電話が怖い、なんて言わないで
総務省から、電話がかかってきました。
ちょっと聞いてみてください。
あなたは、この総務省を信じますか?信じませんか?
実はこれ、特殊詐欺につながる電話、いわゆる「アポ電」です。
こんにちは。
激動のシャープを30年間、固定電話だけで支えた男、藤井です。
先日お会いしたブッコローというミミズクさんは、この音声を聞く前は、こうおっしゃっていました。
「僕は絶対、詐欺には遭わない」
ところが、詐欺の被害に遭った方の9割は、ブッコローさんと同じように「私は詐欺に遭わない」と思っていたんです。
2023年、特殊詐欺(被害者に電話をかけるなどして信頼させ、現金などをだまし取る犯罪)の被害件数は19,038件で、過去10年で最悪でした。被害金額は453億円で、なんと1日あたり1億2000万円を超えています。
しかも、これは氷山の一角かもしれません。詐欺に遭ったことを他人に知られたくない人、だまされたことにも気づいていない人も、たくさんいるのではないでしょうか。
そんな詐欺の入り口、犯人からの最初の接触手段は、約7割が固定電話です。
また、詐欺被害者と固定電話購入者の年齢層は、ほぼ同じです。
あなたは、もしかしたら、大丈夫かもしれません。
でも・・・
あなたの大切なおじいさん、おばあさん、
実家のお父さん、お母さんは
詐欺被害に遭わないと言いきれますか?
YouTube「有隣堂しか知らない世界」に出た
書店チェーンの有隣堂さんが配信するYouTube「有隣堂しか知らない世界」は、通称「ゆうせか」、ファンの皆さんは「ゆーりんちー」と呼ばれます。
そのYouTubeに出演して、固定電話について話すことになりました。
先日出演して、すっかり「ゆーりんちー」になった当社の電卓博士に教わり、私も準備を整えました。
(電卓博士のnoteも熱量がすごいので、ぜひご覧ください)
まず散髪屋に行き、ユ●クロでジャケットを買いました!
撮影当日、東京へ向かう新幹線で、電卓博士に借りた本「老舗書店『有隣堂』が作る企業YouTubeの世界」を読みました!付箋がいっぱいで、電卓博士のゆうせか愛がヒシヒシでした!
新横浜駅で降り、駅ビルの有隣堂で自分用のゆうせか本と、娘へのおみやげにブッコローさんのキーチェーンを買いました!
移動して有隣堂 伊勢佐木町本店のスタジオへ。
出番前の雑談では、緊張しすぎて上の空。ブッコローさんから「一言もしゃべってない!」と言われ、ちょっぴり笑ったおかげでリラックス。緊張をほぐしてくれてありがたかったです!
ピンマイクをつけられ、いよいよ覚悟を決めました。いざ、出演です。その様子を、ゆーりんちーさんのコメントも交えてご報告してまいります。
ブッコロー
\激動のシャープを30年間、固定電話だけで支えた男、藤井さんです!/
ご紹介ありがとうございます。コードレス電話機や家庭用ファクシミリなどを企画開発して気づけば30年。
電話機愛が強すぎて、飲食店では注文より先に、電話機を探します。
TVドラマや家族に乾杯するロケ番組でリビングが映れば、電話機を探します。
画面にチラッと映っただけで、大抵どのメーカーかわかります。役に立ったことはありません。シャープだったらうれしくて、ひとりでニンマリしています。
そんな私に、ブッコローさんから予想どおりの一言が!
ブ「固定電話ね・・・まだ作ってるの・・・?」
きた!いやいや、まだ、たくさん作ってますよ!
ブッコローさんの予想に反して、固定電話の需要は、まだまだあります。
シャープが電話機を作りはじめたのは、留守番電話機が1986年から、コードレス電話機が1987年から。きっかけは1985年のある出来事でした。そこから多くのメーカーが市場に参入しました。何が起こったかご存じですか?
