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年金のお話②;老齢年金の繰上げ・繰下げ~どっちがお得か

こんちは!副業社労士のまさゆきです。
老齢年金を受給できるのは65歳からですが、「お金が必要なので受給開始を60歳に繰上げたい」「余裕があるから70歳に繰下げたい」と受給開始時期を変更することが出来ます。2022年4月よりこの繰上げ・繰下げの制度が変わりました
◎繰上げの減額率減少;繰上げ減額率(1月繰上げを早めた時の減額率)が▲0.5%から▲0.4%に縮小(1962年4月2日以降生まれが対象)
◎受給開始時期の繰下げにつき、今までの最大70歳までが、75歳までに拡大(1952年4月2日以降生まれが対象)。繰下げ増額率には変更がなく、1月遅くすると+0.7%増額。

では、繰上げと・繰下げ、どちらがお得でしょうか?シュミレーションしてみました。

【1】   基準ケース
20歳~60歳まで40年間会社に勤め厚生年金を支払ってきた会社員Aさん(年金加入期間480月)。東京都在住。勤務期間中の給与はずっと40万円(「初任給40万円?」というツッコミはご容赦を;あくまで基準です)
この会社員Aさんが65歳から受給できる年金額を「1,856千円」とします。

[計算式]
◎厚生年金額
給与がずっと40万円なので、平均標準報酬月額は「令和4年度保険料額表(東京都)」より41万円。これを年金額の計算式に入れると、年額は
平均報酬月額41万×5.481/1000×年金加入月数480ヶ月=1,078,661円(①)
 (年金額の計算式は2003年3月以前に保険料を納付した分までは上記式ではありませんが、今回は現行計算式のみで計算しています)
◎基礎年金額
令和4年4月から年額777,800円(②)。①+②=1,856,461円⇒1,856千円。

【2】   繰上げ・繰下げシュミレーション
1)Aさんが60歳から年金を繰上げて受給
   (年金減額率;▲0.4%×60月=▲24%)
2)Aさんが70歳まで年金を繰下げて受給(年金増額率;0.7%×60月=42%)
3)Aさんが75歳まで年金を繰下げて受給(年金増額率;0.74%×120月=84%)
上記3ケースと「基準ケース(65歳で受給)」を比較します。厚労省「令和3年簡易生命表」によると男性の平均寿命は81.47歳、この年齢までの年金受給総額を比較します。

「ケース1(60歳繰上げ)」と「基準ケース(65歳受給)」の差はもっと大きい予想していましたが…制度のバランスを念頭に考えたのかもしれません。後は月額の低下をどう考えるか。「ケース2(70歳繰下げ)」は70歳までの資金計画が立つ場合はお勧めです。「ケース3(75歳繰下げ)」は資産家など限られた人だけ?ただ、今後健康寿命が延びれば選択肢になるのでしょう。

【3】   繰下げを考える時「加給年金」には注意
 老齢年金の繰下げを考える際、「加給年金の対象となる配偶者・子供がいるか」に注意してください。

 [加給年金]65歳になった時、生計を維持している①65歳未満の配偶者や②18歳未満の子供(18歳到達年度の末日まで)がいる場合、配偶者1人目・2人目の子供には各々年223,800円受給できます(3人目以降の子供や配偶者の特別加算については、ここでは省略)。

この加給年金、繰下げると受給出来ず、繰下げても増額しません。金額が大きいので、繰下げを考える際には検討事項にしてください。

その他にも老齢年金繰上げ・繰下げには細かい規定がありますので、事前に①毎年の「年金定期便」を確認②年金事務所に相談することをお勧めします。日本年金機構の「ねんきんネット」では年金見込額の試算が出来ます。
なお、制度の詳細については下のサイトが有用と思いますので掲載しておきます。

公益財団法人 生命保険文化センター「リスクに備える生活設計」

次回のテーマは「特別支給の老齢年金」のつもりです。

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