とあるVerical Saas企業で働く若者のお話
みなさんこんにちは。
都内でVertical Saasのサービスを提供している企業に勤めているものです。今回の記事でお伝えしたいと思うのはVertical Saasあるあるです。
興味のある方は是非どうぞ〜
目次
1:他部門連携がうまくいかない
2:Vertical SaasなのでHorizontal Saasのツールが導入しずらい
3:Vertical Saas での成功事例がない為、先行した例に沿ってゴール設定ができない。
4:まとめ
1:他部門連携がうまくいかない(特に開発側)
Vertical Saasにおいて重要な業務の一つとして、「ユーザーヒアリングを開発の機能要件に盛り込む」というものがある。
業界特化型である為、機能開発のユーザーヒアリングが非常に重要です。
(理由は簡単でその特定の業界ユーザーの属性にどこまでPMF(product market fit)した機能を開発できるかがチャーンの阻止にも繋がるから)
Horizontal Saasの様にビジネス業界的に業界を分け隔てることなく、特定の業界のみに便利ではなく、普遍的に便利である機能を実装する為にユーザーヒアリングを行うことと、ある一つの業界を深掘りしていき、その業界属性を持ったユーザーのみに刺さる機能を実装する為にユーザーヒアリングをする事はかなり違った役割を持ってくる。
そうした中でCS(カスタマーサクセス)と開発側で機能要件をまとめていき、機能の修繕や新機能の実装などを行なっていくのであるが、どれだけユーザーヒアリングをしてもVertical Saasの場合は連携が非常に難しい。
理由
業界特化型であるので、マーケットのシェアが大きい大型企業の意向を重きに置いた開発要件で進む場合があり、CSでヒアリングした一般ユーザー(中、小企業)の声が届きにくい。
Vertical Saasの場合はMRR(Monthly Recurring Revenueは、日本語で「月次経常収益」と表現される。)を重視した際に、どうしてもユーザー数を獲得する為に大型企業にアプローチすることがどうしてもある。
どこの企業もそこに関しては仕方がない部分であるが、業界特化型である為、大型企業の意向を重要視すると、こちらは少し危険なものになる。
そうした場合、何が起こるのか..
例えば社員数が1000名を超える企業の機能要望を汲み取り、開発を約束すれば契約するといったことや、契約した後に個社開発の依頼などが発生し、開発側は大型企業の要望のみの開発を行うことになってしまうのである。
そうなるとどういった結果に繋がるのか?
答えは明白である。
業界特化型のSaasにも関わらず、その業界の大多数のマスユーザーに刺さらない機能の開発のみに追われて、プロダクトの質が下がり、ユーザーのリテンションが減るってしまう事象がおきるのである。
業界の水準を測定する為に非常に重要な小規模〜中規模企業など意見はあまり反映されず、的外れな機能ばかりを実装し、結果、開発の死のスパイラルが発生するので、チャーンリスクが上がってしまい、CSの負担が大きくなってしまうのである。
こうなると辛い...
分かりやすい記事に及川さんが記載したものがあるのでこちらも併せてどうぞ。(https://logmi.jp/business/articles/322310)
MRRもしくはARRを重要視していき、アップセルやクロスセルから収益を上げ、会社のデッドラインを少しでも長生きするものにする経営判断なのか、中長期目線でPMF(product market fit)し続け、利用ユーザーのリテンションも高く、その為、チャーンの可能性が減っていく磨きがかかったプロダクトを開発し続けるのか。
どちらを重要視していくかによって、Vertical Saasのプロダクトの質は大きく変わってくる。
なので、CS(カスタマーサクセス )が吸い上げたユーザーのユースケースを含めた機能要件の要望と、開発側の開発キャパシティから判断してCSから受けた機能要件の開発ができるかどうかの判断と、それに関して経営層のプロダクト開発に関する中長期目線の判断(経営状況と鑑みて)がCSと開発側の要望にフィットしているかを考慮して、部門連携を行う必要があるのだが、Vertical Saasの場合はこちらの連携がHorizontal Saasよりも非常にセンシティブなものになってくるので非常に難しいのである。
2:Vertical SaasなのでHorizontal Saasのツールが導入しずらい
これはCS(カスタマーサクセス )に関することに絞りますが...
Horizontal Saas企業向けのユーザー管理のツールやテックタッチのツールがことごとくフィットせず、導入に至りずらい..
世の中に数ある2BのSaas用のSaasサービスは基本的にHorizontal SaaS用として作られており、Vertical Saas用には作られていない。
理由は簡単でVertical Saasの場合は業界特化である為、汎用性に乏しく、プロダクトの質と形態がHorizontal Saasよりも特化しすぎているからである。
例えば、Horizontal Saasのカスタマーサクセス用ツールのhi customerやTechtouch、Gainsightなどは弊社のVertical Saasのサービスには刺さらず、業界特化型であるのでピンポイントで業務を効率化するツールがまだ見つけれれないのが現状なのである.....。(こちらは弊社の場合のみかもしれない子が)
なので、Vertical Saasがこれからの時代に主流になるのであれば、Vertical用のCRMツールやオンボーディングツール、CMSツールなどは今後非常に延びる可能性があるのではないかと思っている。密かに(余談)
3:Vertical Saas での成功事例がない為、先行した例に沿ってゴール設定ができない。
Horizontal Saasなどは日本なので、上場したり、海外展開などをしたりと、成長を続けている先行例があるが、日本におけるVertical Saasのこのような先行例はいまだに存在せず、モデルケースがない為、日本では未だに成長しているが先行例からゴール設定ができない企業が多く存在している。
海外のVertical Saasは、例えばアメリカでは、製薬業界に特化したVeeva(時価総額 約1.2兆円)、教育業界に特化した2U (時価総額 約5600億円)、建築業界特化したProcure Technologies(時価総額 約1000億円)、ウェルネス業界に特化したMindbody(時価総額 約2000億円)などがあり、2016年アメリカのVertical SaaS企業の時価総額は、合計16兆円にまで拡大している。
ただし、これはアメリカでの話である。
日本ではここまで大きく時価総額を伸ばしている企業はなく、また伸ばし続けることができる業界が果たして日本にあるのか、その業界を例え見つけても成長し続けることが出来る市場なのか、と言うこともまだ実証されていない。
なので、幸も不幸も非常に不透明で先が見えないゴールを突き進んでいるのがVertical Saasを運営している企業なのである。
ただ、逆に言えばその不透明さに関しては成長の余地があると言えることは間違いない!
4:まとめ
現在働いている企業内で実際に起こっていることや、一般的なVertical Saasについてあるあるなどを思いのままに書き連ねてきたが、
これには一つ大きな理由がある。
それはまずVertical Saasを提供している会社で働いている方がこの記事を見て何か意見や共感の感想などがあればお聞きしてみたいと考えたからである。
実際に徐々にVertical Saasを提供している企業の中でも台頭している企業は複数出てきた。
例えば、ANDPAD(株式会社オクト) 、ABEJA Insight for Retail(株式会社ABEJA)、Musubi(株式会社カケハシ)などの企業は一度はお聞きしたことがあるかもしれないですね。
今後、ここから上場したり、売却したり、海外展開するなどそれぞれのExitに進んでいくと思われるが、今後が楽しみである。
もし、この投稿に関してなんでも良いのでご意見などがあればぜひコメントしてくださいませ!
では。
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