見出し画像

リモートワーク、できる人とできない人。一速ギアを上げる働き方の「正解」とは?

Amazonがリモートワークを廃止し、週5日のオフィス勤務を義務化する──。このニュースが世界中を駆け巡り、大きな波紋を呼んだのは記憶に新しいでしょう。

「リモートワーク最高! このまま継続希望!」派と「やっぱり顔を合わせて仕事がしたい!」派。世論は、大きく二分されました。

私は2016年から会社経営をするなかで、従業員が全員集合できるオフィスをもたず、基本の就業形態を「リモートワーク」としており、一定程度「リモートワーク」に理解があります。
また、個人としても複数社が関わる各種プロジェクトに遠方からリモートで関わってきた経験も何度もあり、一度もメンバーと実際に会わずに仕事をしてきた実績もあります。
「リモートワークの賛否」については、SNSなどでは従業員の立場で語られることが多いですが、この記事では“企業(や組織)が一速ギアをあげる”という視点で考えてみたいと思います。


リモートワークの現状と課題

パーソル総合研究所の調査によると、2024年7月のテレワーク実施率は22.6%でした。全国規模で見たときに、リモートワークを実施する企業は新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行後、徐々に減少してきていることがわかります。

同社の調査では、テレワーク実施者の約60%が「生産性が向上した」と回答している一方で、Mental-Fitの調査(2021年実施)では、人事担当者の約6割が「テレワーク導入後に従業員のメンタル不調が増加した」と回答しています。これは、リモートワークがもたらす課題の一つと言えるでしょう。

オフィスワークの価値再考

AmazonのCEOは、オフィス回帰を決断した理由を以下のように語っています。

私たちは新型コロナ拡大前のように、オフィスに戻ることを決めた。社員の学習や連携、企業文化の強化などを容易にするためだ。

Amazon 最高経営責任者(CEO)アンディ・ジャシー

このメッセージには、私も一部同意見です。
特に「企業文化の強化」は、リモートワークだけでは難しいのはこれまでさまざまな場で語られてきていますが、オフィスという「場」が持つ力は決して軽視できません。
例えば、体調の悪いメンバーの仕事を自然とカバーしたり、「これはあなたの得意分野だよね?」と声を掛け合って業務を分担したりする光景は、オフィスワークならではのものです。

リモートワークでも関係性構築はできる?

ただし、リモートワークでも工夫次第で同様の関係性は構築可能です。
一対一で雑談ができる程度の関係性があれば、互いに頼り合うことができます。ただし、相互に自己開示をしており、不得意分野をお互いに認め合っていないと“信頼関係”とまでは言えないかもしれません。
リモートワークでは、「できない!」シーンに立ちあった際、自分の力でなんとかしようと試行錯誤をする機会も多いかと思います。
試行錯誤し、できない点を言語化してから助けを求めることで、メンバーとの信頼関係を深め、ビジネススキルの向上にもつながります。

リモートワークに適した人材とは

私は、リモートワークは一定程度スキルがないとできないと考えます。

  • 自立した考えを持っている

  • 業務に慣れている

  • 組織の目標を理解し、自分の役割を把握している

上記のようなスキルがない場合は、もしくは組織の中で信頼関係が構築されていない場合。お互いの感情の読み取りに時間がかかり、進捗が遅れるケースもあるため、まずは「オフィスワーク」で関係性を深めることが大事でしょう。

ハイブリッドワークの可能性

しかし、だからといってリモートワークを許容していた企業が、突如「週5日の出社強制」をすることは、従業員の感情やライフスタイルを考えると、現実的ではないように思います。
ここで注目したいのが、「ハイブリッドワーク」という選択肢です。

企業文化の醸成や、チームビルディング、組織の上層部の価値観の共有などは、対面が適していることは間違いありません。相互を理解することは、プロジェクトを進める上でも重要です。
なので、オフィスで対面で行う“仕事”は、タスクを進めるよりも“内面の共有”をすることを優先する必要があります。

一方、リモートワークでは、個人レベルに落としたタスクを消化したり、目的の決まっているプロジェクトの進行に適しているでしょう。
プロジェクトメンバーの関係性もできていて、チャットやオンラインミーティングのやりとりで話が済む場合は、わざわざオフィスに出かけて、無駄話をする必要もないでしょう。

ちなみに、シスコシステムズの調査によると、世界全体で約60%、日本では約40%の従業員が「ハイブリッドワークで生産性が向上した」と回答しています。これは、リモートとオフィスのメリットを組み合わせることで、より高い成果を生み出せる可能性を示唆しています。

企業の一速ギアを上げるための働き方

AmazonのCEOの決断は、従業員の置かれた状況を揺るがす大きな変革だったと思います。
でも、それぐらい「対面で話す」ことに企業文化を強化する価値があると感じているのだと理解しています。
私が考えるのは、リモートか対面かという二元論ではなく、両者のメリットを最大限に活かす方法を柔軟に検討し実践していくことが、企業の持続的な成長につながるだろう、ということ。
また、スキルに応じて「出社すべき」と「出社を強要しない」人を分類し、柔軟に対応していくことが、個人のスキルアップにもつながって良いのではないかな、と思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?