ブ「急に・・・?急に固定電話クイズ?誰も喜ばない・・・全っ然わかんないわ・・・笑」
ヒントは、薬師丸ひ●子さん、です。ベルが鳴るぅ♪ もしもし、私♪ もっともっとぉぉ〜♪と心の中で歌う私。
ブ「すみません。存じ上げない。ごめんなさい。私、ちょうど4歳になったばかり・・・」
そうでした。ブッコローさんは、まだ4歳。私と年代が違うことをすっかり忘れていました。いきなりの大失敗で焦ります。
そう、1985年は、「電電公社」が民営化して「NTT」になった年。当時は薬師丸さんが歌うキャンペーンソングが、テレビCMで大々的に流れていました。
それまで固定電話機は、電電公社からのレンタル品や電電公社の認定品しか使えなかったんですが、民営化されて端末も自由化。どこのメーカーでも作っていいよ、となったんです。
当時参入したのはシャープ、パナソニックさん、ソニーさん、ケンウッドさん、ビクターさん、パイオニアさん、サンヨーさん。
約5000万台あった黒電話が、コードレス子機付き電話機や多機能留守番電話へ一斉に置き換わっていきました。需要のピークは1997年、業界全体で317万台。それから約30年後の現在も、徐々に減ってはいますが、まだ70~80万台の需要があります。
ブ「今は何社が作ってるんですか?」
今はシャープ。
パナソニックさん。
・・・以上です。
ブ「やったじゃないすか!」
なんとか頑張ってます!
2023年の統計でも、全世帯の約6割が固定電話を持っています。
ブ「え、いまだに・・・?僕もう・・・絶っ対、何があっても電話は引かないっ・・・」
なるほど。ブッコローさんは何十代・・・?40代・・・?
ブ「いや・・・4歳・・・」
4歳・・・?あ、ごめんなさい。また、やらかしました。
固定電話を持っている人は、30代以下では1割もいませんが、40代では4割、50代で7割、60代以上は8割が保有しています。
固定電話のいいトコロ
停電・災害時の通信が確保できる
固定電話は停電時でも使える場合があり、重要なライフラインになります(IP電話など一部を除く)。シャープの固定電話機の中には、停電時でも停電用バッテリーケースを接続して通話できるものもあります。
社会的信頼が向上する
市外局番から始まる固定電話番号は、住所と紐づけられていることが多いため、社会的信用を必要とする場面で信頼を得やすくなります。
特に高齢者の方は、スマホを持っていても、固定電話を解約せずに使い続けられます。「固定電話の番号しか知らないご友人やご親戚」とのつながりがなくなることを不安に思われているからです。
ブッコローさんも「単純に固定電話どうこうというよりも、人と人のつながりでもあるんだ」と共感してくださいました。
それでは、固定電話を絶対引かない!と断言するブッコローさんに、最新の固定電話の世界をお見せしましょう。
固定電話は二つの方向で進化しています。
一つは「デザイン性」。
もう一つは、特殊詐欺から高齢者を守る「防犯機能」です。
デザインが進化した!
コードレス子機タイプJD-S09CLをご覧ください。
ブッコローさんからの「JDって何?女子大生?ジャパニーズ電話?」というダジャレ攻撃をかわしながら、説明を続けます。コンパクトで、キーもフラットで美しい電話です。赤い充電台もイタリアのソファのよう。
ブ「イ・・・イタリアのソファー・・・?」
あれ?プロデューサー氏はわかってくれたのに・・・。気を取り直してブッコローさんに電話機を持っていただきます。
ブ「久々に持つとイイですね・・・懐かしいなぁ・・・」
ここからブッコローさんは思い出の旅へお出かけになりました。
子機持ってさ・・・
自分の部屋行ってさ・・・
中学校の頃・・・
(でしょう?でしょう?と激しく同意)
コソコソさぁ・・・
夜さぁ・・・
好きな子に電話してさぁ・・・
10万円とかの電話代の請求きて、親にド叱られてさぁ・・・
懐かしいよねェー・・・
ブッコローさんのテンション爆上がりで、こちらもうれしくなってしまいました!
私にも思い出があります。
高校生の頃は、まだコードレス子機付きの電話もなかったので、自分の部屋で電話できず、わざわざ公衆電話から彼女の家に電話をしていました。最初にお父さんが出ないように祈りながら・・・。お父さんが出たら、その瞬間、電話を切らねばなりません。
就活の時は、固定電話が必須アイテムでした。面接結果の連絡を待つために、電話の近くを離れられず、ヤキモキした記憶があります。
みなさんの中にも、固定電話の前で「子どもが産まれた!」「合格した!」という吉報を待った人もいることでしょう。
「お母さん、オレオレ」だけじゃない
そして、固定電話におけるもう一つの進化が、特殊詐欺から高齢者を守る「防犯機能」を備えた「防犯電話機」の登場です。
みなさんは「アポ電」って聞いたこと、ありますか?
