⒐インシデントレポートのテンプレ
仕事終わり
帰る準備をしていると
「私今日やることあるんで先帰ってください。
Aさんのインシデント書かなダメなんで。」というスタッフが。
これは看護師あるある。
患者さんが点滴を自己抜去したり
転倒したりすると
看護師がインシデントレポートを書いて提出しなければならないのだ。
インシデントレポートの目的は
「事故したことを責めるためじゃなくって再発予防のためだからね。」
ともう耳タコである。
高齢化が進む日本。
認知症の患者さんが
点滴を抜かない方が難しい。
筋力だって落ちるんだから、
どんなにこちらが気をつけたって
転倒もする。
看護師側も当然対策をできる限り取っているし
80歳オーバーの入院と聞いた時点で
「やばいかも」と
認知症の気がないか
転倒リスクは無いか
部屋はここで大丈夫か
即座にチェックする。
それでもセンサーの数には限りはあるし
できるだけ患者さんの抑制になる物は使いたくない。
インシデントレポートは一旦病棟の師長のところでチェックされ、
その後看護局の安全のトップの方のところにいく。
<インシデントレポートの内容>
どんな疾患・治療で入院の患者さんか
年齢、意識レベル、デバイスなどこと細かく入力。
①何がいつ、どのようなことが起きたのか?
②原因は?
③考えられる予防策は?
例えば転倒の場合
①物音がしてみると、Aさんが廊下で尻餅をついている所を発見。
意識レベルクリア、打撲部位に異常は認めず、バイタルサインも異常認めなかった。当直医へ報告し様子観察となる。
②原因は眠剤内服したためふらつきがあった可能性が考えられる。
入院に伴う環境の変化も影響してた可能性がある。
③眠剤内服後の患者さんは転倒注意し観察する。
といった感じである。
これが、点滴を抜かれた、経管栄養を抜かれた
転倒したなど、全てのことで書かなければならない。
ひどいと一日に2〜3枚書くことだってある。
なんで書くのかは重々理解しているのだが
それで事故が減るか?というと
別に減っていない。
相手は人間。
予測不能なことばかり
である。
毎度おんなじ文章を書いて、提出し、事故が減ることもない。
レポートを書いているとき
看護師は「なんで事前に防げなかったの?」と
自分が責められているような感覚になり
当然気持ちもすり減る。
このレポートを疲労困憊、
薄れゆく意識の中
残業してかかねばならない。
内心「書いても意味ないのに。」と思っている。
患者さんに何かしら影響があったものに関しては
振り返りが必要だし、
予防策を検討した方がよいと思う。
みんなで情報共有してして再発予防した方がよい。
しかし実際の所
転倒
点滴自己抜去
経管栄養自己抜去
大抵が「様子観察」。
つまり、「異常なし」。
もし、どうしても報告が必要なら、簡単なテンプレで
Aさん
転倒
様子観察
みたいな簡単なものでいいのでは?と思う。
レポートを書くより
看護師の心身を休ませてあげる方が
よっぽど再発予防になる。
事故がなくなることはない。
だからレポートが必要なものとそうでないものを
分けて欲しい。
そもそも電子カルテには転倒したり、
自己抜去があった記録は残しているし
朝の全体申し送りでも転倒や事故抜去は周知される。
看護師も事故が起きれば
自分の免許だって危うくなるし
抜去や転倒があった時点で
危険予知できているか?足りない所が無いか?と
その都度吟味しているし、複数名で話あっている。
インシデントレポートをあげることと
再発予防はつながらないのに
レポートを書くという形式は無くならない。
〈欲しい インシデントレポートのテンプレ〉
よくあるインシデント(転倒、ルート自己抜去、経管栄養自己抜去)で
「様子観察」「異常なし」で終わったものに関しては
テンプレートで簡易に書けるものにして欲しい。
また患者さん情報も必要ならカルテの情報を自動で反映して欲しい。
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