私の学び(中国文学)の恩師②
中国国内の都市では北京に親しみを感じている。一番の理由は初訪中で滞在したのが北京だったから。そのほかにも目覚ましく変化する街を定点観測したいから、限られた旅行期間で北京を全て廻るのは不可能だからということもある。そして何度訪問しても飽きない楽しさもある。
そういう訳でほぼ毎年行く旅行の行き先は、大陸であれば北京、そうでなければ台湾とほぼ決まっていた。
しかしコロナ禍になる前、ある場所を訪ねようと思い上海に行先を変えた。実に25年ぶりの上海だった。
その場所は「巴金故居」
私は通信制の大学で中国文学を学んでいた。通信制大学は通学と違って、年齢も、バックボーンも、目的も、職業も住んでいる場所も様々な学生が散らばって在籍している。顔を合わせる機会は年に数回のスクーリングの機会しかない。授業が終われば、遠方の自宅に帰るため早々に大学を後にする。遠くは北海道、中国に駐在中という人も中にはいた。今のようにSNSがそれほど発達はしていなかったので、連絡はもっぱらメール。あとはネット上にブログを開設してお互いの近況を知る(知らせる)という事もやっていた。
最初は学生同士知った人間しか閲覧されていなかったが、私はそのブログ上で、あまりにも巴金、巴金と連呼するものだから声を掛けてくださった先生がいた。
その方が第二の恩師だ。私が卒業論文の進捗をブログに書くと、そっと参考文献を提示してくださったり、その先生がいらっしゃる大学で開催される巴金関係の講演会に参加しないかと声をかけてくださったりして本当に良くしていただいた。先生が書かれた著書を送っていただいたりもした。今や中国文学は私にとって完全に趣味・道楽となり、あの当時のように腰を据えて読むことはすっかりなくなってしまったが、緩やかにつながり勉強させていただいている。
前回の上海に行くときにもSNSでいろいろ教えて頂いている。おかげで上海で中国文学を巡る旅が充実したものになった。
その先生もそろそろ定年退職されるとのこと。研究室を整理されるときには本を沢山送ってくださり、今でも気にかけてくださっている。先生の期待に応えることはもうできなくなってしまったけれど、今後も巴金の一ファンとして楽しんでいければと思っている。