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インボイス③免税事業者の益税問題とインボイスを考える

こんちは!副業社労士まさゆきです。
インボイス導入の経過措置として、「2割特例」「仕入税額控除の経過措置」があります。

1)2割特例;免税事業者から課税事業者へ変更を選択した事業者へのお礼
①インボイス前は免税事業者で、②売上が年間1000万以下の場合、3年間は『売上時に預かった消費税額』に20%を乗じた額を納税すればOKという制度
2)仕入税額控除の経過措置;免税事業者と取引継続する会社へのお礼
今年10月以降、免税事業者から仕入れても、仕入税額控除は一定額認めますよという制度です。免税事業者でも、領収書に消費税額が明記されていれば、①3年間はその税額の80%を仕入税額控除可能②その後3年間は50%仕入税額控除可能にする制度です。

「ここまでやりますか」消費税導入時から残る益税問題をインボイスで解決したい、という決意を感じます

《2度否決された消費税》
消費税が導入されたのは1989年4月です。戦後の税収は所得税が中心で、現役世代に負担が偏りすぎている問題があり、高齢化社会の到来に備えた直間比率是正が目的でした。
消費税導入は国民の反対で2度失敗しました。1度目は大平内閣(1979年)、消費税を争点にした総選挙で大敗。2度目は中曽根内閣(1987年)、支持率が高い内閣でしたが国民的反対で法案は廃止されました。消費税の逆進性(低所得者の負担割合が高い)、景気への影響が反対の理由でした。
特に影響を受ける小規模事業者(小売商店)に配慮し「売上年間3000万以下の事業者は免税事業者(消費税納付不要)」の猶予措置を設け、1989年4月に消費税は導入されました(税率は3%)。ただ、2度の失敗がトラウマとなったのか、猶予措置に期限は決められませんでした。今も残る「益税問題」の源泉です。

《益税問題》
免税事業者は消費税を納付する義務はありません。この消費税分が免税事業者の利益になる問題が指摘されています。これが益税問題です。消費税3%の間はさほど問題視されませんでしたが、10%となった現在、数千億円の益税があるとの見方もあります。

《インボイス制度導入の経緯》
消費税が8%⇒10%に引上げられた際、食料品等の日用品は8%に据え置かれ(軽減税率)、現在10%と8%の2つの税率が存在します。納税計算が煩雑となる点を解決する為適格請求書(領収書)に消費税率と税額を明示、適格請求書がないと税額控除(納付消費税額から仕入時に支払った消費税を引くこと)が出来ないことにしました。インボイス制度です。

《インボイスと免税事業者益税問題はなぜ結びついたのは》
適格請求書を発行するには登録申請して『適格請求書発行事業者(課税事業者)』になる必要があります。つまり、免税事業者のままでは適格請求書を発行できないので、課税事業者にならなければならないのです。
先のnoteに書いたように、免税事業者のままでは取引継続に支障が出る可能性があり、益税を諦めて課税事業者になるケースが出ます。460万の免税事業者中、100万が課税事業者になるとの試算があります。

国税庁のパンフレットには、「適格請求書(インボイス)を発行できるのは、『適格請求書発行事業者』に限られ、この『適格請求書発行事業者』になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。」と“さらっと”書いています。益税問題には触れていません。益税問題解決を「増税だ」とする声に対し「自分で申請しましたよね」と反論するのでしょう。いい手です、でも少しずるい気がします。
批判を軽減する目的で「2割特例」「仕入税額控除の経過措置」という軽減措置は設定されています。今回は時限措置として。

ではまた次回


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