「私の青春はハバナだった」と言うドイツ人
私は現在、ドイツのベルリン在住です。
こちらに来てすぐはドイツ人ホストファミリー宅に滞在していたのですが、今回はその時に良くしてくれたホストマザーのケースティンについての話です。
フィー
彼女には私と同い年のフィーと言う娘がいます。(25歳)現在はフィアンセであるポーランド人の彼と一緒に住んでおり、ケースティンとは離れて暮らしています。そんなフィーですが、実はドイツ人のケースティンとキューバ人のケースティンの元夫との間に生まれたハーフなのです。
フィーと私は一度だけ会った事があります。結婚式に向けウエディングドレスを最近購入したと頬っぺたをピンク色にして話す彼女は本当に素敵で。真っ黒で細やかにカールされた艶やかな長い髪を掻き分けながら「次は指輪を買いに行く」と話すフィーは私とは同い年とは思えないほどグッと大人びていました。
旅好きなケースティン
さて、話はケースティンに戻りますが、彼女はフィーを妊娠するまでの間は良く海外旅行をしていたそうです。主にはヨーロッパを旅していたそうですが、それ以外にも旅した国があるそう。
「待って、写真あるから。」とケースティン。白ワインが入ったワイングラス片手に本棚を探ります。「あった。」と言った彼女が持っていたのは大きくHAVANAと書かれたアルバムでした。
「This is my youth (これは私の青春)」と言いそのアルバムを私に渡してくれました。
ページを開くと少し日焼けしたような色褪せかけている真っ青なビーチの写真。私が想像するハバナがそこにありました。ページをめくってもめくっても真っ青な海と満面の笑みのケースティンが映っているから私も嬉しくなって色々質問してしまいました。
「この写真。私の横に映っているのが私の元夫でフィーのお父さんだよ」
そこに映っていたのはフィーとあまりにもそっくりなフィーのお父さん。真っ黒い細かいカールが入った艶やかな長い髪と真っ白い歯。くっきりアーモンド型の目がこの人は本当にフィーのお父さんなんだと確信させてくれる。
ケースティンと元夫の出会い
ケースティンは若い頃ベルリンのクラブでDJをしていて、音楽がとても大好き。たまたま音楽好きの仲間に誘われてキューバ(ハバナ)に旅する事になったみたいです。ハバナでは約1か月過ごし、その間に現地の友達を介して出会ったのが元夫。キューバにいる間に交際が始まり、元夫はケースティンが旅を終えベルリンに帰るタイミングで一緒にドイツへ移り住んだ。と言うのが大まかなストーリ。
え。。。素敵すぎる。
ハバナには何度でも何度でも行きたいと思う
ケースティンがポロっとこぼした一言。美しい海や街並みだけではない。彼女にとってはそこが元夫と出会った場所であり、彼と思い出を作った青春の場所。
「今まで5回ぐらいキューバに行った事があるけれど、フィーなんて2回しか行った事が無いのよ。しかも物心ついてからは1回だけ。」とケースティン。
「フィーは成人してからはキューバに行ったことないの?」と私が聞くと「彼女は多分キューバが苦手だと思う。」とケースティンが少し小さな声で言いました。
「フィーはドイツ人すぎるから、キューバとキューバ人とは合わないみたいよ。フィーのお父さんとも折り合いがちょっと良くない。私もだいぶ典型的なドイツ人だと言われるけど、私はフィーほどドイツ人らしいドイツ人を他に知らないよ。いつでもフィーは頑張ってばっかりで正義感もとても強い、それを自分だけじゃなくて他人にも求めてしまう。真面目を通り越すぐらいきちんとしすぎているから時々心配になる。」
母親と娘
ケースティンはジョークのように言ったけど、母親の本心が見えました。私は独身で子供もいないので、この感情を100%母親目線で理解は出来ないかもしれません。
だけど私の母親もこんな風に私の事を他の誰かに話す事があるのかなぁって呆然と思いました。そして、もし私の事を話すときになんて言っているのかな。。。って。
19歳から私は海外に出ていますが、日本にいた時よりも段々母の事を考える時間が増えたように感じます。綺麗な景色を見るとここに母を連れてきたいと思うし、美味しいご飯を食べると母にも食べさせてあげたいと思う。
今回、ケースティンをハバナの話をすると、母がとても恋しくなりました。正直、今まで自分の事で必死の人生だったので、母の事や他人の事を考える余裕は無かったのですが少し大人になった今、片親ながらもここまで育ててくれた母を遠く離れたドイツで想います。
こうやって母を想う機会をくれたケースティンとの出会いには感謝です♪
先日、家族ディナーに呼ばれた私
「本当に結婚するの?ってママがいつも聞くんだよね。私は頑固って知ってるくせに。」と言いながらフィーはお皿に残した蒸かしジャガイモを突きました。
「食べないの?」と私が聞くと、「せっかく買ったウエディングドレスが入らなくなるじゃん。」フィーが言いました。
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