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罪で繋がれた二人は美しい

前回のnoteからだいぶ時間が経ってしまいましたが、みなさんお元気ですか?
前回に引き続き、今日も韓国作品のお話です。

少し前に、パクチャヌク監督の映画『別れる決心』を見てきました。
BTSのリーダー、RMことキム・ナムジュンがハマりにハマって8回観た映画です。気になって軽い気持ちで観に行ったら、典型的なミイラ取りがミイラになって2回も見ました。

ジャンルはサスペンスロマンスです。
山から60代の男性が転落して亡くなった事件。その事件を通して知り合った刑事と容疑者。
容疑者である美しい中国人女性ソン・ソレ(亡くなった男性の妻)とその事件を担当する几帳面で誠実そうな刑事のパク・へジュンが主人公。

ロマンスかぁ、、、と思って敬遠しがちな人ほど楽しめるような気がします。
というのは、ロマンスという言葉だけを捉えるとどこか薄っぺらく感じてしまうことがあると思うんですが、私はこの物語にそういう薄っぺらい感じのロマンスは一切感じなかったんです。
じゃあ何を感じていたかというと、”死の気配”だけを感じていました。主人公のソン・ソレから漂う死の気配です。

ソン・ソレの死の気配。
中国語訛りの韓国語のどこかぎこちなく甘さを感じる発音、笑顔が長続きしない感じ、へジュンが”体がまっすぐ”と表現したように断固として揺るぎないところ、”山猫”と呼ばれた祖父の血を受け継いでいる野生の生き物のようなところ。
野生の生き物は、自分の敵をちゃんと見分け、どうやって生き抜くかだけを考え、最後に自分の死に場所すら自分で決める。
生きることと死ぬことがちゃんと、真っ直ぐに、背中合わせになっている。

そんな野生の生き物のような彼女だけど、へジュンの言うこと(言葉)は良く聞いていたなぁと思う。
”海の深いところへ捨てて”
録音された音声の彼の言葉を幾度も幾度も繰り返し聞いて、最後にはその通りにしたのだから。

こんな風に書いていると、重苦しい作品なのかな?と思われるかもしれないけれど、クスッと笑ってしまうユーモアも随所にあります。
笑わせてやろう、というユーモアではなく、真面目にやってるのにどこか滑稽になってしまうような、そんなユーモア。
ユーモアとは違うんだけど、大人の生々しいところが出ちゃってて良かったのが、妻とイム主任と柘榴とスッポン(語呂がいいな)。ネタバレになるから書きませんけど、そういうことですよね??って思って、見た人とそれについて語り合いたい。

あと小道具やインテリアが本当に印象的に使われています。
ウィスキーのKAVALANがレコードがみっしりと収納された棚にポツンと置かれているところとか、登山が趣味だったキドス氏の家の壁紙が山の模様を模した深い緑色なところ、灰皿の色も緑色。あの部屋をへジュンと同じように双眼鏡でずっと見ていたい、そんな気持ちにさせる部屋。へジュンの部屋も彼の性格を表していて好きでした。

久しぶりに、まるでラストシーンの波のように、何度も打ち返してくるような余韻の映画を観ました。
罪で繋がれた二人は何故こんなにも美しいのだろう。
そんな風に感じる映画でした。

あと、パンフレットもすごく凝っていて素晴らしいので是非劇場で買ってください!これ、日本版だけなのかな?絶対ナムさんも気にいると思うんだけど?韓国のパンフレットはどんな感じだったんでしょう、気になります。

あと、ナムさんがこの映画好きすぎて自身の曲とコラボしてたんですけど、この映像がこの映画の良いところ、私の好きなポイントも全部ギュギュッと押さえすぎていて、映像チョイスしたのがナムジュンだったとしたら本当にメリーミー案件なんですけど、どなたかご存知ですか?(唐突)

そんなナムさんの曲とのコラボ動画、見てほしいけど、思いっきりネタバレするから映画を観てから見てほしい。


ということで、今日は映画の紹介でした!
では、また!

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Ai Yonekura
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