やる気を引き出す!東ティモールで保健ボランティア経験共有会を実施しました
日本の皆さん、お元気でお過ごしですか。私は皆さんからの支援にいつも感謝しています。今回は、保健ボランティア活動の担当である私、オクトがメティナロとアタウロで実施した「保健ボランティアの経験共有会」についてお伝えします。
皆さんは保健ボランティアについて覚えてくれていますか?
私が以前書いたブログ「無医村にとどけ!!~東ティモール独自の健康を守るサービスを紹介します。~」も触れていますが、保健ボランティアは、住民たちに病気の説明や予防法・対処法などの情報提供をする他、病気に罹った時の搬送手配の手伝いなども行っており、医療アクセスのよくない地域の住民たちにとって、とても頼りになる存在です。
1.保健ボランティア経験共有会とは?
2019年から始まった事業では保健ボランティアさんたちに研修を提供し、保健教育や村人のサポートをできるよう促しました。この経験共有会を通して達成したい目的は4つありました。
① 保健ボランティアが日々どのような活動を住民の中で行っているのか、お互いに情報交換をする
② 他のボランティア一人ひとりの活動を知ることで、やる気を出し合う③ 自分たちで活動計画を作り、住民に対して情報提供を定期的に行えるようになる
④ 保健センター担当者と村の代表者(村長や集落長)が保健ボランティアの役割や重要性を再認識する
そして、保健ボランティアからの情報提供が定期的に行われることで、住民も健康に気を付け、日ごろから保健施設へアクセスしてくれるといいな、という未来に向けた希望があります。
2.ボランティア活動をおさめたビデオへの反響
経験共有会は、アタウロの4村と、メティナロの2村で実施しました。まずは、保健ボランティア、村の代表者たち、保健センターの担当者の役割についてプレゼンテーションを用いて確認を行いました。次に、保健ボランティアの活動をおさめたビデオの鑑賞会を行いました。このビデオは、東ティモール事務所代表の巣内さんが編集し、完成しました。
ビデオの目的は、保健ボランティアたちのやる気を引き出す目的で作られました。保健ボランティアの中には、自主的に撮影をしたビデオを私たちに送ってきてくれるボランティアもいました。他のボランティアは私たちが訪問して撮影を行いました。
保健ボランティアの活動がおさめられたこのビデオは多くの反響がありました。撮影されなかった(活動実施がなかった)保健ボランティアが、経験共有会の中で「今後は私たちもビデオ撮影に参加できるよう、住民に保健情報提供の活動を続けていきたい」と語ってくれる場面もありました。
ある村の村長は「他の村の保健ボランティアが出来ることは、うちの村でも出来る」と、他の村の事例から学ぶ姿が見られました。保健ボランティアが村の中で健康促進活動をする際、村長、集落長など村の代表者からの理解や協力は不可欠です。こうして村長が保健ボランティアの役割を認識してくれることは、今後の保健ボランティアの活動の励みになります。
ビデオ鑑賞会のあとに保健ボランティアから日々の活動で気を付けていること、どんなことを大切にしているかなどが発表されました。1人の保健ボランティアが、「住民の中でどのような病気が流行っているのか、保健センターや集落長とこまめに連絡を取るようにしている」と言っていて、他のボランティアの刺激になる言葉を伝えていたのが印象的でした。
活動の最後では、ボランティア自身が今後の活動(何をどこでいつするか)を模造紙に記入し、村の代表者と保健センター担当者の前で発表しました。
3.保健センター担当者との協力関係の課題
保健センターには「保健情報促進活動」の担当者が必ずいます。この担当者が保健ボランティアに対して、住民に必要な保健の情報や、情報提供の仕方を教示していくことも期待されています。しかし、これがなかなか難しいのです…。保健センターの担当者は「保健ボランティアが連絡をしてこない」と言い、積極的な働きかけが行われていません。
本来ならば、保健センターの会議には保健ボランティアに参加してもらったり、保健センター担当者から毎月保健ボランティアに連絡をし、活動の定期的なフォローアップをしてもらうなど、協力的な態度を取ってもらう必要があります。それが滞っているため保健ボランティアが能力を発揮する機会が限られているのが現状です。
今回の保健ボランティア経験共有会では、保健センター担当者にも参加してもらい、保健ボランティアの役割を再認識したり、関係性を強化する良いきっかけとなりました。また今年3月から開始したHAKBESIK事業の中でも、着実に保健センター担当者と保健ボランティアの関係が強化されるよう働きかけていきます。
4.経験共有会に参加した保健ボランティアのその後
保健ボランティア経験共有会のあと、とても嬉しいことがありました。それは活動を実施していなかったために、共有会用のビデオを撮影できなかった地域の保健ボランティアのエルメリンダさんとルイスさんからの連絡でした。彼らが自主的に集落長と保健センターの担当者に連絡し、集落の中の妊婦さんを集め、母乳育児と予防接種の重要性について情報提供をしたこと、そしてこれからも妊娠初期の妊婦さんたちを集め、妊婦健診の重要性を伝えるとのことでした。彼らの自主的な活動に私は拍手を送りたい気持ちになりました。
保健ボランティアは、保健省から定義された役割を担った際には、政府から手当が支給されます。例えば移動診療の手伝いをした場合は月5ドルです。
多くのNGOは保健ボランティアに対して、政府の規定に加えさらに手当を支払っていますが、私たちシェアは、支払わない方針をとっています。政府が決めた役割に沿って保健ボランティアが活動を行っているときは、追加の
支払いは必要ないと考えるからです。
しかしながら正直な私の気持ちを言えば、何か大きな保健イベント活動(定義されている以外の活動)が村で行われる際には、彼らに対して日当を払ってあげたい気持ちになります。彼らはボランティアとして多くの活動を担っており、自分たちの生活時間、特に、お金になるような仕事の時間(薪集めやその販売、野菜の栽培など)を割いて、住民のために活動をしているからです。
特に去年は新型コロナの予防接種に際して、住民の情報を保健ボランティアが収集しなければなりませんでしたが、収集リストを県庁に提出した村の代表者のみにインセンティブは支払われ、情報収集のために動いた保健ボランティアには一銭も支払われず、村の代表者たちと保健ボランティアの関係性が悪くなってしまったことがありました。
一度なくしてしまった彼らのやる気を取り戻すには、私も多くの時間を割いて両者とよく話をする必要がありました。このような経緯もあった中、現在、自主的に活動を再始動させてくれた保健ボランティアの二人を誇りに感じています。
私の希望は、将来的にも保健ボランティアが活躍して、住民の中で定期的に必要な情報を提供していってくれることです。彼らの関係性が今後も良いものとして続いていくよう、事業の中で保健ボランティア、村の代表者、保健センターの担当者この3つのセクターの関係性強化に注力していきたいです。新しい事業も皆さんからの応援をお願いします!アリガトウ!
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