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【展評】田凱「とるに足らない雲の力学」(2025.1.24-2.6|ソニーイメージングギャラリー銀座)
田凱は2006年に中国から機械エンジニアとして来日したが、そのまま日本に在住して、写真家となる道を選びとった。2018年に第19回写真「1_WALL」でグランプリを受賞するなど、その動向が注目されている。今回のソニーイメージングギャリー銀座の個展「とるに足らない雲の力学」は、2021年にふげん社とTOTEM POLE PHOTO GALLERYで開催された写真展の延長上にある。ただし、2021年の展示の時のタイトルは「取るに足らないくもの力学」だった。田凱本人の話だと、元々「くも」という言葉には、蜘蛛と雲の両方の意味が掛けられていたのだという。繊細ではかない存在である「蜘蛛」と、常に取りとめもなく形を変えていく「雲」、その両者のダブルミーニングに、当時の田凱の思いが込められていたということだろう。今回は、たまたまメインの写真の一枚が「雲」のイメージだったので、このタイトルに落ち着いたようだが、展示されている写真には、「蜘蛛」の意味もまた紛れ込んできているように感じた。写真展の出品作は、彼が日常の中で見出した断片的なイメージ群で構成されている。自動車、自転車、建築物、道路などの無機物と、植物などが混在する、文字通り「とるに足らない」眺め、だがその選択と配置には、独特の「力学」が働いている。ぜひ写真集としてもまとめてほしいシリーズだ。
レビュアー:飯沢耕太郎
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田 凱 作品展「とるに足らない雲の力学」
会期:2025年1月24日(金)〜2月6日(木)
会場:ソニーイメージングギャラリー 銀座
関連リンク:https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/detail/250124/