見出し画像

「親友」から「パートナー」へ肩書きが変わるまで

まえがき

 アセクシャルの私には同じくアセクシャルの同性のパートナーがいます。
小学校と中学校が一緒の同い年で優しくて可愛らしい子です。
そんな私のパートナーの彼女との思い出の備忘録です。

 私が抱えている不安と気持ちが重過ぎて本人には伝えられないので吐き出させてください。
(パートナーになるまでの経緯とパートナーへの激重感情が書かれています)

どうかこの気持ちがあなたに気付かれませんように。


パートナーになるまでの経緯

小学校時代

 まえがきでも前述したように、私とパートナーは小学校の頃からの知り合いです。とはいっても彼女は私のことを全く覚えていなかったようです。

 当時の私も彼女とは接点はなく低学年の頃のクラスが被っていた程度なのですが、ある日のお昼休みに私の隣にふらっと来てドラゴンボールのエンディングを急に口ずさんで「この曲知ってる?○○って歌なんだよ」と言い、そのまま嵐のように去っていった彼女は私にとってかなりインパクトがあり強く記憶に残っていました。

中学時代

 彼女と本格的に仲良くなったのは中学校に上がって同じ部活になってからでした。急にドラゴンボールのエンディングを歌いだすような突拍子のなさと面白さは6年経っても変わらず、彼女はいつも楽しそうで部活のグループの中心にいました。

 私は「あの子は変わらず元気そうだな」と思って遠目で眺めていたのですが、彼女がノートに書いていたゲームのキャラクターに反応したのがきっかけに仲良くなりました。

 私の家庭環境は決して良いと言えるものではなく、幼少期に家族へ「大好き」と好意を伝えた時に「気持ち悪い」と言われたこともあり、私は拒絶されることへの恐怖から「好き」と伝えるなどの言語的な愛情表現をすることに対し苦手意識があります。
 その点、彼女は誰にでも明るく「好き」だと言ったり抱きしめてきたり躊躇なく愛を伝えることができる人で私はよく彼女のことを眩しく思っていました。

 私は中1の後半から不登校になってしまったのですが、休みの日は一緒に遊んだり授業の板書を見せてもらったりなどと交流は続いていました。

高校時代

 中学時代の彼氏と別れてから「今気になっている人がいる」などの相談に乗っては新しい彼氏ができた報告に一緒に喜んだり遊びに行ったり、中学時代と比べて頻度は落ちたけれど楽しく交流していました。

 私は「いずれ彼女は結婚して彼女の実家のような温かい家庭を築くんだろうな」と思っており、結婚式に呼ばれはしなくてもSNSでその報告を見たらお祝いの気持ちいっぱいの言葉とご祝儀を送ろうと決めていました。

 一方で私は「他者に恋愛感情を抱けないかもしれない」と自覚を若干ながらも持っていたので、実家では得られなかった自分の居場所を作ることを人生の目標として生きようと思っていました。

大学時代

 大学「時代」とか書いてますけど要は現在のことです。
 地元を離れて大学に進学した私ですが、見事にブラックバイトに捕まり休養に伴い休学を余儀なくされました。1週間の内の7日間、休む暇もなく用事が詰まっていた日常から一気に暇になり、私は地元に帰って彼女と会って話すことにしました。

 そこで彼女から自身がアセクシャルであることを告げられ、パートナーにならないかと打診を受けました。
断る理由もなく食い気味に返事をしたことを今でも覚えています。

 この時、彼女からは「パートナーと恋人どっちでもいい」という風に言われたので「じゃあ恋人で」と答えました。
 「彼女は他人にすぐ好意を伝えるタイプなのでパートナーを複数人作ってしまうかもしれない。ならば恋人という形を取ってそれを避けよう」という思惑でした。醜い独占欲ですね。 

パートナーが与えてくれた変化

 その後に何回か話し合って、私の大学卒業後に一緒に暮らす約束をしました。将来、私は1人でいる予定だったので「ただいま」に「おかえり」が返ってくる日が来るのだと思うと心の底から嬉しくて、下宿先へ戻るための飛行機の中で静かに泣いていました。

 私の人生の目標は「自分の居場所を作ること」であると同時に「遅くても30代後半で、幸せな内に死んでおくこと」でした。自分の居場所を作った後は、その居心地の良さの中で死にたいと思ったのです。でもそこに彼女がいるのなら死ねません。

 彼女は私の将来に大きな影響を与えてくれました。実際、今の私は彼女と長くいるために自覚があった不調もちゃんと病院へ行ったり食事を見直したり健康でいられるよう気を配るようになりました。

私の不安

 彼女から私へパートナーの打診があったのは、彼女が実家を離れた時に「防犯面と家事が心配だから私がいれば心強い」というのが理由でした。
 きっと私が彼女よりも華奢で防犯面で役に立たなかったら、一人暮らしの経験もなく家事スキルが無かったら、彼女は私にパートナーの誘いをしてくれなかったのだろうと思います。
 そしてそれに少し寂しさを感じては自身の傲慢さに嫌気が差しています。

パートナーへの願い

 彼女はとても可愛くて優しくて明るいので、パートナーとしてはきっと引く手あまたでしょう。私をパートナーとして選んでくれたことは僥倖です。
 でもそれ以上に私は彼女が歩めるはずの幸せな人生を邪魔しているような気持ちになるのです。

 そこで私は「新たにパートナーができて私の元を去る時は事前に一言が欲しい」と彼女に伝えました。彼女からは「そんなに私信頼ない?!」と言われてしまいました。


 勿論信じてるよ。

 私は「あなたの幸せが最優先で、私がその幸せの障壁となり得る場合は容赦なく捨て去っていい」って思ってる。
 あなたが一生涯幸せでありますように。

それが私の願いです。

私の気持ち

 私は彼女のことを信頼も信用もしています。両親の前に出したことも見せたこともない大切な預金通帳ですら彼女に託すことができるくらいには信じています。
 ただただ私の自信が無くて「私は幸せになってはいけない」という意識もどこかにあるのです。そのくせ今の幸せに縋っていたい気持ちもあって、そんな私が浅ましくてしょうがない。

 私はいつまであなたと一緒にいていいんだろうか。

 温かい家庭環境で育ったあなたが私と一緒にいて幸せになれるのか??
どうか私があなたの幸せを壊しませんように

最後に

 もしこの先に彼女との別れがあったとしても、その行く先での彼女の幸せを願いながら余生を過ごしたいなと私は思っています。

私の最愛なるパートナーへ

 あなたがずっとこの先も幸せでありますように。
そう願い続けることだけ、どうか許してください。

そしてこの願いと気持ちがあなたに気付かれませんように。


いいなと思ったら応援しよう!