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魅惑のロンシャン
長い連載が終わり、リフレッシュとインプットを兼ねて来月京都に行くことにした。
一人旅を予定していたけど、そのことを母に話すと「わたしも久しぶりに行きたいなー」と言うので、ちょうど五月は母の日もあることだし親子二人で行くことに。
そうと決まると母はものすごく張り切って、2〜3泊用のキャリーケースを買ったと報告してきた。そういえばわたしも旅行用のバッグを持っていないことに気づく。買わねば。なんせ三年ぶりの旅行である。旅行に使えそうな大容量バッグといえば8泊用のどでかいキャリーケースか、非常用防災バッグと化してしまった登山用リュックしか持っていない。
そこからわたしは、じっくり時間をかけて2泊3日の旅行バッグを熟考した。何が自分にとっての最適解かひたすら調べ抜き、考えた。
最初は母のように小さめのキャリーケースを買おうと思い、前から気になってたロジェールのキューボというシリーズを買おうとした。(フロントオープンの使いやすそうなやつ)しかし、わたしの欲しい色がことごとくどこも売り切れていて「これは縁がないんだなぁ」と諦めることにした。
まあクローゼットに収納する場所もないし、お土産もそんなに買わないだろうし、旅行自体も今回行ったらまたしばらく行かないだろうから…と買わない理由を見つけて割とすんなり諦めがついた。
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キャリーケースという選択肢をやめて、肩にかけられる大容量のバッグを調べ回った。
ハイブランドからプチプラまでとにかく沢山。
バッグ専門のブランド以外にも、ファッションブランドからも荷物を沢山入れたい人に向けたデザインのバッグが出てることが割と多い。
思いつく限りのものを見て回った。(特にOLさん向けのファッションブランドとかは、PCやA4サイズが入るおしゃれで大きいバッグが毎シーズン一定数出てる)
ステイトオブエスケープのトートバッグ、ジルサンダーのワンダースクエア、レスポートサックのエッセンシャル、THE ROWのパークトート、A VACATIONのタンク、ジャンニキアリーニのマルチェッラ、エルエルビーン、ウィローベイ、ユニクロ、ZARA、H&M、emmiのジムバッグ、Mila Owenのカゴバッグ、CASA FLINEのトートバッグ、IENA、BEAUTY&YOUTH、BEAMS...
とまあこんな感じで見ていただくとわかるように、ジャンル問わず雑多に見ていくうちにわたしはもう何が正解かさっぱりわからなくなってしまった。完全なる迷走である。
自分が一体どんなバッグが欲しいのか、何を一番旅行バッグに求めているのか、何が正解なのか…
そんな感じで旅行バッグの宇宙にふわふわ漂っていると、一つの疑問がふと浮かんだ。
「ロンシャンのバッグってなぜこんな人気なんだろう?」
「大容量バッグ」「軽いバッグ」「トラベルバッグ」のキーワードで調べると、いつもそのおすすめの筆頭に上がってくるのはロンシャンのル プリーアジュだった。
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わたしが覚えているロンシャンの最後の記憶といえば、10年前くらいにジェレミースコットとコラボしてたあの奇抜なプリント生地のル プリアージュを原宿のおしゃれファッショニスタたちがこぞって持っていた時。
そして今、街中を見渡すといつの間にか学生さんやOLさん、子育てに励むお母さんやシニアマダムまで年代問わず幅広く使われていることにふと気づいた。
(表参道にあるLONG CHAMPの店舗はロングチャンプっていう名前のなんか格闘技系のいかついブランドかな…と思っていた)
こないだ上野から新宿まで出かけた日に、一日で何人ロンシャンを持った人とすれ違うか密かにチェックしていた。全部で5ロンシャン見かけた。(どういう単位)これって何気にすごいことだよね。今ではOLさんのランドセルと呼ばれているほどなのだとか。
ここまで絶大な人気を誇るのには必ず何か理由があるはずだ…!と、数多のブランドのトラベルバッグを見回ってきたわたしはひとつの答えに辿り着き、そして納得した。
ロンシャンは何もかもが絶妙で、何もかもちょうどいいのだ。
歴史があり、全世界から支持される高い知名度とブランド力、かつ全方位に向けて嫌味がないブランドイメージ。手が伸びる価格帯、ヘビーユースできて雨や汚れに強いナイロン素材と抜群の軽さ、安っぽくなくて癖のない普遍的なデザイン、そのどれをとってもバランスが良い。
過不足がないのだ。
こういうブランドって探してみても案外他になかったりする。
デザインが素敵でも機能性が残念だったり、逆に機能性が抜群に優れていてもデザインが劇的にダサかったり、価格がべらぼうに高くて旅行中に気兼ねなく使えないだとか。
旅行バッグという用途で見ると「惜しい!あとちょっとなんだよなぁー!」ってものが多かった。
そういうものと比べてみると、ロンシャンはブランドとしてのバランス感覚と「そうそう消費者は結局こういうところを求めてんのよ!」というかゆいところに手が届く感が優れていた。
すべてが理に適っているというか。
その後、機能性デザイン値段などいろいろ加味しながら他ブランドを調べれば調べるほど、ますます最適解がロンシャンに思えて仕方なかった。
