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「元」通関士が語る「通関士と麻薬の取締りに携わる人たち」②(ワン検編)

「麻薬」をテーマとした、後編となる今回は

「ワン検」

です。

「税関の検査部門ですが・・・本日13:00から『ワン検』をお願いします。」

突然の「税関からの一本の電話」で始まる、この「ワン検」。察しのいい方であれば、言葉のイメージだけで、もうお分かりかもしれませんが、

「ワンワン検査=麻薬探知犬検査」

のことです。

 皆様の中にも、「税関などのPR動画」や「ニュースの特集」などで、「空港内における旅行者のスーツケース等を嗅ぎ回る麻薬探知犬」の映像といったものを観たことがある方もいらっしゃるかと思いますが、コレは決して「単なるパフォーマンス」ではありません。

そして、「ワン検」は「スーツケース等の旅行者の手荷物」に限られた検査方法でもなく、「一般貨物現場」においても行われる、日常的な税関検査方法の一つとなっています。

通関士は、この「ワン検」により

「麻薬探知犬が活躍する様子を間近で見ることができる」

ということになります。

 ただ、「ワン検」は「個人向け貨物」が対象となりやすいため、「海外宅急便(いわゆる「SP」貨物)」や「別送品(海外引越貨物等)」を担当している通関士の方が経験しやすいかもしれません。

 私は後者である「海外引越業者」の顧客を担当していたこともあり、この「ワン検」を何度か経験しております。

少し、具体的な話をしましょう。

(※以降は便宜上により、この麻薬探知犬たちを「ワンワン」君と呼びます)

先ほど、「税関からの一本の電話で始まる」と書いた「ワン検」となった場合、指定された検査時間になると「〇〇税関」と書かれた車に乗って、颯爽と登場してくるのが、

「ワンワン」君と『ハンドラー』さんです。

「ハンドラー」とは、いわゆる「猛獣使い」ならぬ「麻薬探知犬使い」である税関職員の方になります。

 犬種に詳しい方であれば、すぐにイメージできると思うのですが、「ジャーパン・シェパード」や「ラブラトール・リトリバー」である、この「ワンワン」君たちは、一目瞭然、

「見るからに賢そう・・・」

 その「端正な顔立ち」と「立ち居姿」は、やはり「訓練され、選ばれし者」感を十分に漂わせるほどの雰囲気を持っています。

 「ハンドラー」さんの指示で「検査がスタート」すると「ワンワン」君は貨物の周りを匂いを嗅ぎながら歩き回り、時には「小さいカートン」の上を「ヒョイ」とジャンプして飛び乗ったりと

「結構、自由すぎる動きだな~」

と感じる動きを見せてくれます。それこそ「ショー」を見ているようで飽きることはありません。

 その後、(通常は麻薬など発見されることはないので)検査が無事終了すると「ワンワン」君は自分のケージに「スッ」と戻り、そして帰っていくこととなります。

 ここで疑問となるのが「麻薬が本当に貨物に紛れていたら、ワンワン君たちはどういう行動をとるの?」ということではないでしょうか?

 さすがの「元」通関士も

「ワン検」で麻薬が発見されました!!

という経験はないので「税関HP」からのご紹介となりますが、

「その場で静かに座る」

よう訓練されているようです。

つまり、「ワン検」の時に、まかり間違っても「ワンワン」君が「自分の担当する貨物の前で座ることがあってはならない」ということです。

(前回の記事のように「麻取からの呼び出し」パターンに発展しますので・・・)

その他、「麻薬探知犬」の訓練状況や活躍等は「税関HP」にも紹介されていますので、興味のある方はぜひ、ご覧になっていただければと思います。

最後は「通関士」ではなく「税関のPR」のような記事になってしまいましたが、「麻薬の取り締まりと言えばワン検でしょ!!」というお話でした。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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