特殊詐欺グループが、名簿などをもとに、家族構成や資産状況などの個人情報を探る「アポイント電話」のことです。警察用語では「予兆電話」といいます。
うっかり電話に出てしまったら、「いつ家にいるのか?」「同居家族の有無は?」「利用している金融機関は?」「お金はいくらあるのか?」などの個人情報を言葉巧みに聞き出され、その情報は闇名簿に追記されてしまいます。
現在、詐欺の手口は実に巧妙化しています!
最近の被害事例をご紹介しましょう。冒頭で紹介した総務省を騙るアポ電話が、その例です。
【1】あなたが電話に出ると、自動音声アナウンスが流れます。
【2】突然のことにびっくりして「1」を押すと、電話がつながり、「総務省の職員」を名乗る男が出ます。
【3】そのまま電話は「警察官(●●警察署●●課の●●と具体的な名前)」を名乗る別の男に転送されます。
ニセ警察官はあなたをSNSへ誘導し、やりとりがスタートします。ニセの警察手帳を見せて信用させ、逮捕状の画像を見せて「このままでは逮捕されてしまう」とあなたの不安をあおります。
【4】あなたはニセ警察官のことを、この追い詰められた状況から助けてくれる味方であると信頼してしまいます。
【5】あなたはニセ警察官に言われるがまま、ネットバンキングを使って、複数回にわたり指定された口座に数百万円を振り込んでしまいました。
さあ、あなたは絶対にだまされない自信がありますか?
あなたの祖父母やご両親だったら、どうですか?
突然の電話にびっくりして「1」を押した後、アレッ?あやしい?と思って、どうにか電話を切ったとしても、詐欺犯はあなたを「だまされる可能性が高い人」としてリストに追加することになります。
ブッコローさんは、だまされたフリして「ふざけたくなっちゃう」とおっしゃっていましたが、それも危険です。聞いた話ですが、詐欺だとわかっていながら「金の延べ棒あるよ」と言ったら・・・後日、強盗が押し入って「延べ棒は、どこだ!」。そんな事件も過去には起こっています。
敵は日々、だましのテクニックを磨いています。
敵は、詐欺のプロ集団です。闇名簿からターゲットを絞り込み、最も効果的と思える手段でだましに来ます。日々、それを繰り返し、どんどん練度も上がってきます。一度だまされた人は「だまされやすい人」リストに追加され、二度三度と狙われます。
アポ電の内容も進化しています。
総務省、市役所、裁判所、税務署などの官公庁や、弁護士、医者、警察官、銀行員など社会的に信用のある人を騙ってきます。
減税や還付金のニュースが出た直後。新紙幣が出るタイミング。オリンピックや万博など、大イベントの開催時。選挙や国勢調査なども、アンケートを装うアポ電の絶好のチャンスです。
一番の対策は怪しい電話に出ないこと。
そのために、固定電話機を作るメーカーとして、私たちシャープは何をするべきか。
本来、電話機は、ご家族やお友だちと楽しくコミュニケーションを取っていただけるものです。私たちが作ったその電話機が、詐欺に狙われるなんて、黙ってはいられません。
その想いから「防犯電話機」が生まれました。
防犯機能が進化した!
2014年、私たちが防犯電話機の商品構想を練っていた頃、愛知県警察の方から当社のお客様相談室にお電話をいただきました。
「詐欺被害を防止できるような電話機ができないか、意見交換したい」
なんたる偶然!渡りに船!早速お伺いし、その当時考えていた商品を説明したところ、「すごいじゃないですか!ぜひ早く作ってください」と大変気に入っていただき、私たちの考えは間違ってなかったんだと商品化に自信がつきました。
そして、2015年3月、振り込め詐欺対策を強化した「防犯電話機」1号機が誕生しました。
発売と同時に行ったモニター調査では、約90%の方が「迷惑電話が減った」などの効果を確認できました。
また、現場の実態を理解されている警察や自治体の方が「これは効果ありますよ」と言ってくださることも、私たちが自信を持って防犯電話機をおすすめできる理由です。
1号機の発売後も「警視庁犯罪抑止対策本部」や「大阪府警察特殊詐欺対策室」のアドバイスを受け、電話に出ることなく、相手を撃退したり確認したりできるように機能強化するなど改良を重ねています。
詐欺にだまされない3つのポイント
詐欺にだまされないようにするには3つのポイントがあります。防犯電話機は、そのポイントを意識して開発しました。
【1】あやしい電話に出ない!
