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「元」通関士が語る「通関士になってから行く『営業』は意外と楽しい」話(前編)

 今回のテーマは「営業」です。

「おい、おい、『元』通関士さんよ!『通関士』になったら、税関申告書を作成することが仕事であり、営業なんかする必要ないだろ?」

「逆に、営業のような『外回り』を、したくないから、合格率15パーセントの国家試験を一生懸命、勉強しているんじゃないか!!」

という、声が聞こえてきそうですが、私の経験上「それは、大きな誤解」であると思っています。

 私が経験してきた「通関業者」では「通関士が営業に出ていく」ことを「推奨」している会社が多く、私もチョコチョコ外出していました。

 通関士が営業?と思った皆様のために、「これが、意外と楽しいよ。」と思う理由を「厳選して2つ」お伝えしたいと思います。

「元」通関士シリーズでは、皆様に「通関士試験合格チケット」を有効活用していただきたいと思い記事を書いています。「通関士」資格を活用しながら、国際物流社員として立ち回る術を身につけることも、「生き残り策」の一つとして、ぜひ覚えていただきたいことでもあります。

では、始めていきましょう。

①「ノルマ」のない営業は、ちょっとした「小旅行気分」。

私が「大阪」で通関士をしていた頃は、顧客は「東は名古屋、西は広島」までで大多数を占めており、地域で言えば「中部、北陸、近畿、中国」あたりでした。

 「営業」というと「企画書を作成」して「商談をまとめて」、場合によっては「何度も足を運んで」と、「とにかく、泥臭くて大変」なイメージをお持ちの方も多いと思います。それでさらに「結果として、数字として表れなかった」場合は「なんとなく肩身が狭い」思いをし、時には「落ち込んでしまう」こともあるかもしれません。

 では、普段「『通関士』として、電話等で顧客対応にあたるなど、『通関担当者である、あなた』が、顧客訪問を行った場合」はどうでしょうか?

「企画書」は必要なく、「商談をまとめる」必要もなく、「何度も足を運ぶ」必要もなく、「今すぐ、通関件数が伸びなくても」何も影響しない。

つまり、「ノルマ」もなければ、「背負う」ものもない。

 このような言い方をすると「不快」に思われる方もいるかもしれないのですが、

通関士の営業は

「(会社が交通費を全負担してくれる)日帰り小旅行」

のような「気楽」なものです。

 都市部にある「本社オフィス」はもちろん、「物流センター」や「製造工場」などを訪問するために「地方」へ行くこともあり、

「地方の新鮮な空気を感じながら、駅前等で、ちょっとした地元の名物を堪能することも可能」

ということになります。

では、「通関士が、わざわざ訪問して、一体、何をしに行くの?」と疑問に感じるかもしれませんが、

基本的には

「情報を取りに行く」

ものだと思ってください。

「簡単な例」を一つ挙げてみたいと思います。

 顧客訪問として、メーカーの拠点工場に行った際に、たまたま「何回も出入りしている宅急便会社」が目に留まったとしましょう。

このことに気づいた「あなた」は

「自分が通関した貨物を、この宅急便会社を使ってメーカー工場に納品してみてはどうか?」

となるわけです。

当然、「その宅急便会社」はメーカー工場を「一日に、何回か出入りしている」わけですから、朝イチの納品に間に合わなければ、次の便で、それでも間に合わなければ、さらに次の便で対応してくれます。

このように、実際に「行ってみて」得られる情報は多く、それを顧客担当者と「雑談」する中で、「ヒント」を得ていくことが出来るのです。

そして、このことは

「通関士として、ただデスクに向かい、申告書のみ作成している」

だけでは、得ることが出来ない情報であり、ちょっとした「物流改善」を顧客に提案することで、「あなた」への信頼が上昇し、通関件数増加に発展することも珍しいことではないのです。

 逆に「お客様」側から情報をいただけることも多くあります。

「近々、海外拠点を中国からベトナムに動かす計画がある」

「新しい製品の試作品を現在、製作中であり、海外の工場で量産し、日本に持ってくる予定だ」

など、

「いずれ、通関士さんのお世話になります」

的な情報は「お客様から、進んで提供」いただけることも多いです。

「通関士が小旅行気分で顧客訪問」しても、実は、得られる情報が多く、営業や商談ではない「雑談」の中で、「通関の困り事を聞き取り」しながら、話を進めていくことができるのです。

コレこそが、「通関士が顧客訪問」することの一番のメリットであると、私は思っています。

後編に続く

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