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行政書士試験合格者が語る「現役通関士の時に知りたかった行政手続法」(後編)

さあ、「駆け出し通関士」の皆様!また「これから通関士を目指す」皆様!!
 前編において、「通関士として、普段行っている」または「通関士として、これから業務として行う」であろう「通関」と呼ばれる税関申告が、

行政手続法に定める

「申請に対する処分」

に該当することを知っていただけたこと思います。

ここで、新たな質問です。

顧客から「新たな商品の通関依頼があり、新しくHSを考えて導き出す必要が発生」した場合、さあ、どうしましょう?

を考えていただきたいと思います。言うまでもなく、これは「輸出入申告書」を作成する上で「核」となる通関士の仕事です。

「実績のない」商品である以上、

①ネットで手当たり次第、調べてみる
②税関に相談してみる(品目分類部門等)
③顧客に「事前教示」を勧めてみる

等、何らかのアクションを「通関士」として起こしていく必要があることでしょう。

もちろん、アクションとしては、どれも「正解」ではあるのですが、実は「行政手続法」を知ることで、あなたが「最初に起こすべき」アクションを知ることができます。

行政手続法第5条〈審査基準〉
 行政庁(=税関)は、審査基準を定めるものとする。
 
 ※2項・3項は省略※

つまり、税関に対して「申請」をし、「許可」が必要な行為である「輸出入申告」には

「許可」になるために必要な「審査基準」を定めていますので、それを見て、まずは判断して下さいね。

ということです。

審査基準?「通関士のための税関申告審査基準」なんて書かれた本や資料なんてあったっけ?事務所内やネット上の掲載の中では見たことないよな?

という方は、いませんよね?

そうです「関税率表解説」のことを指してます。

手当たり次第調べる、税関に相談するというアクションの前に

「まずは、審査基準を読んで下さい」

ということが基本になるということです。

そして、

この「審査基準」を元に適正なHSを導き出し、正しく申告していただいければ、許可しますよ。

という、行政庁である「税関」からのメッセージを(「行政手続法」を知ることで)「通関士」のあなたは正しく理解し、行動をしていく必要があるということになるのです。

私も昔は、わけもわからないまま

商品説明書(写真やカタログ等)を持って、税関の「品目分類部門(=税関内で独自に保存している全国の官署における税関申告データに基づいて、類似商品等があった場合に、相談商品に対するアドバイスがもらえる部門)」に行き、

「この商品のHS、教えて下さい!!」

と聞きに行ったことがあります。

当然に、税関の担当官の方から、

「通関士さん、ちゃんと『関税率表解説』読んでます?」

と注意されることになりました。(私にも、このような時代がありました。)

もちろん、それ以後は、反省をふまえ、

関税率表解説内の「この部分に書かれている記載内容」が、今回の商品に該当するか判断できなかったので、相談に来たのですが・・・

と「審査基準」である「関税率表解説」を読み込んだ上で相談に行くようになりました。

事務所内の本棚等にひっそりと置かれていることが、実は「あるある」である「関税率表解説(上巻・下巻)」は

申請者となる「輸出入者」、その申請者から委任を受けた「通関士」の両者共に必携かつ必読の「審査基準」です。

 さらに、現在は「税関ホームぺージ」でも、すぐに確認できる状態にあるわけですから

「そんなの、あるんすか?知らなかったっす。」

では、「私、通関士です」と名乗っていく上では、「少々、恥ずかしい人」扱いになってしまいます。

このように、「行政手続法」は通関士試験に直接関係する法律ではないものの、

行政庁である「税関」に対して、申請を行う通関士の方にとっては「知っていて、決して損はしない」法律ということなのです。

本日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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