シェアの医療通訳研修を開催~医療通訳技術をみんなで学びなら得た新たな気づき~
こんにちは!在日外国人支援事業部の山本裕子です。週末に、4ヵ月ぶりに美容室に行って気分爽快です!
さて、本日は、3月3日に会場とオンラインのハイブリッドで、シェアの医療通訳者を対象とした研修を開催しましたので、研修の様子を少しお届けできたらと思っています。
シェア医療通訳者研修の概要
今回は、昨年11月の新規研修・選考会を経て新たに登録となった医療通訳者10名が加わりましたので、ベテラン医療通訳者の皆さんへのおさらいも兼ねて、医療通訳技術の基本的な点や倫理などについて、全国医療通訳者協会の代表理事でシェアの英語の医療通訳者でもある森田直美氏に講師をお願いし、研修を行いました。
内容は、一般通訳と医療通訳の違い、行動規範、スキル、コミュニティ通訳とは、職業倫理とは、などについてです。そして、通訳者の立場を理解するワークや通訳演習などのワークも行いました。ベテラン医療通訳者にとっては当然知っている内容も含まれていましたが、ワークを入れながら、改めて、整理された形で論理的に分かりやすく説明してもらえたため、参加者のほとんどが頻回にうなずきながら、そしてメモを取りながら積極的に参加されていました。シェアスタッフ側も、復習になったり、新たな発見が得られたり、理論的に理解できたりと、大変有意義な時間となりました。
「これは通訳しないで欲しい」と言われたときにどう対応するか
グループワークの1つで、「訳出(通訳)以外の発言を通訳時にすることはありますか?それはどんな時ですか?」について話し合いました。医療通訳者からは、
「医療通訳者の立場からみて、発達のことなどについてどう思うかと、子どもの親から聞かれたことがある。通訳者は、あくまで通訳なので医療的アドバイスはしないことになっていると断った。」
「妊婦など、対象者が女性でイスラム教信者の場合、女医でなければ受診ができないという話になり、その場で事情を通訳者が保健医療福祉従事者に伝え、女医に変えられないかと交渉したり、本人に事情を説明して理解を促すことが必要になった場面があった。」
というような発言がありました。また、
「医師にはこの話は言わないで!と言われることが過去にあったので、先に、"医療通訳者の役割としてあなたが話すことをそのまま訳します"、と伝えるようにしている。」
という発言もありました。このように “これは通訳しないでほしい” と言われた時の対応に難しさを感じたという発言が、別のグループワークでも出ていました。
森田さんからは、対象者が話してくれた内容がとても重要なことだったりもすること、通訳者に話しているということは、誰かに聞いて欲しいという思いがあるかもしれないことなどから、例えば、「相談に乗ってくれるので、私が通訳するから(医師や保健師等に)話しませんか」などと促すことや、「事前に発話は全て訳します」と伝えておくこと、命に係わることは通訳者の守秘義務を越えて言わなければならない場面があり、後から保健師さん等に伝えるなど、いろいろな対応方法を具体的に教えてもらうことができました。
スタッフが改めて実感した医療通訳者の皆さんの場の調整力
医療通訳者が文化的背景を踏まえて対応をしたエピソードとして話してくれた中で、スタッフが印象に残っている発言がありました。
「担当者が妊婦さんに “第一子も同じお父さんですか?” と何気なく質問した。その質問はその国の文化的に妊婦が気分を害するような質問だったため、担当者に言い方を変えてもらうよう相談した。」
という内容です。医療通訳者は、言葉の通訳をするのが役割ですが、その場その場で対象者と保健医療福祉従事者がお互いにより良い関係を築きながら、話ができ、必要な支援が行えるよう、いろいろな配慮をしながら関わってくれていることを実感しました。医療通訳者の方々は本当に大事な役割を担ってくれていると思い、改めて感謝の気持ちで一杯になりました。
これからも、医療通訳者の皆さんの想いを大切にしながら、医療通訳者と共に、保健医療福祉従事者の方々とも連携をしながら、よりよい医療通訳場面にしていけるよう取り組んできたいと気持ちを新たにしました。今後も、医療通訳者の皆さんのニーズを把握しながらいろいろな研修も企画してきたいと思います。
※今回の研修は、新宿区出産・子育て応援事業における通訳派遣事業(委託)として実施しました。
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