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「定額働かせ放題」と教員が言われるのはどうして?

◆残業代が出ないのはなぜ?

教員が「定額働かせ放題」と言われる理由は、給与が固定(定額)で、どれだけ仕事をしても、残業をしても、給与が増えない(働かせ放題)だからですよね。

一般的に、残業をすれば残業代が出ますし、時間外労働には手当が出たりします。
私の過去の経験でも、学生時代のアルバイトですら、こういった残業代や手当は支払われていました。

では、なぜ教員にはそれがないのでしょうか。

それは、「給特法」という特別なルールがあるからです。

▼「給特法」とは

「給特法」とは、「教員給与特別措置法」のことです。

教員給与特別措置法

教員の勤務態様の特殊性をふまえて、公立学校の教員について、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに、給料月額の4パーセントに相当する教職調整額を支給することを定めた法律。昭和46年(1971)制定。

デジタル大辞泉

◆「給特法」の問題点は?

たしかに、教員の勤務は特殊です。それにより、一般的な仕事と同じルールとはいかないこともあるかもしれません。しかしながら、この給特法には、大きな問題があります。

▼教職調整額が少なすぎる

残業代が出ないかわりに支払われている「教職調整額」は、月額給与の4パーセントとなっていますが、この4パーセントという数字は、どこから計算されているのでしょうか。

実は、この計算の根拠は、昭和41年に文部省が実施した「教員勤務状況調査」にあります。

「教員勤務状況調査」の結果(昭和41年)
超過勤務時間(1週間平均)

・小学校・・・1時間20分
・中学校・・・2時間30分
・平 均・・・1時間48分

教職調整額の経緯等について:文部科学省より

みなさん、これを見てどんな感想をもつでしょうか?

私は、このように感じました。

  • 昭和41年って、何年前だよ。

  • 週の残業時間2時間なんて、1日分にもならないじゃん。

  • 何で、最近の勤務状況から計算しないんだ。


では、最近の勤務状況はどうなのでしょうか。

「教員勤務実態調査」の結果(平成28年)
超過勤務時間(1週間)※土日を除く

・小学校・・・20時00分
・中学校・・・20時間35分
・平 均・・・20時間18分

学校における働き方改革部会資料より算出

最新のデータが平成28年のものですので、その時から比べると勤務実態は変化しているかもしれませんが、昭和41年と比べて、大幅に増えていることがわかります。

つまり、今支払われている「教職調整額『4パーセント』」は全く実態に即していないということです。

では、この結果から計算できる「本当の教職調整額」は何パーセントなのでしょうか。

本当の教職調整額は?

週の超過勤務が平均1時間48分で4パーセントということは、平均20時間18分では、何パーセントになるのでしょうか。

1時間48分:20時間18分 = 4:X

これを計算すると
X = 45.1111111…
となります。

つまり、本当の教職調整額は、45パーセントということです。

※あくまでも時間のみでの計算です。その他の手当などを考慮すると計算は異なると思われます。

あまり知りたくなかった現実かもしれません。
本来であれば、給与に上乗せして45パーセントの教職調整額があっても良いということです。

45パーセントが正しい数値かは、おそらく計算方法によって返答が異なると思いますが
現在の教育調整額が少なすぎることに、異論はないと思います。

▼仕事の効率化を推進しない

●個人的な作業スピードの問題

職員室を見渡すと、こんな人がいませんか?

  • スマホでゲームをしている。

  • ネットサーフィンをしている。

  • お声で雑談している。

  • やらなくてもいい仕事をしている。

どれだけのんびりと仕事をしようが、無駄なことをしようが、
定額の固定給が支払われる学校では、時間にお金が支払われることがありません。

その結果、家よりも学校にいたい人や、他の教員と談笑したい人にとっては、
仕事を効率的に行う必要がないのです。

●組織的な学校運営の問題

もちろん、最近では「早く帰ろう」という流れも出てきてはいますが
根本的に「時間=お金」という感覚がありません。

「早く帰りましょう」と声を大にしている管理職ですら

  • 部活動の時間は短くできない。

  • 体育大会の応援合戦は、実施したほうがいい。

など、実際に残業ありきで実施されているものでさえ、減らそうとする姿がありません。

学校には、多岐にわたる仕事がありますが
その中には、外部委託できるのではないかと思う仕事も多数あります。

でも、外部委託はできないのです。お金がかかるから。

教員はどれだけ働いても、支払われる給与が同じ。
だったら、「子どもたちのために」という名目で、たくさん働いてもらおうという考えに至るわけですよね。

◆私たち、一個人にできることは?

▼優先順位を決めて働く

教員にたくさんの仕事があります。上司や教育委員会からの無駄な仕事が回ってくることもたくさんあります。

しかし、同時に「こうするべきだ」と思い込んで仕事をし過ぎている部分もあります。

私たちには、労働時間が決められているわけですので

「やるべき仕事ではあるけれど、全てをすることはできない。」

と、割り切ることも必要です。

大切なことは、仕事に「優先順位」をつけて働くことです。

▼効率化に投資する

同じ仕事をする場合でも、早く仕事ができる人はいます。

そういった効率的な働き方を実践するには、二つの方法があると思います。

  1. 考え方を変える

  2. 環境に投資する

1の「考え方を変える」については、先述した通りです。

2の「環境に投資する」とは、仕事道具にお金をかけようということです。

ただし、どんどんお金をかければいいという問題ではありません。

ポイントは、

  • 時間を買うことができるか

  • 集中力が高まるかどうか

です。

私は、こんなものを自分で購入しています。

  1. パソコンモニター

  2. ワイアレスマウス

  3. ワイアレスキーボード

  4. 書きやすいボールペン

  5. 卓上扇風機

特に、パソコンモニターを購入し、2画面で作業していることは、仕事を早く終わらせるための、大きな要因になっています。

▼行動している人を応援する

最近では、この問題がニュースで取り上げられ、現役の高校教諭や大学教授などが、活動してくださっている姿を目にします。

こういった方を応援したり、多くの人に知ってもらうことも、私たちにできることかもしれません。

◆まとめ

今回は、教員はなぜ「定額働かせ放題」と言われているのかについて、考えをまとめました。

残業代がでないのはなぜ?

給特法があるから。

給特法の問題点は?

根拠となるデータが古く、実態に即していない。

私たち、一個人にできることは?

優先順位を決めて、効率的に働く。

以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

この内容が、教員にみなさんにとって
少しでも役に立つ内容であれば嬉しいです。


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