ドイツから日本を見る①PETボトルリサイクル②農家経営規模の違い③トラック運転手不足【ドイツ旅行記】
こんちは!副業社労士まさゆきです。
1週間のドイツを旅行しました。感じたことを徒然なるままに。
【PETボトルリサイクル】
日本ではPETボトルリサイクル費用は企業負担です。以前は市町村が分別収集・選別保管費用を負担しましたが、最近は使用済PETは入札です。再生費用は商品価格に転嫁され消費者が負担しますが、消費者には実感がありません。
ドイツでは、PETボトル飲料購入時にPET容器代を「Pfand=預り金」として消費者が一旦負担します。Pfandは定額ではなくお店で違います。下写真のコンビニでは25セントでした。購入したお店にPETボトルを持っていけばPfandは返金され、消費者は無料です。
どちらのシステムが優れているでしょうか?日本のPETボトルリサイクル率は86.9%(2022年)、ドイツは58.5%(2019年;ただし、プラスチック容器リサイクル率)、数字を見れば日本が上です。ドイツはお店に持っていく手間が影響しているのでしょう。ただ、ドイツのシステムの方が消費者のリサイクル意識は高まります。
PET以外に対象を拡げた「リサイクル率」ではドイツは65%と断トツです。日本は19%、アメリカ(35%)にも負けています。ドイツが高い理由はリサイクル教育の浸透に加えPfandにもあります。日本には“消費者が自ら関与する実感”が足りない気がします。
【農家経営規模の違い】
ドイツは城郭都市・集落の間に広大な農地が拡がっています。リューデスハイムで「ライン川クルーズ」を楽しみましたが、周辺は葡萄畑(ワイン産地)。ロマンチック街道辺りでは広大な大麦畑(ビール原料)が拡がります(表題写真)。日本では北海道でだけ見られる規模、とにかく広い。
ドイツ農業は南ドイツを中心に大規模化が進み、輸出産業です。2007年の農家戸数/経営規模は31.7万戸/45.7ha、対して日本は260.5万戸/1.7haで効率では太刀打ちできない差です。IT化が進めば規模を生かした効率化が進み、差は更に拡大するでしょう。
日本はどう対抗すべきか?ドイツは広い平野を持ち、山地で広い農地を確保できない日本が同じ戦略を取っても意味が無い。味で差別化するしかない。経営の観点からはそうなります。ドイツ政府も日本も、農家に対する直接払い(補助金)が振興策の柱である点は変わりません。日本の特徴を生かせる直接払い制度を作ることが大事でしょう。
【トラック運転手の労働事情】
ドイツではツアーバスを利用、運転手はハンガリー人でした。ドイツのトラック運転手はチェコ、ハンガリー、スロバキア等からの出稼ぎです。日本同様慢性的な人手不足に悩まされています。解決策はどうでしょうか。
労働時間規制については日本でトラック運転手の労働時間等の基準が改善されたのでEUと同等です。1日の拘束時間は13時間と同等、休息期間も原則連続11時間と同等、連続運転時間は日本4時間以内、EUは4時間30分です。日本の基準はR6年4月スタートなので、今後規制が浸透すれば人手不足改善に繋がる可能性があります。
収入面では?ドイツの平均年収は741万円ですが、トラック運転手の年収は431万円、全平均の58%に過ぎません。日本の平均年収は436万円、対してトラック運転手は447万円、全平均の103%と遜色ありません。ドイツは職種で賃金が決まる(同一労働同一賃金でなければ人種差別と言われます)ので、年収水準が上がることは難しいでしょう。対して日本はほとんどのトラック運転手は日本人、年収水準改善の余地はあるかと。
日本もドイツも人手不足は同様ですが解決に向けた事情は異なるようです。
雑感でした。ではまた次回