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1+1=100:「彼方のアストラ」+「わたしを離さないで」

SFアニメ「彼方のアストラ」と、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」が自分の頭の中で相互に結合して、大変なことになっています。
片や漫画・テレビアニメ、片やノーベル賞作家のブッカー賞候補作。なんでそんな二つが、と思うかも知れませんが、両方知っている人にはわかりますよね。裏技・反則級の合わせ技で、この感動、というか、やられた感というか、一気に深みが増す感というか。この二つは絶対に両方観なくてはいけません。1+1=100です。
これらを二つとも詳しく解説してしまっては、これから実際に見る人の面白みを削いでしまうでしょうから、一方は「説明しないから、ただ見て」に留めておきます。

観る順番は「わたしを離さないで」が先、次に「彼方のアストラ」です。
「彼方のアストラ」の方を(大雑把でネタバレなく)解説します。

彼方のアストラ」は日本の漫画、およびアニメ作品です。全体として一言でまとめてしまうと「SF冒険譚」で、宇宙時代の高校生らが宇宙キャンプで迷子になるが、力を合わせて乗り越えていく、という話です。ジュール・ヴェルヌの「十五少年漂流記(2年間のバカンス)」のようなものと言っていいです。
私はアニメで観ました。アニメだからアニメ臭いのは当たり前で、表現はステロタイプで過剰気味、やや幼稚な感じとアニメ的なエロ表現もあります。
とはいえ、見る人それぞれのビジュアルの好みもあるわけで、私には好意的に見られる範囲でした。ちなにみ私のアニメ許容度は、こちら方面では「ヨルムンガンド」はOK、「フルメタル・パニック!」がギリ、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンス」はちょっと限界超え、といったところです。

SF作品という観点では、SF物理の直感的なビジュアル表現が妙にリアルで、なかなか受け入れやすかったです。
またビジュアルだけでなく、それぞれのキャラのストーリー上の転機・中心点があり、それらは私たち視聴者の現実界とも結合していて、なかなか納得感があります。まあ悪いストーリーじゃないな、いい感じじゃないか、お薦めできるな、という感じです。

そして、そこに徐々に陰謀譚が立ち現れてくる。詳しくは説明しませんが、この先で偶然にも第二の作品、カズオ・イシグロの 「わたしを離さないで」と世界観で繋がっていたのです。そのことに気づくと、一気にストーリーが立体化し、現実化し、こちらに迫ってきます。そのことをぜひ皆さんに感じて欲しいのです。

説明を加えない第二の作品「わたしを離さないで」は原作小説、英国の映画、日本のテレビドラマ(主演:綾瀬はるか他)で観ることができます。テレビドラマがアマゾンプライムで視聴でき、かつストーリーが国内に翻案されているので、国産アニメとつながりがいいのではないかと思います。

こちらを知っている人には、「彼方のアストラ」を観た時、後半で何十倍にも深さが深まるのが感じられると思います。
これ以上の説明は不要です。ぜひ「わたしを離さないで」を先に、「彼方のアストラ」を後から観てみてください。十二分に見る価値あり、損はしないと思います。

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