<番外編>「クズ人間」通関士になる。(後編)
「人生で一度くらい『死ぬ気』で勉強してやる」
私は学生時代から「自ら進んで勉強することのない」人間でした。
そんな人間が、社会人になった後に「死ぬ気で勉強」と言っても、始めた当初は「30分、机に向かうのが、やっと」という状況です。
その当時、私は自分に対して「一つのルール」を決めていました。
「必ず、一日に一度は机に向かうこと。飽きれば、(たとえ10分であったとしても)無理をせず、その日は勉強をやめてもよい」
勉強を始めた5月頃は「本当に10分で勉強をやめた」日もありましたが、「一度は机に向かう」ことだけは徹底するようにしました。
ただ、勉強習慣とは不思議なもので、
30分机に向かえれば、1時間向かえるようになり
1時間向かうことが出来れば、3時間向かっても平気になる。
試験直前では、「8時間勉強しても、平気」な状態となっていました。
万全な状態で迎えた「10月の試験当日」。
(まあ、出来たんじゃ、ない?)
受験会場であった「名古屋大学」で、「試験を満足と思える出来で終える」こととなった、その帰り道、
(「通関士試験合格」、ホントにあるかもしれない・・・)
特大ホームランの予感がありながらも、「合格率15%前後」の国家試験に「期待と不安」が入り混じった状態でした。
約2カ月後となった合格発表日である「12月22日」。私は「名古屋税関本関」に掲示されるという「合格者一覧」を直接、見に行くことにしました。
(合格でも、不合格でも、決着だけはココで、シッカリとつけておきたい)
当日は「雪が降り出しそうな、どんよりとした曇り空」。北風が冷たく「名古屋税関」に向かう大通りは、通行人も「まばら」。合格発表の掲示板の前も「私一人」の状況でした。
私は、人生の大勝負となった「受験票」を握りしめ、自分の番号を静かに探しました。
「(受験番号が)・・・ある。」
私は二度、三度と掲示板を再確認しました。
(そうか、オレ・・・合格したんだ。オレ、やり遂げたんだ・・・)
クズ人間であった私が、初めて「人生で何かを成し遂げた」瞬間でした。
その後、無職「プー太郎」の私は、通関士試験合格という「価値が全く解らない」チケットを手に「相当の覚悟を持って」再就職活動をすることになります。
その手始めとして、予備校が開催していた「通関士試験合格者のための業界研究講座」に申し込みました。
通関士として、就職したくても
「何処に?」
が、大きな問題であったからです。
その講座では、通関業者一覧の配布をはじめとした「業界研究」のみならず、「履歴書の書き方」から「面接での心得」までもが授業に組み込まているなど、「実践的な内容」となっていました。
私は、履歴書をまとめあげ、便箋にビッシリと「直筆の手紙」を一社一社に対して、丁寧に書き、通関士試験合格書のコピーを添え、「求人募集の有無に関わらず」人事部宛に郵送しました。
学生時代の就活で「まったく相手にもされなかった」業界大手などの「有名な会社」を含む「約20社」に送付したのですが、驚くほどに6社ほどから「面接できませんか?」とアプローチがありました。(内定後、さらに1社からアプローチあり)
(通関士って、実はスゴい資格だったのかも)
何もわからず、「通関士試験」を受験した私でしたが、再就職活動をスタートして初めて「通関士試験合格の価値」を知ることになります。
ただ、依然「就職氷河期」の真っ只中ということもあり、私は「選り好み」をする気はありません。
「通関士てして働かせてくれる会社の中で、一番最初に内定をくれたところに、迷わずにお世話になる」
面接は1次、2次と、トントン拍子で進み、通関士試験合格から約4カ月(業界講座受講から2カ月)で
「電鉄系グループの国際物流業者(神戸営業所勤務)」
に入社することになりました。
(研修等もあったので、実際に「通関士」になったのは、それから約9カ月後になります。)
そして、私は「最初に入社した会社を転職をすることになった」ものの、「20年(通関士としては11年)」に渡り、通関士資格で生きていくことが出来ました。
2024年である現在。中高年となった私は「会社依存ではない人生」を歩みたくなることで通関士から離れてしまいましたが、
今でも、根っからの
「通関士オススメ派」
です。
通関士は「会社勤め」である以上、楽しいことだけではなく、「嫌なこともある」のは、当然に覚悟して欲しいのですが、この「怪しい」記事に辿り着いた皆様の中で、
「なんか、通関士おもしろそうだし、興味はあるんだけどなぁ」
と思っていても「行動に移せていない」方が、もし、いるのであれば、それは
「とても、もったいないこと」
であると、私は思っています。通関士試験合格チケットは
「あなたが想像している以上に価値がある」
ものであると、私自身が経験することになったからです。そのことが、この記事を通じて「少しでも、皆様に伝える事が出来た」のであれば、私も嬉しく思います。
本日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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