ブリューゲル「バベルの塔」展、あなただけの物語を。
東京都美術館で開催中のブリューゲル「バベルの塔」展へ行ってきました。
旧約聖書のあまりにも有名な物語であるバベルの塔。
数々の芸術家を魅了し、その物語を絵にした画家も多いですね。
(ホームページでも参考作品としてブリューゲル以前の画家が描いたバベルの塔が紹介されています)
ブリューゲル自身もバベルの塔を2枚描いていて、今回の「バベルの塔」は2枚目のものだそうです。2枚を比較してみると、同じ画家のものなのに、そこから受ける印象はまったく異なります。
そして、美術館で「バベルの塔」を観ていた大勢の人々。その一人一人が同じ一枚の絵から感じる物語も、また一人一人違うのです。
実はわたし、展覧会を観る前に映画「メッセージ」の原作である、テッド・チャンの「あなたの人生の物語」に収録されている「バビロンの塔」という60ページほどの短編小説を読んでいました。(読むことになったのはまったくの偶然で、詳しくは「ネオンサインのように光る小さなメッセージ」に書いています)
↓こちらの本です。
そして、気づくと、その小説に描かれている世界をブリューゲルの「バベルの塔」の絵に重ねていました。
巨大な塔を作るため、塔の中に住み、野菜を作っている人々。
子供たちは高さを気にせず走り回っている。
自分が生まれる前から、当たり前のように塔を作っていたため、”畏れ”を抱くことすらしない彼ら。
そこに、”畏れ”や”自負”や”ほんの少しの疑問”などの様々な感情を持ちながら、主人公である異邦人の鉱夫が登って行く。
小説のラストは、よくある「神の逆鱗に触れました」だけの寓話的なものではなく、世界の見え方が変わるようなものでした。
(ブリューゲルの「バベルの塔」も寓話的要素はあまりないですもんね、「バベルの塔」展、観に行った方に是非読んでほしいなぁ、なんて勧めてみたりして…)
この小説を読んでいたので、「バベルの塔」を観た時も、一瞬小説の世界がよぎりましたが、絵に描かれた”塔の中の教会”や行き交う人々などを観ていると、ふいに「わたしだけの物語」が始まったのです。
旧約聖書の物語でも、テッド・チャンの物語でもなく、「わたしだけのバベルの塔の物語」です。
「バベルの塔」に限らず、素晴らしい絵画、音楽、詩などに触れたとき、受けとる感情は人それぞれで、それをじっくり味わうことで「わたしだけの物語」になっていくんでしょうね。
昔、オランジュリー美術館で、”睡蓮の間”に長い時間座っていたことがあります。
ガイドもいないし、もちろん説明書きも読めない。
ただ、絵と光に満たされたその部屋の真ん中の椅子に座っていると、そこにはたしかに「わたしだけの睡蓮」がありました。
展覧会などに行くと、欲張ってあれもこれも、効率的にあれもこれも(チケット代もまぁまぁ高いし元を取らないと!とか。笑)と考えてしまいがちだし、場の空気(周りのお客さんの絵の見方)に影響されてしまうこともあります。
でも、展覧会を観ながら、知識を得るだけではなく、自分の感情にも向き合ってみると、そこには「わたしだけの物語」、わたしにしか感じ得ないものに出会えたりすることが、やっと最近分かってきました。
少し脱線しましたが、ブリューゲルの「バベルの塔」展、東京での開催は7/2までになっています(もうあと一週間!)
公式ホームページはこちらです。
絵の緻密な世界に触れることで「あなただけのバベルの塔」との邂逅が待っているかもしれません。
番外編:グッズ紹介
最近の展覧会のお土産(グッズ)って凝っていますよね。わくわくします。
わたしが買ったのは、こちら。じゃん!
バベルの塔の箱の中にキャラメルとへんな生き物のシールが入ってます。
へんな生き物は選べませんので、開けてのお楽しみ♡
そして、まさかの「タラ夫」を引きました!う、うれしいぜ。(タラ夫は今回の展示の公式キャラクターです)
美術館にいた、タラ夫も載せておきますね。か、可愛いかな?
あとは、ブリューゲルの緻密さに「わたしも緻密なこと好きだったかも」と盛大な勘違いをして買ったこちらのパズル。
今朝起きた時に首が痛かったんですが、原因はコレでした。
ブリューゲルさんのところだけ完成(道のりは遠い…)
首が痛いってTweetしたら、タラ夫がまさかのいいねしてくれたよ…ありがとう、タラ夫。
でもね、首がまだ痛いよ。
最後まで読んでくれてありがとう!
では、また!
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