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9.27 小山田壮平バンドツアー2019@福岡DRUM LOGOS

小山田壮平(AL/ex.andymori)、初の全国バンドツアーの福岡公演に行った。バンドメンバーはGateballersから濱野夏椰(Gt.)、久富奈良(Dr.)、そしてandymori~ALと共にしてきた藤原寛(Ba.)。おどけながら登場する小山田、とふらりとそれに続く3人。そして1曲目のカウント、曲入りのベースでハッとする。「グロリアス軽トラ」じゃないか!2,3曲はandymoriも聴けるかなぁと思って行ったけれど1曲目からこれは驚く。体に染みついた歌詞でとっさでも口ずさめてしまう!ふと目をやるとギター濱野は見覚えのない楽器を弾いている。ペダルスチールの軽やかな音色が聴こえるが、ペダルはない。あとでラップスチールギターという名前だと判明するが、それはさておき、原曲のノスタルジックな夏の匂いを増幅させてくれる素晴らしいアレンジだ。

そして2曲目もタメまくったイントロでピンとくる、「everything is my guitar」だ。個人的にはandymoriとの出会いの曲で感慨深すぎる。もう10年の前の曲なのか。andymoriのライブは今まで1度しか行けてなく、こうやってビートがあり、ベースがあり、ギターがあるという状態で再び聴くことができるとは!ここ最近の作風はスローなものが中心で、あまり速い曲を歌っていなかったイメージだけに、この選曲は嬉しかった。短い挨拶の後、「雨の散歩道」で一転してフォーキーな歌を聴かせる。ソロでのライブは観たことないはずなのに、どうしてこれ程までにスッと耳に馴染むメロディなのだろうか。「スランプは底なし」なんて曲もあったけど微塵もそんなことを感じさせない、情感豊かで大きな包容力を持ったメロディが素晴らしい。

アコースティックギターの素朴なタッチとスチールギターのほろほろとした音色で生まれ変わった「青い空」は絶品であった。小山田壮平の歌声のエバーグリーンさが、10年前の曲だろうが全く懐古的にしないのが素晴らしい。新たな編曲も、流行のシーンなどどこゆく風な普遍的で愛らしいもので。どこまでも伸びていく晴天が目に浮かぶ。そこから、突然のカバー曲、ゆらゆら帝国「太陽の白い粉」。原曲はじとっとした坂本慎太郎の歌声が癖になる曲だが、小山田のピュアな発声で紡がれると途端に「青い空」に連なるのにぴったりな曲に。そんな空を見上げがちな流れを締めくくるのはandymoriラストアルバムより、ドラマチックな「空は藍色」。こちらは原曲に近いアレンジで、ラストツアーに行けなかった無念も晴らされるようだった。

パーカッションによるぽこぽこしたリズムで、新曲か?と思わせておいての「革命」である。この日、最も豹変していた1曲。原曲は猛ダッシュで障害物をなぎ倒すエネルギーがある曲だが、こちらはアコギのじゃかじゃかした軽快さと、滑らかなベースラインが牽引するポップなものに。これ程までに再編曲しがいのある楽曲だったとは。そして近いアレンジで、ソロの人気曲「ゆうちゃん」。こちらもぴょこぴょこ飛び跳ねるような可愛らしい仕上がりだった。弾き語りとしては音源化されているのだが、バンドアレンジでは録音物にはなっていなくて。早く欲しいなぁと思いつつ、小山田さんは故郷であるここ福岡に引っ越したようで。マイペースにこれからはやっていくのかなぁと思いつつ、気長に作品を待ちたい。ばったり天神で逢うかもなぁ。

フォークソング「私に人生といえるものがあるなら」のカバーも歌われた。フロント3名の美しいコーラスワークには魅了された。カバー曲たちの手広さよ。andymoriの曲も含め、小山田壮平の歌いたい欲求に従って組まれたようなセットリストで。起伏の自在さも含め、彼の自由気ままな雰囲気がそのまま出ているような気がした。生活感がびったりと投影された「ベロべロックンローラー」(タイトルに反して柔らかくてきゅんとなる曲だった)や、情景喚起力が凄まじい「夕暮れのハイ」など、彼の創作の幅は以前よりずっと広がっている。終盤を告げてもう1度拳を突き上げさせる「ベンガルトラとウィスキー」(最高のシャウトだ)、そしてどっしりとしたグルーヴとまくしたてる歌唱がたまらない「Kapachino」でシメ。ここまで70分。早い~!

アンコールではまず小山田と濱野の2人で「ローヌの岸辺」を。神秘的なオーラに包まれる不思議な1曲。スチールギターの音はサイケデリックな匂いも放つのだな。そして藤原寛の口笛からandymoriの「16」を。しみじみと聴き入ってしまう。あの頃、高校からの帰り道に聴きながら<可愛くなれない性格で>という歌詞に自分を重ねたりもしていたが、全然自分は変わってないなぁと思って少し苦笑いしてしまった。幸せな空気の包まれた「サイン」、そしてカントリーな「Sunrise&Sunset」で大団円。まだまだ新人だから曲が少ない、と言っていたので全編通しても90分。しかし、こののびのび続きそうな予感はなんだか嬉しい。性急で焦燥的な時期も良かったけれど、このじっくり聴き入ることができるスタイルも凄く良い。今後もゆるりと!


9.27 小山田壮平バンドツアー2019@福岡DRUM LOGOS  setlist
1.グロリアス軽トラ(andymori)
2.everything is my guitar(andymori)
3.雨の散歩道
4.スランプは底なし
5.青い空(andymori)
6.太陽の白い粉(ゆらゆら帝国)
7.空は藍色(andymori)
8.革命(andymori)
9.ゆうちゃん
10.あの日の約束通りに
11.私に人生といえるものがあるなら(笠木透)
12.ベロべロックンローラー
13.夕暮れのハイ
14.ベンガルトラとウィスキー(andymori)
15.kapachino
-encore-
16.ローヌの岸辺
17.16(andymori)
18.サイン
19.Sunrise&Sunset(andymori)

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