ここが最も重要で、あやしい電話に出てしまえば、言葉巧みに誘導され、個人情報を取られ、詐欺にだまされるリスクが高まります。
その対策として、警視庁・大阪府警察のアドバイスを反映しました。
①こちら側の呼び出し音が鳴る前に、相手に「通話を録音する」と警告。
②こちら側が電話に出る前に、相手の「名前」を確認。
③電話機の着信ランプが、番号未登録者なら「赤」、登録者なら「緑」に光ってお知らせ※。信号と同じ色なので、見るだけで直観的にわかります。
※ナンバー・ディスプレイ契約が必要です。
【2】通話を録音する
通話を自動録音する機能をつけました。あやしい電話は、冷静になってから後で聞き返しましょう。本体メモリーに、たっぷり120分(1件10分、最大100件まで)録音できます。メモリーがいっぱいになっても古い録音から自動的に上書きされるので、録音できなくなることはありません。
【3】あやしい時はすぐに相談
電話を切った後、「あんしん相談ボタン」をポチッ。登録した相手にワンタッチでつながるので、あわてている時でも安心です。
しかも、この防犯機能は「最初から設定済み」です。
警察にヒアリングした時、「高齢者は留守ボタンをご自分で押せない方もいるので、せっかくいい機能があっても、初期設定がオフだと宝の持ちぐされになりますよ」と助言を受け、決心がつきました。
というのも、例えばお店で使うから「この機能はいらない!」「この機能をどうやって解除するの?」というお客様は必ずいらっしゃって、結果的にお客様相談室へのお問い合わせが増えることがあるからです。
それでも、ここは譲れない!防犯電話機は高齢者が詐欺に遭わないことを第一に考えよう!と腹をくくりました。
受話器よりスピーカーがいい理由
こうして誕生したシャープの防犯電話機に、詐欺師ブッコローさんが藤井をだます気満々で挑戦して惨敗されました!
その際、私が受話器を持たず、スピーカーで話していたことについて、ご質問いただきました。さすが、鋭いです!
みなさんも、親機の受話器は取らず、スピーカーホンの状態で話したり、子機のてぶらスピーカーホン「てもたん」を使ってみてください。
てもたんの構想は元々、その場にいる家族みんなでスピーカーホン機能のある電話機を囲んで、ワイワイガヤガヤ楽しくおしゃべりができるようにしたいという想いから生まれています。
でも、もしかしたら、防犯にも使えるかも?
警察などでは詐欺対策として「直接、受話器で出ないで、留守番電話などで対応してください」と啓蒙していました。しかし、詐欺電話に「受話器」で出る危険性を裏付けるデータは、なかなか見つかりません。
そんなある日、自宅でテレビを見ていると、「受話器を使わず、スピーカーで通話することが詐欺被害防止に有効」というお話を、立命館大学の北川先生という知覚心理学の専門家がされていたのです。
「見つけた!!」
早速連絡を取り、専門家としてのご意見をお聞きしました。その結果・・・
●スピーカーと受話器の大きな違い
長年の研究から、耳元での音は、人の感情に無意識的に影響を与えるということが分かってきた。
●実験 オレオレ詐欺の音声を聞き、掌の発汗量の上昇を計測※1
スピーカーで聞いている方は、それほど上がらない。そんなにドキドキしていない。受話器で聞いた場合は一気に上がって、そのまま発汗量が持続した。
●錯覚について
人はパーソナルスペース※2というのを持っていると言われている。そこに誰かが入ると嫌な気分になったり、ドキドキしたりする。電話は、いきなり近くの耳元で声がすることで、その声に親しみを感じる錯覚が起きる。それにより耳元の指示は、無視できずに聞かないといけないという心の状態になると考えられる。
このご意見に後押しされ、受話器を使わずスピーカーホンで通話する「てもたん」を開発しました。かわいいデザインで、2022年にグッドデザイン賞も受賞しています。
見守りも進化した!
