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【体験レポート】3つの芸術祭を通じて感じた「過疎地域のコミュニティ」とは?〜大地の芸術祭編〜

「シェア街」のコミュニティマネージャーつねです!シェア街では安心した場づくりやコミュニティの研究をしています。

▼3つの芸術祭レポートの【イントロダクション】はこちらから

シェア街のリアル拠点のひとつでもである、新潟県の越後湯沢近くで開催されている「大地の芸術祭」

前回の記事でもお伝えしたとおり、今回は3つの芸術祭を2泊3日で周る無謀なツアーに参加し、地方で活動しているコミュニティに触れた1日目の体験レポートです!

ちなみに、今回のツアーを企画したのは「大地の芸術祭」の総合ディレクターを務めている北川フラムさん。

越後妻有の秋山郷、北アルプスの黒部ダム、南飛騨の野麦峠といった近代・現代の日本最深部を象徴し、ディープな歴史的背景をもつスポットを巡るバスツアー。4県16市町村を縦断、紅葉を楽しみながら、地球環境時代において本当の豊かさとは何かを考えるツアーです。 

大地の芸術祭 公式サイト引用

そもそも、なぜ北陸や北アルプスの一帯が日本最深部と言われているのか。記事をご覧になっている人は知っていますか?

はるか昔、日本列島はユーラシア大陸から分離された海の底にあったのです。その後、フォッサマグナにより海底が隆起し、今の北陸、北アルプスが誕生しました。

つまり「昔は海の底であった北陸や北アルプスを縦断しよう!」というのがこのツアーの目的なのです。

集落の人々の暮らしや、廃校を存続させるために立ち上がった若い移住者、そして、芸術の力で地域を盛り立てようとする芸術祭を見てきました!


大地の芸術祭 「越後妻有アートトリエンナーレ 2024」 オフィシャルツアー 中里・津南コースで作品鑑賞!

集合場所である越後湯沢の駅からバスに乗って、ツアー開始です。シェア街のリアル拠点である「LitteJapanEchigo」に寄ってないじゃん、という突っ込みはなしで(笑)

駅のコンコースが集合場所に

オフィシャルツアーは5種類あります。
今回は、中里・津南コースに参加しました。

ツアーを担当してくれたのは、NPO法人越後妻有里山協働機構羽鳥さん

吉高由里子さんに似た通る声の持ち主で、3日間同行され丁寧に説明していただきました!


<渡辺行久 清津倉庫美術館soko>はなんと廃校を利用した美術館!

倉庫が名前に。オシャレ…!

ツアーの冒頭から、いきなり廃校跡が美術館になっていて驚きました。バスから見ると、山道の横の小さい建物で「これが元小学校?」って思って降りてみると……。

なんとプールが!横には川も流れています。

なんと、立派な体育館やプールもある大きな建物が!

2009年に廃校になった清津峡小学校の体育館を、2015年に大型の作品保管庫とギャラリーを兼ねた倉庫美術館としてリニューアルしたそうです。

芸術祭開催以外の時は倉庫としても活用されているようで、子どもがいなくなっても、頑丈なハードウェアである建物を上手に活用している事例でした。

バスで次の場所へと移動していると、町中にアート作品が展示されていました。畑にカカシが立っていて、私たちを歓迎してくれたり、突然土手に窓が現れたり!

素敵な窓のカーテンが風になびいていました。
白いドレスを着た小さい子がいたら絵になりそうですね。


人々の手によって維持されている<カクラ・クルクル・アット・ツマリ(ダダン・クリスタント)>

インドネシアの農民が鳥よけに使う竹の展示物。くるくる回ります。

田んぼに突然現れた展示物は、2006年からリニューアルを重ねているらしく、千葉でも展示されていたとか。千葉に比べて風力が弱いので、風車が回りやすくするようにさまざまな工夫を凝らしていたそうです。

ちょっと前に大雨があり、竹の柱が何本も折れてしまったらしく、修理と交換を経て、何とか地元の人々の手によって維持されているとのこと。

風で風車が回ると、竹をたたく風鈴のような、とてもいい音色を奏でてくれます。何だかインドネシアの田園にいるような感覚になりました。

修理中


自然の治癒力に魅せられる<ポチョムキン カサグランデ&リンターラ建築事務所>

ベンチに誰かが石で名前を!これも芸術

さらにバスに乗っていくと、川沿いに突然、鉄の塊が!

ゴミの不法投棄が問題視されていた河川敷が、官民一体の公共事業として建築家の力で自然の美しさを取り戻したのが、「ポチョムキン カサグランデ&リンターラ建築事務所」です。

産業廃棄物の遺物が交じり合った独特の人工物の重苦しさに対して、白い玉砂利・立派な木・雄大な川という、自然の治癒力が勝っているような、そんな展示物でした。

季節外れの桜とポチョムキン


<上郷クローブ座・香港ハウス>では、美味しい新潟のお米をいただきました!

壁一面に描かれたロゴも芸術作品の一つ「上郷クローブ座(浅葉克己)」

ハイ、お昼御飯です。

2012年に閉校した上郷中学校が、パフォーミングアーツの拠点として再活用されていたのが、「上郷クローブ座・香港ハウス」

パフォーマーのレジデンス施設であり、稽古場でもあるこの場所には、作品地域の女衆(おんなしょ)たちが運営する演劇仕立てのレストランもあります。

おかわりのおにぎりもうまい!

とても元気のいいお姉さまがたでした。そして、コメがうまい!もちろんご飯全般美味しいのですが…やっぱりコメがうまい!そして野沢菜がうまい!

さすが、米どころ新潟でした。

農具は楽器だ!唐箕(とうみ)がギターに!
別棟に展示されていた「香港ハウス(イップ・チュンハン(葉晉亨))」


1日目の最後に宿泊した<かたくりの宿>

大割野商店街のいくつかの店舗で飾られている芸術作品を鑑賞したり、廃校となった小学校での展示を見たりしつつ、最後はこれまた廃校となった小学校を改築した「かたくりの宿」で宿泊。

新潟県と長野県にまたがる秘境の秋山郷結東温泉にあり、廃校利用で有名な場所だったので、実はいつかは泊まってみたいと思っていた場所でした。

若いスタッフたちも、温かく迎えてくれて。よくよく聞いてみると、県外から秋山郷に移住されている方々とのこと!がんばっている姿に感激です。

近くを散策していると、若い人とすれ違うこともありました。

ただ、実態としては、若者が少ないのでインターネット回線が引かれておらず、過疎化地域におけるインフラ投資への難しい現状も知りました。

妻有ポークや地元で取れた食材のフルコース♪

ちなみに、宿から15分ぐらい歩いたところには吊り橋が。

かなり揺れるので、途中で進むのをやめた人もいるらしいです…。でも、昔は地元の子どもたちが、この吊り橋から川に飛び込んで遊んでいたとか!

その時代の人たちの生きる人たちの力を感じました。
さすが名所になるぐらい、すてきな場所ですね。

吊り橋

充実の芸術祭ツアーでしたが、続けて2日目は「北アルプス国際芸術祭」へ。
引き続きレポートしていきますよ!

写真・執筆:つね(奥恒彦)
編集:ばやし(河原林駿希)


シェア街では、オンラインでのイベントや住民どうしの交流、浅草橋にあるLittle Japanを中心としたリアルイベントを開催しています。

イベント情報やコミュニティへの申し込み受け付けは公式LINEにて配信しているので、記事を読んで興味を持った人は、ぜひ一度、シェア街に足を踏み入れてみてください!


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