2022年6月に観たライブ(never young beach/有馬和樹[おとぎ話]×カジヒデキ/ヤユヨ/OUR FAVORITE THINGS reprise)
6/10 never young beach「おひさしぶりツアー」@名古屋DIAMOND HALL
ネバヤン、3年ぶりのワンマンツアー。ギタリスト阿南が脱退し、新体制をスタートしたばかり&新曲が2年出てない現状ゆえどんなモードかも読めなかった。いきなり「男はつらいよ」のメインテーマで幕を開け、5人のメンバーが車寅次郎の衣装を見に纏ってオンステージする予想外の展開。しかし演奏が始まれば完全にそこは夏。個人的にも2019年の夏フェス以来3年ぶりで、野外でしか見たことないバンドだったから色んなフェスの光景を思い出していった。
短尺の曲をグングンやってさらりと駆け抜けていく軽やかさはいつものように最高だったし、初めてハコで観たから余計そう思ったのか、ダンサブルなグルーヴがバチっとハマっててカジュアルなパーティ感がすごくちょうど良かった。さらに岡田拓郎とDYGL下中という新たなギタリストの参加によってロックンロールなドライブ感が搭載されていたように思う。「やさしいままで」におけるバラードの中の激しいギターソロアレンジは下中ならではだろう。
新曲がどれも良かった。岡田拓郎がペダルスチールを奏でる曲があってそれがもう抜群の情緒で!そりゃネバヤンにあの音色が入るとなると最高だろうと思ってたけども想像以上だった。あと歌詞の内容もに相当驚いた。永遠なる享楽性に身を委ねた情景を初期は多く書き、前作で数歩先にある痛みを描いたその後。次のモードにはもっと大きな視点が含まれているような気がした。コロナ禍を経た、リラックスバンドの行方としてこの動向はすごく興味深い!
6.11 カジヒデキ「ALL YOU NEED IS TEA~ティーこそがすべて~名古屋編」(ゲスト:有馬和樹[おとぎ話])@ K.Dハポン
カジヒデキが1998年にリリースした2ndアルバム『tea』、そのアナログ盤のレコ発として開催された公演。普段はカフェでもある会場ゆえ、アットホームで素敵なライブだった。その温かみに一役飼っていたのは間違いなく、今回のゲストであるおとぎ話の有馬和樹のあのラフなノリがあってこそだろう。名曲「COSMOS」で染み渡り、カジ君的な可愛いポップセンス光る「告白JAM」では軽妙に。バンドの時にはない穏やかな歌声の運び方が凄く良かった。
新曲たちも絶品だったし、シメの「SMILE」の幸せ感ったら!ぽかぽかした気持ちのままカジヒデキの出番へと。『tea』収録曲にまつわるエピソードをまじえつつ、さっぱりとしたアコギによる弾き語り。「あんなに愛しあったのに」ではサニーデイ、「カローラ2に恋をした」でが小沢健二など同時代のミュージシャンの影響や文脈などが語られたことで興味深くその名曲たちを堪能できた。創作や立ち位置の苦悩を経た今の晴れやかさだと思うと感慨深い。
そして後半は有馬和樹とのデュオ編成。ジャンル的には異種に見えるが一緒にやると絶妙に溶け合ってすごくしっくりきた。「シヴィラはある日突然に」、コーラスワーク含めてとてもきゅんとしたし、「新しいサボ」もエネルギッシュで良く、おとぎ話とともに作った「さんでーべいべー」「秋のオリーブ」は息も合って素晴らしい。互いのリスペクトが音楽的ないちゃつきに結びついた幸せな時間だった。にしても有馬さんのカジくんLoveが強すぎ!
