湯川楓

ヒーリングマイセルフ 好きなもの思い出す日記。

湯川楓

ヒーリングマイセルフ 好きなもの思い出す日記。

最近の記事

好きなもの思い出す日記②

好きなもの思い出そうと決めたら色々なことがバババと出てきた。私もわりと酔狂な人生だった部分もあるよなと。結構、冒険家。そう、紙の日記に、芸術的な事業家で退屈しない冒険家であるとあった。いいこと書いてある。私の日記は私を救ってる。私は自分を救うために書いているのかも。そうだ、日記は読むのも書くのも好き。そして書いて出版している人には嫉妬心がわく。フン。私だって。そんな気持ち。野球選手にはそうは思わない。だから、自分にひっかかりのあることは心が教えてくれている。観じ、というものだ

    • 好きなもの思い出す日記①

      それは朗読だった。 小学校の国語の時間、朗読をする係は私だった。先生が私を指名すると、みんなが真剣に耳を傾けて、ほうっと聴き入ってくれていたこと今も覚えている。からかったりする子もいなかった。いつもはバカ男子の子たちも聴き入っていた。そんな力のようなものが静かにあったこと。 いくちゃんのバーで呑んでいた時も隣に座った気前のいいおじさんがワイン奢ってくれてそして私の声をいたく褒めてくれた。君は声がいい、声がいいよ。何度も。 そうなのかもしれない。確かに私も自分の声は好きだ。少し

      • 【本】たすかる料理 桉田優子

        まじで私の人生を変えた本はこれだ。人生というのはパッと切り替わるんじゃなくって、生活の積み重ね、毎日の折り重なり、日々の営み。それらが変えてゆく。桉田優子は、台所で自分だけの神話をつむぐ。どうしてそのオリジナルな神話に行き着いたのか、その背景と具体的なレシピを共有してくれるから説得力がある。 台所の神話というのは何か特別な経歴や経験だとか、料理研究家だとかでなくても、今ここから自分の手ひとつで奏ではじめることができるのだった。 それくらい台所というのは個人的なもので、それを

        • 【本】プリズム ソン・ウォンピョン

          今年、子を生んだ。生活は一変して、仕事ばかりしていた時期のこと、恋愛していた時のことは遠い宇宙、むしろ前世。我が身に起こったこととはにわかに信じがたい他人のドラマのよう。 産後のホルモンバランス崩壊も手伝って、過去の恋愛がすべて無駄だった、ていうか人生のすべてが失敗。井戸の底って…こういうことだったのか、と村上春樹のことを初めて理解したような。 その井戸の底への一筋の光になったのが表題の『プリズム』だった。 そもそもは、『女ふたり暮らしています』を読んでから、気になってい

        好きなもの思い出す日記②

          【本】ストーリーとしての競争戦略 楠木建

          戦略は、面白いストーリーである必要がある。まずこのタイトルが良い。本質的な課題は実務的側面よりも、経営戦略上のストーリーの秀逸さにある。 結構前の本だから、時代のフェーズも少し前で、D2Cとかでストーリーは当然のものであって、その先にあるものをより重視する今の時代とまた違うなとは思うけど、ストーリーがなぜ重要なのかが具体例とともに語られているのがいい。 スタバは、コーヒーを売っているのではなく、サードプレイスとしての空間、ムード、時間などの情緒的価値までまとめて売っている

          【本】ストーリーとしての競争戦略 楠木建

          【本】世界の終りとハードボイルドワンダーランド 村上春樹

          ミステリーでも、大どんでん返しのストーリーでもない。なのに、ラストにこれほど衝撃を受けた本が他にあるだろうか? いや、無いと思う。 主人公のリアルと意識のふたつの世界が並走し交互に描かれる構成で物語は進む。リアルの世界と言ってもそこは村上春樹の描く不思議な世界観なのだけど、そこで主人公は不条理な事柄に飲み込まれていく。その飲み込まれ方というか、巻き込まれ感が、架空の世界なのにまるで現代社会の理不尽なシステムと人との関係性のよう。現代の政治ってまさにそうじゃないですか?ハイ、

          【本】世界の終りとハードボイルドワンダーランド 村上春樹

          【本】吹上奇譚 吉本ばなな

          ファンタジーとリアリティのあいだを紡ぎ、その淡々とした日常にある光るものに焦点を当てて、視点や視野を優しく揺らす。吉本ばななの作品は、わたしのなかでそんな存在。 谷崎潤一郎賞を受賞した短編集「ミトンとふびん」もすごく好きだったけれど、やはり長編というのは、その物語の登場人物と会ったことがあるような、彼ら自身が自分の身近な存在として心に住んでしまうような作用があるもので、意識への残り方、自分のものの見方への響き方が、より深い。 第二章の「どんぶり」で、主人公のお母さんが、どん