(個人的にファスナーついててしっかり口が閉じるところも重要ポイントだった。沢山入ってもファスナーがついてないバッグは意外と多い。)
百聞は一見にしかず、使ってみないことにはロンシャンの本当の良さはわからない。悩んだ結果、購入した。
買ったのはルプリアージュ グリーンというラインのリサイクルナイロンを使ったエコな商品で、この春の新色のフラワーという色にした。
春らしくて明るいピンク色でかわいくて気に入った。
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届いて早速これを持って2時間半ほど外を散歩してみたのだけど、まず驚いたのがその軽さ。
圧倒的に軽い。調べてみたら、わたしの買ったLサイズはなんと330gしかないというのだ。
330gっていうと、身近なところで想像できるのはスーパーでよく買うひき肉のパックがぱっと頭に浮かんだ。この大きさと収納力を持ちながらにして、バッグ自体はひき肉のパックを肩に乗せるくらいの重さしかないというのだから驚く。
わたしは普段から荷物がめちゃくちゃ多い族で、スマホや財布をはじめ落書きノートやペンケース、AirPodsや携帯バッテリーや化粧ポーチ、名刺入れに除菌ウェットティッシュにアルコールスプレーにマスクケースに飲み物など、とてもじゃないがミニバッグになんて入りきらないほど必需品が多く、バッグは収納力重視で選ぶことが多かった。
しかし沢山入る大きいバッグはバッグ自体が重いことが多く、すぐ肩が痛くなったり腕が疲れたりするのがちょっとした悩みだった。
その点このロンシャンはバッグ自体がとても軽く、持ち手の部分も優しいあたり具合で、それだけでこんなにストレスフリーなのかと感動した。
正直買う前は、「ナイロン製で17000円か…」なんてちょっと脳裏をよぎったりもしたが、この軽さを買えるのなら安いもんだなと心から思えるほど軽かった。
なんならもっとぶっちゃけると、デザイン的にも好みかと聞かれると正直そんなに趣味ではなかった。それなのにこの軽さを体験したあとはなぜか無性にかわいく思えてくるから不思議である。
わたし以外にもそういう人を何人かSNSで見かけたから、きっとなんかそういう人の感情を覆すほどの魅惑の魔力がロンシャンにはあるんだと思う。
市場の声を調べると「ロンシャンは人と被るから嫌」なんて声もちらほら見かけた。
そりゃこれだけ実用性と快適性を兼ね揃えたものなのだから被ってしまうほど多くの人から選ばれるよなあ…!とむしろ納得してしまった。
たしかに大衆派なものや流行りものを避けようとする気持ちはとてもよくわかる。だけど人気なものにはやっぱりそれ相応の理由があるし、きっと人々が単にこれは素晴らしい商品だと思ったものが結果的にここまでの流行りをもたらしたのだろうなぁと素直に思った。
「若い人が使ってるイメージ」「年齢層高めなイメージ」という二つの声が同じくらいの勢力で存在してるのも個人的にすごいことだなと思った。
普通ブランドは、大体ターゲット層があるからどこかの年代層に偏ることが多い。でもこの二つの声が同じくらいあるってことはそれはもう年代問わず普遍的に広く行き渡ってて、どんなライフステージの人にも使いやすく人気な証拠。
かく言うわたしも60代の母に今度プレゼントしようと思ったし、年下の友人にもすすめてしまったし。
これだけもう多くの人が使ってて、昔から世に周知された商品。「おまえに言われんでもロンシャンの良さは知っとるわ!」と言われてしまいそうだし、それを今更こんな熱量で語ってるのってなんかウケるしちょっと恥ずかしい。でも「世で良いと言われるものにはそれだけの理由があるんだなぁ〜〜!!」とひとりで感動してしまったのでこんなに長く語ってしまいました。許してほしい。
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ただひとつだけ難点をあげるのならば、かばん内が広々としすぎて入れるものがサイズに対して少ない時に荷物がバッグの中でがちゃがちゃ動いてごちゃついてしまうところ。インターネットの情報を頼りに無印のバッグインバッグ(ヨコ型A4サイズ)を買ってみたらすんなり解決したので同じこと悩んでる人はこれ、おすすめだよ。
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そんな感じで今回の2泊3日の京都旅行はロンシャンのル プリアージュと、パッと財布とスマホを出せるサブバッグのセリーヌトリオを持つでファイナルアンサー!って形でまとまったのでした。
旅行楽しみだな。
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余談なんだけどこのセリーヌのトリオ、もうこれ本当に使いやすくて大好きで4年前に買って以来ゴリゴリに愛用しまくってたのだけど、なんと廃盤したという噂を耳にして「嘘だろ!?」って信じられなくてセリーヌのカスタマーセンターにすぐさま電話かけて確認してみたのです。
そしたら本当に国内販売終了してた…全店舗在庫もありませんって…
ここ最近で一番ショックな出来事。諸行無常だ、何事も。今持ってるトリオが使えなくなるその日まで大事にしようと思った。
こんな長々とわたしのかばん話を聞いてくれた方、本当にありがとう。気づけば4000文字超語っててうける。
というわけでロンシャンいいよ、ロンシャン。
まんまと好きになっちまったぜ…という愛の日記でした。
おしまい。