理由を挙げだすとキリがないのですが、このように「自分が想像していなかったこと」が起こることは想定しておきたいものです。その時に「大手」に所属していることで、「あなたの異動希望」次第では
営業部門や総務部門、開発部門、倉庫部門、配送部門、または海外駐在
などの「方向転換」が可能となり、
「国際物流社員」としての道
を模索することが出来ます。
弁護士や、司法書士、行政書士など「経験を積めば積むほど、その人の財産」となっていく「士業先生」とは違い、
通関士は
「たとえ、あなたが一生懸命に経験を積んだとしても、将来的には異動を命じられる可能性が十分にある会社員」
というわけですから、「自分に適性がなかったと思えた」場合には
「逆に、その異動を『メリット』として積極的に利用することで、方向転換をしてしまいましょう」
ということです。
「会社員としてのメリットを優先」することも、「生き残りを考えれば、重要な決断の一つだ」ということです。
「自分には通関士が天職だ」と思えた場合にも「やっぱり、向かなかった」と思えた場合にも、
まずは「その見極め」を早い段階で行っていきましょう。
そして、「大手」に所属する中で、自分の適性を見極めながら、次の行動を起こす「足掛かり」としていくことが重要であると思います。
今回「大手のメリットとして、厳選した2つ」をお伝えしましたが、「大手、一択か?」といえば、そうとは思えません。後編では「大手に勤めるとココがデメリット」をまとめてみたいと思います。
後編に続く
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