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Six Star Journey 〜ニューヨークシティマラソン(その7)〜完走編🎶

世界6大マラソン制覇(Six Star Finisher)を目指す旅、東京→ロンドン→シカゴに続いて、ここニューヨークにやって来た。4つ目の星を獲りに

日の出とほぼ同時刻6時半にマンハッタンのミッドタウンからスタテン島に渡るフェリーに乗る。自身のスタートは第3ウェイブの10:20であるから、流石に早過ぎとは思うが、団体側が仕立てた専用フェリーの指定時刻なので仕方ない。

6時に桟橋到着、夜明け前、気温4°

フェリーで45分ほど、そこから更にバスに乗り換えスタート地点(スタートビレッジ)へ。まさか、バスに乗り換えるとは、それであれば、マンハッタンからバス(こちらが一般的)の方が良かったか。
「村」への入口は、空港並みの厳重さ、そもそも、手荷物で許されるのは専用のビニール袋に入れた物だけ。それでも8時前には「入村」、まだスタートまで2時間以上ある。
寒いが、ウインドブレーカーまで着用した完全防寒スタイルに、さらに上着を2枚重ね着しているので耐えられなくはない。ゴール地点への荷物搬送はないので、重ね着している上着は寄付に回される。
大会スポンサーの一つであるダンキンドーナツが提供するベーグルとコーヒーをいただき、芝で転がり時間をツブす。快晴で風もないから何とかなる、天に感謝する。

いよいよ第3ウェイブのスタート、スタートラインに進む。
男性歌手の米国国歌斉唱に、ランナー達の大合唱、雄叫びが重なる。
「シカゴマラソン」では、国歌斉唱はスタートセレモニーの一回だけだったが、ここでは、スタートウェイブ毎に、違う歌手が斉唱する。
嫌が上にも盛り上がる。
花火の音のような大号砲が響き渡りスタート、フランクシナトラの「ニューヨークニューヨーク」(多分そうだと思う)が流されて、皆が歌いながらのスタート、変なスイッチが入りそうだ。

スタートしてまず眼前の橋を越えて行く

スタテン島をスタートすると、すぐに橋を渡る。二階建ての巨大な橋の上段を進む。橋だから、まず登る。かなりの上り坂、けっこうキツイ。最初の1キロ、時計を見る、速い、抑えて入ったつもりの上り坂で、普段の練習よりも速い入りだ。
「抑えよう」と何度も思った。橋の頂点から下る、1キロ6分を切る。
橋を渡り切ると、ブルックリンに入る。
そこからは、沿道の応援が始まり大歓声、大歓声、大歓声の連続。2キロから3キロのラップは5分10秒台、下りとは言え、今の自分的には「全力疾走」レベルだ。
何とかペースを落ち着かせたい。ちょうど良いペースメーカーを探すが、カッコいいお兄さんお姉さんは目に入るが、「この人だ」という感が働かない。
車道と歩道の間にポリスラインのテープが張られているが、それを越えて観客が車道に入り声援をくれる。中央分離帯にまで観客がいる。
10キロまでキロ6分切りで進む。飛ばしている感覚は全くなかったが、身体は正直で、ここからペースは落ちる。
中間点を2時間10分程度、ここまでは何とかそれなりにレースになっている。
25キロ手前、マンハッタンに入る橋に差しかかる。長い上り坂、もはやこれまで、もう脚がない、事実上の終戦だ。
ところが、橋を下ってマンハッタンに入ったところからが、本当のショーの開幕だった。
これまでの大歓声が、大大歓声に変わる。凄まじい熱気、世界一のマラソン大会のテンション。
マンハッタンの1stアベニューを北上する。延々と続く歓声に押され、動かない脚を前に進める。
30キロまで辿り着いたところで完全に脚が止まった。
前半のオーバーペース、練習不足、加齢、理由はいくつも思いつくが、それにしても走れなさ過ぎだ。
一旦ブロンクスに渡って、35キロで再びマンハッタンに戻る。最後の7キロ、5番街を南下する。遥か彼方にエンパイアステイトビルの尖塔が見える。
セントラル・パーク内を南下する。
脚は完全に残っていないし膝が痛む。何のために走っているのか?と疑問が沸く。この大会の制限時間は確認していないが、完走して4つ目の星を獲得するためだけであれば、もはや走る必要はない。もう歩けば良い。
観客の大歓声は、絶叫に近くなる。多くのランナーは自分と同じように、ほとんどゾンビ状態だ。ゾンビに絶叫、ちょっとしたカオスだ。
「マラソンは人生の縮図だ」とは良く言ったものだ。輝かしい成果=勝利、記録更新、タイムなど、いつも望ましい結果が得られるわけではない。だったら、その時は必要最小限の仕事=歩いて完走すれば良い。無理に頑張ることに意味はない。
それでも仕事には手を抜けない、生きることに手を抜かない。走る、走る、走れる限る走る。走る・・・

ギリギリ5時間切り

市民マラソンの世界では「サブ3」とか「サブ4」はあるが、「サブ5」の言葉はない。自虐ネタ的に言えば、そういう結果だ。

このポンチョを着せてくれる
地下鉄でホテルまで戻る間に
何人かに「congratulations」と
声をかけられる、単純に嬉しい




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