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石けんの木
鍼灸の往診にでて13年。
たまにおばあちゃん達の話しででてくるのが
石けんの木だ。
戦争の頃は石けんや洗剤がなく
石けんのような葉っぱで代用していたと言うことだ。
それは、神社などに生えていて 水でもむと
石けんのように泡が立つらしい。
その話を聞いたのは7.8年前だったと思う。
どんな、木なんだろうといつも思いを馳せていた。
私も見てみたいと!
そんなことを忘れていたある日の往診で
昔の話をしていると
「さいかじ」という石けんとして代用していた
豆のようなものの話をしてくれたお客様がいた。
それって、それって 石けんの木ではないか!と1人で興奮してあとで、調べようとメモして帰ってきたのだ。
「さいかじ」で調べると「サイカチ」だったのだ!そして、葉っぱじゃなかったんだ!
実を石けんにするのだ。
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サイカチの実にはサポニンという洗剤と同じ成分が含まれている。
本当に石けんの代わりになるらしい。
日本のナチュラル石けんである。
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いつか、サイカチの木を探しに行きたい。
そして、ナチュラル石けんを作って
おばあちゃん達に見せてあげたい。
石けんの木の話は だいたい戦争中の時の話だ。物がなく、石けんも配給でほとんどなかったらしい。
でも、春になると川に行き川桁のところで
みんなで大物の洗濯物をかかえて
洗濯に行ったらしい。
昔の川は澄んでいて汚いものを流す人もいないし
洗剤もほとんど使わないから川も汚れない。
5月の少し暑い日くらいにやる年間行事。
お天気の良い日に大きな洗濯物をみんなで
持ち寄って おしゃべりしながら洗濯してる。
のんびりとした風景を思い起こさせる。
キレイな空とキレイな川と
おとぎ話のようだ。
懐かしそうに話す
おばあちゃん達の顔はいつも笑顔になる。
その時は子供だっただろうおばあちゃん達。
自分たちの母親について行って
洗濯してる風景を見ていたんじゃないかと思う。
一度見てみたいな。
日本の失われた風景。
きっと ほのぼのと心も洗われるだろう。