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表現の爆発〜2022.7.9 ゆうらん船 2nd ALBUM「MY REVOLUTION」リリースツアー@鶴舞K.Dハポン
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ゆうらん船の2ndアルバム『MY REVOLUTION』を引っ提げてのリリーツアー初日、名古屋公演が鶴舞のK.Dハポンにて開催された。先月ハポンに行った時にその演奏スペースの小ささに驚き、本当に5人組バンドがここでやるのか?と戸惑っていたのだが本当にしっかりセッティングがなされていた。ドラムは壁にほぼ沿い、鍵盤2台はほぼ客席に食い込んでいる。とんでもない距離感。僕は2階から観たのだがそれでもこの近さだ。東京はキネマ倶楽部でやるバンドを70人キャパで見ることができる、これは贅沢極まりない。
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客席をかき分けるようにして5人が集まりライブはスタート。1曲目は「青い鳥」。アルバムツアーだと思っていたのでこの始まり方はかなり意外だ。いやしかし、どんどん気持ちがほぐれていく。メンバーはまるでスタジオセッションかのような距離感なのだが、聴感は実に晴れやか。続く「山」も、雄大な景色を感じさせる1曲でぎゅうぎゅうづめの会場を一変させていく。
「未来の国」あたりからサイケデリックな匂いが漂い始め、新作の世界観へと自然に橋渡し。そして軽いMCを挟んで『MY REVOLUTION』のゾーンへと突入していく。ざらついたフレーズとじっとりと練り上げるグルーヴが印象的な「Bridge」。森道市場でも聴いたがこういう小さなハコの中で聴くとエネルギーが密度濃く届くように思える。場所に合わせて化けているみたい。
ザクザクとしたサウンドが力強い「Tide」は伊藤里文(Key)がギターを掻き鳴らし、永井秀和(Pf)がピアノインスト「at dusk」を奏でる中でおもむろにセッティングを変えて始まった「hurt」では、本村拓磨(Ba)がシンセを操りビートを構築、砂井慧(Dr)がギターを奏でて永井はパーカッション、、とパートも自由に変化。そして音はダンスミュージック。心地よいカオスが渦巻く。
ひとしきり踊らせた後、アルバム冒頭の「Waiting for the sun」から「Flag」を再現していく流れへ。アルバムを象徴するダウナーで厳かな「Waiting〜」と一転して柔和なメロディが花開く「Flag」でぐっと引き込まれていく。静かに、しかし確かに心の奥に触る音。ゆったりとしたテンポの中、いつの間にか別の場所に辿り着いているかのよう。揺蕩う、という言葉が似合う。
「Flag」のアウトロの余韻の中、伊藤がサンプラーをさばきながら内村イタル(Vo/Gt)が「Parachute」を歌い始める、、そして無機質な音の増幅の後、一拍置いて曲が始まるという息を飲むような繋ぎは森道でも配信ライブでも聴いたことがあるがこの日が1番とぴんと張りつめた空気があった。温かな空気もあるが、この70人が同じように冷たさも共有している。尊い時間だった。
アルバムブロックは一旦終わり、MCで一気に緊張がほぐれていく。本村がライブ映像の撮影許可と拡散の希望を伝えるのでここから何本か撮ってみた。
森道市場で聴いた時も思ったけどやっぱり「サブマリン」は最高ですね、、これはリリース当時にもっと騒ぎたかった曲だ。ほろりと心が解けていくような晴れやかさがある。こんなぎゅうぎゅうな会場でみっちみちで演奏するバンドメンバーたちなのにものすごく開放的。音楽、マジカルすぎる。#ゆうらん船 pic.twitter.com/txwFAjh3Io
— 月の人 (@ShapeMoon) July 9, 2022
「サブマリン」、そしてのどかな調べから突如ノイズの波にのまれる「Cicago,IL」と徐々に気持ちを昂らせながら終盤を飾っていく。
#ゆうらん船 #KDハポン
— 月の人 (@ShapeMoon) July 9, 2022
早く起きたので昨日の続きを。楽器を持ち替えたりチェロが入ってたりした「少しの風」、ライブでどうすんだろうと思ったらガラリと様相を変えて興奮した。アルバムの中でも突出して激しい曲だと思ってたけどここまでとは。ドラムのタッチの緩急が素晴らしい、うねりがある。 pic.twitter.com/60M0tkF9Gu
万感の「少しの風」から、アルバム通り「good morning」がエンドソング。心穏やかにじっくりと日常へと軟着陸していくような温かさがあった。
#ゆうらん船 #KDハポン
— 月の人 (@ShapeMoon) July 9, 2022
アンコール1曲目のこの曲だけでタイトル分からず、、、お詳しい方教えてください!良い曲だ、ムーディで小粋。鍵盤奏者が2人いる強みを味わえるウォールオブサウンド。本村くんもウキウキしながらベース弾いてるし最高の場面だ。あとイタルくんはギタリストとしても華がある! pic.twitter.com/Ae3EbpVCPp
アンコール1曲目は10年近く前からある内村イタルのソロ曲「夜明けのミラーボール」。こうしてリメイクされる曲、これからもあるかもと期待。
撮影可だったので後半はいっぱい撮った。『MY REVOLUTION』の曲ではないけど、やはりゆうらん船のアバンギャルドさを象徴するのは「PIANO」だと思う。ロックバンドとしてのダイナミックさと黙々と踊らせてくるビートと目の前の景色を歪めてくるようなサウンドデザイン。アンコールで昇天。#ゆうらん船 pic.twitter.com/9vG3QMVhkc
— 月の人 (@ShapeMoon) July 9, 2022
ゆうらん船の異常さを象徴する「PIANO」で完全エンドかと思いきや、拍手を辞めなかったのでダブルアンコールが。その場で曲も選んでいた。
#ゆうらん船 #KDハポン
— 月の人 (@ShapeMoon) July 9, 2022
まだまだよかったシーンあるのでいくつか。思いがけず発生したダブルアンコール、曲は「来週のテーマ」。これめちゃくちゃ嬉しかった。もう随分と違うところまで音楽性は羽ばたいてるけど、フォークの風味をシメに持ってくるとこに、ちゃんと通奏しているイズムを感じるのだ。 pic.twitter.com/mHg8fFhC1a
このライブを一言で言うならば"表現の爆発"ということになる。親しみやすさあるフォークロックと、意欲的に先鋭的なサウンドデザインを組み込む高い実験性。どちらかに依ることなく、つばぜり合いながら共に磨かれていくような見ごたえがあった。きっと近いうちにもっと大きなフィールドへと飛び立っていくバンドであるがゆえ、この近さで体感できたことは貴重な経験になったはず。かえすがえす思い出してしまうような、脳裏に焼き付く夜。
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1.青い鳥
2.山
3.未来の国
4.Bridge
5.Tide
6.at dusk
7.Hurt
8.Waiting for the sun
9.Flag
10.Parachute
11.夢見てる
12.サブマリン
13.Cicago,IL
14.少しの風
15.good morning
-encore-
16.夜明けのミラーボール
17.PIANO
-double encore-
18.来週のテーマ
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