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感動の”ありがとう”

「ありがとう」には感謝の気持ちが込められているので、
言われると単純に嬉しいものなのだが、
感動を伴う嬉しい「ありがとう」と言うものがあるのを
店に来る子供たちに教えられた。

弊店は元気に挨拶をしない人たちは
店に入ることができないという不文律が
常連客の小学生たちの間にあるようで。。

それは私が挨拶をしない子に、
「こんにちは!」
「・・・」
「こんにちは!!」
「・・・」
「こんにちは!!!」と、
挨拶が返ってくるまで、
しつこく言っていることから始まっているとは思うのだが、
とりあえず、そういう店があっても良いと言うことにしておこう。

ーーー
ある日、小学6年生女子の常連客が女友だちを連れてやって来た。
「こんにちは!」
と言うと、当然常連の小6女子は、
「こんにちは!」と返してくれる。
しかしこの日は初めて来た連れの子は挨拶をしなかった。
すると常連の子がその子に、
「挨拶して、挨拶して」と耳打ちし、
「こんにちは!」とその子も言ってくれた。

席に座り、いつもの中華なんナンを注文。


出来上がり、それを持って行こうとすると、
常連の小6女子がまた連れの子に耳打ちしている。
「ありがとう、言うてな」
そして、「お待たせしました、中華なんナンです」とお皿を置くと、
2人とも「ありがとうございます」って言ってくれた。

なんかね、この「ありがとう」がね、
言わされた「ありがとう」なんだけど、
「ありがとう」ルールがある店って、
なんかええなあ、と思ってね、感動してしまった。
この2人は今、中2になったけど、月に何回か店に顔を出してくれる。
ありがとう。

ーーー
夏休みの終わりがけ。
学童帰りの小学生たちが水を飲みにやって来た。

「おっちゃん、水ちょーだい!」
5人組の女の子たちだ。
「5杯でええか?」
「うん!おかわりもするかも!」
「ええけど、冷たい水やから飲み過ぎんようにな」
5つのグラスに水を注ぎ、子どもたちは勢いよく飲み始める。

「おっちゃんとこの水、冷たくて美味しいわ」
「なんかここの店の水、美味しいんよね」

嬉しいこと言ってくれるやん!

「ほんで、水無料で良かったわ」
「うん、タダで良かったわ」
「そやけど水だけ飲みに来てなんか申し訳ないなあ」
「ほんまやで。それに私らほぼ毎日やで」

ええええぇ!!?!
そんな気持ちもってくれてたん!

そしていつもより多く、
「お水ありがとう!」
「おっちゃん、お水ありがとう!」
「いつもお水ありがとう!」
と言って帰って行った。

めちゃめちゃ嬉しい「お水ありがとう」でした。

こんな「ありがとう」が増えたら、
世界から戦争なんて無くなるのになあって思った。

(らおばん)

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古本喫茶店主らおばん
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