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🟡娘に贈る回顧録 48/7300 朝の風景
冬の朝
一番に起き出してカーテンを開ける
『母さん、起きて』
『今日も赤いお空』
毎朝のブームになった朝焼け観察
あと5分寝ていたいというタイミングで
それは行われる
気持ちを切り替えて、エイッと起き上がる
毛布にくるまって窓際へ
手も足も冷たくなった娘が潜り込んでくる
濃い紫から赤、オレンジ、ピンク
美しいグラデーションの雲
鳥のシルエットがゆっくりと動く
次第に太陽の光が強くなり
色が消されてゆく
腕の中の娘の笑顔は満足気に輝いている
【好き】を一緒に味わうことが
幸せなのだと知っているかのように
十数年前の思い出
今も綺麗な朝焼けに出会うと
あの日々の笑顔とぬくもりと愛おしさが
よみがえる
朝焼け、夕焼け、星空、季節の匂い
そんなものを楽しむ余裕が残っているのか
忙しい毎日に押し潰されてはいないだろうか
朝の窓辺でひとり思いを馳せる