防犯機能に加え、見守り機能も進化しました。
【1】見守りモーニングコール
指定時刻になると自動でモーニングコールがかかってきます。電話に出ると日替わりメッセージが流れ、電話に出ない時は登録先へお知らせします。
毎日、楽しく聞いてもらえるように、季節の話題や旬の食材など、365通りの日替わりで流れるメッセージ文を考えるのは苦労しました。笑
液晶に表示される顔の表情も、話題によって変わります。
時々、ユーザーの方からお礼状をいただきます。そんな時はうれしくて、関係者全員で回し読みしています。
製品をお買い上げいただいた上に、心のこもったお手紙までもらえるなんて、メーカー冥利に尽きますよね。うれしくて、何度も読み返して、涙がにじむ日もあります。
【2】緊急呼出ボタン
見守り機能は他にもあります。
緊急時にこのボタンを押すと、家中の電話が最大音量で鳴ります。それでも誰も出ない時は、登録した電話番号に親機から電話をかけ、緊急呼出ボタンが押されたことを知らせるメッセージが流れます。
一人暮らしをしている義父の家でも、このボタンを使っていて、普段はトイレにぶら下げています。義父は、トイレで倒れてしばらく閉じ込められたことがあり、なんとか脱出できたんですが、もしものことを考えてトイレに設置しました。ボタンは、倒れた時にも手が届くように、床面すれすれに下げています。
子どもや孫世代が守ってあげてほしい
ご高齢の方は、使い慣れたものを手放すことに不安を感じられます。「まだ使えるものを買い替えるのはもったいない」という気持ちもあり、「防犯電話機いいなぁ」と思っても、なかなか替えようとはしてくれません。
そんなお気持ちもわかりますが、被害に遭ってからでは取り返しがつきません。ぜひ、お子さんやお孫さんの世代から防犯電話機をお勧めください。敬老の日やお盆、お正月など帰省のタイミングでプレゼントして、ご高齢者を守ってあげてほしいのです。
警察から聞いた話ですが、詐欺被害に遭われた方は、被害調査をしても「なぜ、だまされてしまったのか。恥ずかしくて人には言えません」「早く忘れてしまいたい。思い出したくもないので話せません」とおっしゃる方も多いそうです。
それほど詐欺は心に傷を残す卑劣な犯罪なのです。
被害に遭ってしまうと、失うのはお金だけではなく、家族関係も、心も、壊してしまいます。
オレオレ詐欺に遭った親御さんが、被害者であるにもかかわらず、財産をだまし取られたことを家族から責められ、周囲から孤立し、死を選ばれた話も耳にしました。
被害者の多くが「家族の役に立ちたい」「子どもや孫を助けたい」という一心で被害に遭ってしまったにもかかわらず・・・。こんなにも救いのない、つらい結末があるでしょうか。
最近の詐欺の手口は巧妙化しており、年齢・性別に関わらず、誰がだまされても不思議ではありません。だから、もし、あなたの周りで誰かがだまされても、絶対にだまされた人を責めないでください。被害者は悪くない。責められるべきは犯人です。
優しくて、温かくて、楽しい電話
私の母は一人暮らしです。実は、母も、防犯電話機を付けてあげると言っても、「今のファクシミリ付き電話を使いたい」「まだ使えるのにもったいない」となかなか首を縦に振ってくれません。息子の私が開発したのに・・・。
だからという訳ではないのですが、時間を見つけて、なるべく電話するようにしています。
「だんだん寒なってきたなぁ」
「今日の予定は何があるん?」
「今度お義父さんといっしょに出かけるねん」
たわいない会話ですが、私が「母は元気か」を確認しているのと同時に、母も「私が元気にやっているか」がわかります。
母との電話は、ただの日常のルーティンになっていますが、本来、電話のコミュニケーションって、こういうものだと思うんです。
固定電話に限らず「電話する」ことがいつまでも楽しいコミュニケーションの手段であり続けるために、私たちは、防犯電話機を武器に、詐欺に打ち勝ちたいと思っています。
その強い味方として、詐欺対策電話機や通話録音機に「補助金」を出している自治体も増えてきました。ぜひ「自治体名、特殊詐欺、補助金」のキーワードで検索してくださいね。
ブッコローさんも検索しました。「母が住んでいるところ・・・わわわわ!補助金最大7000円だって!母ちゃん!」
ブッコローさんの故郷に補助金があって良かった〜と胸をなでおろし、YouTubeの撮影は終了しました。
帰りの新幹線で崎陽軒のシウマイ弁当を食べながら、今日の収録を振り返りました。
正直、必死すぎて何を話したか全然覚えていませんが、YouTubeが一人でも多くの方々の目に留まって、詐欺の被害が少なくなることを願うばかりです。
ブッコローさんは「うちの両親は、このYouTubeを毎回見てる。そこで紹介されたモノが本当にほしかったら、動画でぶん投げてきます」とのこと。ブッコロー家のお父さまお母さまにも、ぜひ防犯電話機をプレゼントしてあげてください。
そして、これだけ長々書いて言うのもなんですが、
SNSやメールじゃなく、
電話だから、声だから、伝わることもたくさんあります。
「もしもし。今、なにしてる?」
今日、あなたの大切なあの人に、電話をしてみませんか?