生活指導中の看護師のホンネ
循環器病棟に勤めていたで
心疾患、例えば心筋梗塞や狭心症、大動脈解離などの
患者さんを対象に、その家族にも生活指導をしていた
生活指導の対象者は日によってまちまちだったが
多い日だと一気に5人+その家族を含むなどで
総勢10名程を対象にやる
大体40代〜90代までと歳もバラバラ
職業もバラバラ
ひとまず一人ずつパンフレットを渡す
あれ?イチニーサンシー…。
一人来てない。
生活指導があると伝えていても、大抵伝わってない。
アノ人か!と大体検討はついている。
「ああ〜ここか!うっかり!いやすんません。
リハビリの部屋行ってたわ〜!笑」と
ようやく全員集合する。
この時点で開始時間から10分くらい遅れる。笑
脱線
ええと、それではまず最初のページを開けてください。
みなさんそれぞれ、病気の名前はわかりますか?
患者A(妻)「お父さん、あれやね。あの〜何ゆうの。
あの心臓の血管細くなるやつ。」
患者A「あれで2年前も死にかけたんや〜。ほんでな、看護婦さん、わしえらいもんで自分でキューキュー車よんでな。も〜大変やったんや。
ほんでなえらい汗、ビッショビショ、歯もガタガタなってな。」
患者B「これやな。」
患者B(娘)「うん。」
患者C 頷いた、いや寝てるのか…?反応薄いタイプかな。
患者D 「おい、上着とってきてくれや。」
患者D妻「お父さん、ちゃんと聴いて。」
患者E パンフレットを黙読。
序盤からそれぞれの患者さんと家族のカラーが見える。
うん、なるほど、今日もばらつきがすごい。
大変そうだ。笑
患者Aさんとその妻は入院までのロングエピソードを
「ちょっと聞いてよ」と繰り広げる。
隣の家族とも勝手に話始め収集がつかない。
「大変でしたね。」と一応共感するのだが
このペースで付き合っていると生活指導は終わらない。
他の人のこともあるため
「たくさん説明することがあるので、また後で伺いますねえ〜」
とここでなんとか予定より15分程度オーバーしていることに
焦りつつ会話を止める。
タバコ吸っても長生きしてるやつ
喫煙はニコチンにこんな作用がありまして…
当院の禁煙外来などの利用を…
患者C「俺タバコ吸っても長生きしてるやつ知ってんやけどさ。
やめなあかんの?」
珍しく口を開いた患者C、、食い気味にこれを言ってくる。
彼だけではなく、何度か喫煙者からこれを言われたことがある。
ヘビースモーカーで長生きしている人がいるのは事実だが、
そんな屁理屈…。
よっぽど辞めたくないのはわかるけど
「私にあたるな。」
と内心思っている。
喫煙者にあまり、あかんあかん、と言うと
余計に吸いたくなるので
私はあまり言わないが
こんなデータもありますよ
と事実だけは淡々と伝えるようにしている。
ラーメン食いたい
生活指導の中で最も盛り上がるのがこれ。
特に妻や娘さんたちから質問が四方八方から飛んでくる。
「この調味料はどうですか?」
「お父さんはソースを味見する前からかけるタイプで…」
「カップラーメンのお湯少なく入れるんですよ〜」
など愚痴を含んだ質問が飛んでくる。笑
家庭の様子が見えるので、実は結構この時間は好きだったりする。笑
入院中も塩分6g食の給食を食べてもらうのだが
「全然味せえへん!」
「水臭いわ」
と元々濃い味付けに慣れている人は言う。
静かにしていた患者Eさん
「何か食事について気になることはありませんか?」
と伺うと「あの交差点のラーメン屋、一回行ってみたいんですよねえ。」と言われ、本当にズッコケがっかりしたことを思い出す。笑
難聴の方もいるため、いつもよりも
大きな声で一生懸命、時間も巻きつつ話したつもりだが
おとなしく聴いている人を拾えていなかった…。と反省する。
生活指導は色々カオスなのである。
しかし生活指導は医療者の自己満足もあるな、とたまに思う。
死ぬほどの病気。
もう経験しないでほしいと思っているから
なるべく自分の知っている事実やデータは正確にお伝えする。
しかし生活をガチガチにして
病気をしないことだけが幸せでもない気がするから
相手に押し付けすぎないように…
人生の選択はあくまで患者さんがするのだから
医療者の自己満足のために相手を責めたりしないように
気を付けたいものだ。
といつも思っている。
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