          【本】吹上奇譚 吉本ばなな

          【本】職業としての小説家 村上春樹

          村上春樹のエッセイが電子化された。私が紙で読んだのは、「走ることについて語るときに僕の語ること」、「夢を見るために僕は毎朝目覚めるのです」、「職業としての小説家」のみっつ(ふたつめはインタビュー集)。読書の半分はAmazonのAudibleでするようになり、音声化されている「職業としての小説家」を読む(というか聴く)ことに。 ビジネス本や自己啓発系の本よりも、具体的な取り組みや姿勢が描かれており今すぐ実行可能で、個人的な哲学に基づく示唆、あらゆることに通ずる普遍性。そして続

          【本】職業としての小説家 村上春樹

          ライオンズゲートとマヤ暦元旦、あたらしいはじまり

          私は美容業界という分野で働いているのだけど、この世界はスピッてる人が多い。占い師がお友達とか、しいたけさんに観てもらったとか、風の時代とか水瓶座の時代とかそういう話が日常茶飯事。とくにセラピストの方は、不思議な世界のことをよく知っている人が多くて、体をつきつめると科学とかだけで分からないゾーンに突入するのかなーと思ったりする。(誰でもってわけでなく一流のセラピストがそういう傾向にある私調べ。) そんなセラピストのうちのひとりに教わったのがライオンズゲートという言葉だった。夏

          ライオンズゲートとマヤ暦元旦、あたらしいはじまり

          ホ・オポノポノと大雨、赤紫蘇ジュース

          大雨で新幹線がとまり帰省をやめた。実は、行きたくないなー、どうしようかなあ、と思っていて、前の晩もうまく寝つけず… でも起きたらちょっとすっきりしていたから腹をくくって?行くか…と思ったら大雨で避難勧告、ダイヤ乱れ。乳飲み子を連れてくのはどうだろうということになり、中止。 天気の子って、こういう感じの話ではなかった?(見てないから適当な記憶)と思いつつ… なんというか、文字通り天の采配に驚きながらどこか納得するような気持ちに。 それは昨夜寝つけない中で、ホ・オポノポノをして

          ホ・オポノポノと大雨、赤紫蘇ジュース

          ハンドドリップ考

          だいたい目分量、まいにち適当、なわたし。適度に適当にほぼまいにち淹れるコーヒーはほんとうにほんとうに、美味しい。 わたしは、商品とかそのプロモーションとかのいろんな企画をたてたり、そのコピー書いたりするようなまいにちを送っていて、何がいいたいかというと、コーヒーをハンドドリップするとかいう世界は真逆に存在するファンタジーだった。 そして今もなんだかすごく素敵ライフでハンドドリップコーヒーを淹れてるとかいうことでもなくって、わたしが感じているのはただただ行動、行為としてのハ

          ハンドドリップ考

          【本】一滴のわたしたちの、生きてる意味なんて

          ひとつとして同じでない。かといって特別であるなんてこともない。それが家族であって、そして人だってこと。そんなふうに要約してしまうと当たり前すぎてこぼれてしまう、それにまつわる大切なことを、個人的な物語を通して言葉という形に落として、わたしたちに見せてくれる。 これは、村上春樹『猫を棄てる』の読書感想文。 家族って、幸せなイメージの(しかもそれは限定的な)中に入っている必要があるような気にさせられて、でも、そんなことが可能なわけがないのである。無数の家族の単位、その中に無数

          【本】一滴のわたしたちの、生きてる意味なんて

          【コーヒーと雑感】松本、まるもの珈琲

          松本にまるもという老舗の喫茶店がある。 酸味が少なく、苦味の強い珈琲をだしてくれるお店。カフェオレとともに、モンブランを頼むのがお気に入り。松本に行くとよく歩くから、甘いものを補給してまた川の周りをぐるっと巡るのです。 松本は、20歳になる前に亡くなってしまった岡本くんの故郷。岡本くんは私の夫の友人で、私は直接面識はない。でも、夫と出会った頃からずっと岡本くんの話を聞いていたし、それから何度か松本にゆき、彼のお仏壇に挨拶をしてきた。 亡くなる前日、岡本くんは夫(その時は

          【コーヒーと雑感】松本、まるもの珈琲