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山本敦章という男

BLACKBELT JAPANの千葉道場に所属しているホタテと申します。今週末に沖縄で開催される修斗沖縄大会SHOOTO OKINAWA Vol. 11に、千葉から山本敦章(ノブアキ)が出場します。今回が修斗でのデビュー戦、感慨深いものがあるので少しノブについて書いてみようと思います。

ノブが当時まだ名前変更前だったパラエストラ千葉に入門して来たのはおそらく2015年ごろ。運動経験はバスケットと会社の新人研修で地方暮らししてた時に少しやった極真空手。取り立てて目立つことのない寡黙な青年で、最初はキックのクラスに参加するだけでしばらく接点は無かったはず。
そこからしばらくしてMMAのスパーにも混ざるようになり、格闘技経験が無いに等しいノブは当時皆んなによくボコられてました。私も1ラウンドのスパーで何本も取ったり出来たのですが、あっという間に打撃が当たらなくなり、どんどん歯が立たなくなっていったのを覚えてます。
その頃ジムにいたプロ達は最初から自分とは雲泥の差で強く、弱かった後輩に抜かれる経験を初めてしたのは多分ノブが最初。まぁその後何人もに私の屍を超えて追い抜かれて行くのですが‥。
Twitterで確認する限り、ノブのアマチュアデビューは2016年のアマチュアパンクラス。1ラウンドにチョークで一本勝ち。千葉からアマチュアに選手が出るのが久しぶりだったので大勢で応援行ったのを覚えてます。ちなみにこの日のメインには後にRIZINで活躍する堀江選手が出てたりしました。

私はというとジムに入会したのが2006年ごろ、その後何回かの休会をへて2013年ごろにジム通いを復活させ、その頃くらいから選手達のミットを持つようになり、自分は余り成長しないまま選手達のミットを年間1000ラウンド近く持つようになったという奇特なジム生活をそれからずっと続けて来ました。特別にミットを持つのが美味い訳では無く、ただ単に沢山待たされても文句を言わないだけの人間だと思います。そのおかげで後に有名になるようなプロ選手のミットを持ったり、セコンドとして会場の裏側に入るようになったりと中々稀有な体験をさせて頂いてます。
本気で練習を積む後輩たちは大体3年くらいで私より強くなり、その後若干私のことを舐めるようになります。ノブも私のことを舐めてる一人です笑。

そんな経緯もあり、当然ノブのミットも沢山持ったりアマの試合会場にも帯同するようになりました。ノブは直属の先輩である岡田くん(岡田遼)をとても尊敬しており、岡田くんと同じ修斗でプロになることが目標。ただその頃はアマチュア修斗が関東で定期的に開催されておらず、プロを目指すには年一回の関東選手権を勝ち抜き、全日本アマ修で良い成績を納める必要がありました。アマチュアで経験を積むために関東で唯一定期的に開催していたアマチュアパンクラス(当時の名称はJMMAF)に参戦するようになります。当時から実力はしっかりとあり、すぐ勝ってプロになるだろうと思っていましたが、そこから勝ったら負けたりで足踏みが続きます。
2017年にアマ修の新人トーナメント優勝するも念願の全日本アマ修は一回戦負け、JMMAFやDEEPのフューチャーキングトーナメントも負け。持っている実力を試合で発揮出来ず歯痒い日々が続きます。その後2018年にパンクラス北海道大会でプロとして闘うオファーが来ましたが事前検査で対戦相手の脳に腫瘍が発見され、打撃は危険とのことで急遽グラップリングマッチに変更。北の大地でも負けてしまい、夜のススキノで落ち込んだ記憶があります。その後アマ修関東選手権二回戦負け(一回戦でスソン選手に勝利)も全日本に選抜され、今度こそと望むもまたもや一回戦負け。この時期はだいぶ苦しかったんじゃ無いかなと。その後11月にパンクラスのマーシャルワールド杯で3回勝って優勝。晴れてパンクラスでプロ認定を受けました。本人的には憧れた修斗ではないことに複雑な思いもあったと思いますが、こちらとしてはただただ嬉しかったです。

そうしてスタートしたパンクラスでのプロ生活、デビュー戦は判定勝ちするも次戦はスプリットで敗戦。その後は後にRIZINにも出場した関原翔選手に判定負け、翌年のネオブラでは1ラウンドで拳を骨折し判定負け、UFCファイターとなった風間敏臣選手に一本負けと泥沼にハマってしまいます。その後はコロナ禍もあり、中々試合経験積めないまま練習だけをする日々。岡田くんも千葉のジムに中々来なくなり、仕事の関係で松戸や柏に出稽古行くのも難しい状態。実力的には千葉の若手プロ達の間では抜けており、あまり競り合う練習は出来ていませんでした。この時期が一番しんどかったんじゃないかなと思います。そういう鬱屈した状態を感じつつも自分に的確な助言など出来るはずも無く歯痒さを感じていました。
転機となったのはノブが誰にも告げずに単身沖縄の松根さんの所へ出稽古に行ったことでしょうか。自分も後から知ってびっくりしましたが、その後に出場したアマ修関東選手権3位となり、2022年に沖縄大会でのトライアウトマッチに呼ばれました。そこでは普段より1階級上で戦い判定負け現地で観戦しましたが正直勝ったと思いました。プロライセンスはまたしてもその手からすり抜けてしまい、流石に落ち込んでいました。ノブより後に入門して来た後輩達がプロとして経験を積み始め、練習で彼等の高い壁となっているのに次戦の予定を聞かれると「俺なんかアマチュアだからさ」と自虐するノブは見ていて辛かったなー。

そして今年の4月、再度巡って来た沖縄でのトライアウトのチャンス。判定勝ちしとうとう修斗のプロとなります。そして今回、憧れていた舞台での記念すべきプロデビューを迎えます。実力は確か。後は練習で見せる強さを試合で見せられるか。本人は不安でしょうがコチラとしてはやっとノブが正当に評価されるチャンスだと思っているので、考えすぎずいつも通りを出して欲しいと願っています。
9月の中旬から練習に付き合い、一月でミットを250ラウンド以上持ち自分の練習が全く出来なかった先輩の願いとしては、とりあえず精一杯悔いの残らない試合をしてほしいなと。

大会に出る各選手には一人一人それぞれの人生があって、ジムの仲間や友人、家族など色々な物を背負って試合に臨みます。少しでもこの試合にかけるノブの気持ちを私の視点から見てもらえれば良いな、と思いこの記事を書きました。余計なお世話かも知らないけどね。ノブ、頑張れ。そして試合終わったら流石に俺に豪遊させてくれ笑。
修斗沖縄は↓から配信で見ることが出来ます。興味ある方は是非。応援する選手の名前に山本敦章と書いていただければ幸いです。
https://twitcasting.tv/f:3609780655707379/shopcart/333320


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