6.12 ヤユヨの爛漫ワンマンツアー2022@名古屋CLUB UPSET
信頼と実績のTALTOの新星、ソールドアウトで迎えた1stアルバムリリースツアー3公演目。入場SEが初恋の嵐「Untitled」だったり、リコ(Vo)のルックもどこか90s風味だったり全員22歳のバンドとは思えない懐かしいエッセンスはライブ全編にわたってあった。たとえば1曲目「futtou!!」こそ、彼女たちが聴いてきたであろうテン年代ギターロックの要素はあるが、「うるさい!」はオルタナ感溢れるサウンドに全員で歌うポップなサビなど一癖がすごい。
そしてバラードを堂々と鳴らせるのも、ライブが失われたコロナ禍に台頭してきたバンドならではだ。ブチあげることだけを優先しない、モータウン調のリズムやサイケデリックなギターワークなど特異的な成長を果たしてきたバンドだと思う。妖しく蠢く情念を綴った序盤のハードロックゾーンや、リコがトラメガで歌うノイジーな「ピンク」からガールズポップ感すら漂う「ユー!」の流れなど多彩な音楽性を意図なく取り込んでる感じが無邪気で良い。
ボーカルのリコがピンボーカルですごく動き回るからバンドのアイコン的にキャッチーでとても映えるのだけど、それに匹敵するくらいギターのぺっぺの”シャイなリードギター感“がすごく良かった。ギター掻き鳴らしまくりながら食らいつくみたいにコーラスする感じも凄く好きだ。ネクライトーキー 朝日廉、赤い公園津野米咲、ねごと沙田瑞紀みたいな、リードギターと歌が密接になってる演奏者という感じ。4人のキャラ立ちの良さも素晴らしかった。
6.19 OUR FAVORITE THINGS reprise 2022(王舟/畳野彩加(Homecomings)/澤部渡(スカート)@岐阜・村国座
岐阜・各務原の農村歌舞伎舞台である村国座で開催されたアコースティックイベント。九州住んでた時からいいメンツだ、と思っていたフェスでコロナを受けてサイズは縮小されたけどメンツは王舟、ホムカミ畳野、スカート澤部という至極の布陣。そしてこの会場は今まで行ったどんば場所よりも“まさかライブがこの場所であるとは感”がすごかった。
1番手はHomecomings畳野彩加。弾き語りを観るのは3年ぶりくらいでもうすっかり日本語歌唱も馴染みきっていた。フレーズを循環させ浸らせる「Blue Hour」などはバンド→弾き語りの解体図が見える感じだが、音源では打ち込み中心の「Tiny Kitchen」や新曲の数々はホムカミとはまた別枠でシンガー的な表情も手にしていたような風格があった。「アルペジオ」の素直なポップさ、じっくりとメロディを積み上げる「Here」はアコギ版も絶品。ラストの見知らぬ新曲も凄くエモーショナルで胸に迫った。
2番手は初見の王舟。コロナになってから初めてのライブとのこと。屋内だけどとてつもなく暑いこの会場において、ひとこと歌うだけでも驚くほど涼やかに、ブランクを感じさせない柔和な歌声で風を吹かせてくれた。流浪のフォークから広がって世界の淵まで辿り着きそうなイマジネーションがある。ルーパーを使ってクラップとビートをリアルタイムで多重演奏した「Lucky」と「Thailand」など、ユニークなアプローチも見ることができて楽しかった。ラストは大名曲「
トリはスカート。Living Aloha以来に観た澤部渡の弾き語りは相変わらずのキレと情感の抑揚が抜群。ラブシャでのバンドセットと2ヶ月連続で観たのでアコギスタイルの自由度の高さが印象づいて良かった。季節は少し違うけど「遠い春」がずっしりと届いて胸いっぱいだった。口笛をまじえた「ともす灯やどす灯」の軽妙さも心地よかった。畳野、王舟とのエピソードもまじえつつ段々と最新曲へと運んでく終盤の流れ、そしてラスト「静かな夜がいい」の熱烈な歌唱。良い歌が真ん中に刺さってくる悦び!
まさかの空調なしという過酷な環境で演者3人とも「暑い」が止まらない灼熱アコギイベントだったけど、ものすごく集中して観ることができて大満足。近いシーンで共鳴しあってきた3組だからこそ凄くナチュラルな流れで観ることができた。これでIMAIKE GO NOW、森道市場に続き中部圏のめぼしいイベントはコンプできたかな。そして今日もスカート澤部さんと!サインもいただき、嬉しくって堪らない。
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