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「元」通関士が語る「通関士と麻薬の取締りに携わる人たち」①(麻取編)

今回のテーマは「麻薬」です。

 「コイツ、また尖ったテーマをぶつけてきたな~」と思っておられる読者様も多いとことでしょう。

もちろん、良識のある「note」の読者様であれば、あえて説明はいらないと思うのですが、

「麻薬を密輸するノウハウを通関士が持っている」というお話ではありません。

今回は、

通関士は「麻取(マトリ)のお世話になってはいけませんよ」

という話をしたいと思います。つまり「元通関士の黒歴史」の話となります。

先に「いつも通りのお断り」となりますが、詳細を語らず「ざっくり」とした内容で進めていきます。
 言葉の解説を深堀りしすぎて「沼」らないよう注意していきたいと思いますので、ぜひ、お付き合いください。

 まずは、今回の「ミッション」を皆様にお伝えしましょう。

 長い航海となる「外航船」には、「船医」と言われる「お医者様」が乗船しています。「船医」さんの依頼により「船舶内で不足となった医薬品」 を日本の寄港に合わせて、供給すること

になります。

そう、前回の記事の「おさらい」ですね。

「外貨船用品積込承認申請」

の話です。

インボイスのアイテムは50弱。絆創膏や包帯から始まり、胃薬、傷用消毒薬等がある中、ある一つのアイテムの件で税関から連絡がありました。

 「morfine」は船内麻薬に該当しますよ。麻取さんの手続き取られてます?

情報量が多すぎる、この「税関からの質問」ですが、

そもそも

①「麻取」って何者?

という話から入っていく必要があると思います。

「厚生労働省地方厚生局麻薬取締部」に所属している「麻薬取締官」

のことであり、通称「麻取」「麻薬Gメン」と呼ばれています。主な仕事は「麻薬取締」「薬物犯罪の捜査」等を行っています。

②「morfine=モルヒネ」が麻薬?

 モルヒネは麻薬であり覚醒剤やコカインと同様、不適切な使用をすると非常に危険な薬になります。 (ただし、医師の指示通り、適切な使用をすれば全く問題はなく、痛みの治療にとって最高の薬となります)
 諸外国では、「鎮痛剤(=痛み止め)」として使われている国もあるのですが、日本では「麻薬として規制」を受けています。

③船内麻薬とは?

外貨船用品として麻薬等を日本に到着させたい場合にはルールがあり、簡略にしてまとめると

①麻薬等特別搬入許可申請書を地方厚生局長に提出

②麻薬等特別搬入許可書及び許可証明書(英文)の交付を受ける

③輸出国政府に提出して輸出国政府による輸出許可証明書の交付を受け、現品に添付する

の手続きを経て、日本に到着させる必要があるということです。

つまり、これらの手続きを経ずに到着した、今回の「モルヒネ」は

「アウト!!」

となり、私「元」通関士は

「麻取から呼び出し!!」

となったわけです。

その後、税関内の応接室に呼び出された私は

「麻薬取締官」と「税関保税部門の統括管理官(会社で言う課長)」から「ミッチリと怒られ」「麻薬の密輸の疑いで逮捕され」「その後、数年間は通関士試験を受けることができなくなり・・・」

嘘です!嘘ですよ!!

実際は、ありのままを話し「通関士さんも気をつけてくださいね」と軽く注意を受けた程度となりました。

 ただ、その時の私は、数百件の「外貨船用品」を申告していたにも関わらず「船内麻薬」という言葉すら知らなかったことに対し「ウカツだった」「勉強不足だった」と、かなり反省をしたことを、今でも覚えています。

インボイスに書かれていた

「morfine=モルヒネ」

という一文を発端とした、

麻薬の取り締まりに携わる人たち」

はいかがでしたでしょうか?

「麻取」「税関」、そして「通関士」が書類や到着貨物に注意を配りながら「不正薬物を日本に入れない」ための努力をしている一例を、ご紹介をさせていただきました。(私の「黒歴史」も・・・)

今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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