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奢りたがる大人たち。酔っ払いの名言

弊店は子どもたちが来るが、
お酒を飲んでも良い店である。

先日、一人でお越しの男のお客さん。
おでんを食べながら日本酒を飲んでいた。
私と同世代ということもあり、
吉田拓郎や頭脳警察などの話しで盛り上がっていた。

そんなところに小4の男の子2人組が来て、
かき氷を食べていた。
その子たちをずっと見つめるお客さん。
「かき氷なんか食べて寒無いん?」
「うん、今日はあっかたい方やで」
「子どもはええなあ」
と弊店ではよくある会話。
弊店の子どもたちは、
お客さんが話しかけると必ず返答する。
そういう地域って、
近所付き合いって感じでええなあと思いながらも、
お客さんは酔っ払っているので、
子どもとお客さんの間になるべく入り
(物理的にも会話的にも)、
バリアを怠らない。
一応気を使う。

お客さんの目が羨ましそうな目になって来た。
私は知っている。
この目はあのモードの目になりつつあることを。

一人の子どもが、
駄菓子コーナーに行って、
駄菓子を選ぼうとすると、
そのお客さんが立ち上がり、
その子を追うではないか!

きっと、あのモードだ!

と感じた私も駄菓子コーナーへ足を運ぶ。

お客「ボク? 駄菓子おっちゃんが買うたるわ」

やっぱり! 子どもたちに奢ったるモードや!

子ども「えっ?」
お客「おっちゃんに買わせて」
子ども「いえ、いいです」
お客「遠慮せんでええで」
子ども「でも」
私「お客さん、そんなんせんでええですよ」

お客さんはめっちゃ買いたがっている。
これでお金を出さないというわけにはならない状況。
絶対に引かないはず。

私「じゃあ、ひとつずつだけ買ってもらい」

と和解案。

子ども「ありがとう」
お客「子どもが大人にありがとうなんか言わんでええねん」

子どもはキョトンとしている。
この子ら、結構お小遣いもってる子らやし。

私「ありがとうは言わなあかんな」
子ども「うん、おっちゃん、買ってくれてありがとう」
お客「ありがとうなんか言わんといて。泣けてくるから」

お客さんは子どもに背を向け今にも泣き出しそう。

えっ? なんか事情あんのか?

お客「欲しいもんあったらな、子どもは大人に言って、買ってもらったらええねん。
酔っ払いはな、こういう時のためにあんねん」

格言”酔っ払いはな、こういう時のためにあんねん”

私「それ、名言ですね!」

しかし大人の一人客、
子どもたちが来ると、
その子どもたちに奢る率、
めっちゃ高い弊店でした。

こんな酔っ払いたちが増えたら、
世界から戦争なんて無くなるのになあって思った。(笑

(らおばん)

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古本喫茶店主らおばん
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