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タンザン鉄道 備忘録兼日記

2024年11月、ザンビアに交換留学中、期末テスト月間に約1か月間ひまな時期がありケニア・タンザニアを旅していた。
期末テストを受けるためにザンビアに帰る際、タンザン鉄道で戻ろうとした時の備忘録兼日記。



そもそもタンザン鉄道ってなんぞや

おそらくこの記事にたどり着く人はそんなこと百も承知の上かとは思うが、理解を深めるため一応書いておく。

タンザン鉄道
Tazara railway

東アフリカ,タンザニアのダル・エス・サラームからザンビアのカピリ・ムポシまで,延長1859kmの鉄道ローデシア白人政府の一方的独立宣言(1965)に対抗して,ローデシアを通らずにザンビアの銅を搬出するために計画された。1970年にタンザニア,ザンビア,中国の三国間で協定書が調印され,中国の援助により建設された。鉄道建設費と機関車・車両購入費の総額約4億5000万ドルは無利子借款によりまかなわれ,約2万5000人の中国人と5万人の現地アフリカ人の労働が投下されて,75年10月23日に正式に竣工した。軌道幅は1067mm(狭軌)で,300の橋梁と23のトンネルがある。鉄道の運営はタンザニアとザンビア両国政府共同所有の公社が行っている。
執筆者:吉田 昌夫
(コトバンクより https://kotobank.jp/word/%E3%81%9F%E3%82%93%E3%81%96%E3%82%93%E9%89%84%E9%81%93-3183005

ちなみに執筆者の吉田昌夫さんは「ウガンダを知るための53章」(2012年)と「ウガンダを知るための62章」(2025年)の著者でもあった。

中国の援助で作られたんだなぁと実感できる看板


Dar es salaam - Mbeya


毎週火曜と金曜の運行、14時発の予定だけど、だいたい遅れる。というか予定通りにいかない。

11月13日(水)にダル入りした私は15日(金)の列車に乗りたかったが、Tazara駅(https://maps.app.goo.gl/6sXc3LLxCSpnmucd8)のチケットカウンターに行くと
「金曜はメンテナンス🚨🚨次は火曜だよ」
と言われてしまい、仕方なく次の週の火曜日を目指すことに。

トルコのブルーモスクかというくらいかっこいい駅舎

ついに火曜日を迎え、予約していたチケットの支払いと受け取りのため13時半頃にチケットカウンターに行ったところ、
「problemが発生して列車がまだ到着していないので、22時発になるよ」
と言われた。二度目になるが予定発車時刻は14時である。

さらに17時頃に
”The train has been cancelled”
のスワヒリ語アナウンスが入り、払い戻しする羽目に。

払い戻しの図

2日で離れる予定だったダルで4日延泊、つまり6泊し(泊めてくれた友人には本当に感謝)、さぁ、ついにザンビアに戻るぞ!という日に列車のキャンセル。メンテナンスしたんじゃなかったのかよっ、と思わなくもないが、まぁ、This is Africa。ポレポーレ。

列車の等級と値段と予約の仕方

列車にはファーストクラス、セカンドクラス、スーパーシート、サードクラスの4つがある。
以下の写真はすべてザンビアサイドで乗った時の写真たち。

First class → 4人部屋、扇風機付いてるけどスイッチの場所不明、コンセント付き、毛布付き(写真撮り忘れた)

Second class → 6人部屋、写真の部屋は毛布が無いが、客が入っている部屋には毛布があるのかどうかは不明。

セカンドクラス

Super seat → 1人1席(指定席かどうかは不明)、コンセントなさそう?


スーパーシート

Third class → ボックス席、一番混む、たぶん人が多すぎたら床に座ることになる、座席はクッションがはみ出てたり板がむき出しになってたりする、
コンセントなさそう?

サードクラス

Dar - Mbeya間の料金は、

First class     44200シリング(2,560円)
Second class  36800シリング(2,132円)
Super seat        ?(聞かなかった)
Third class   14800シリング(857円)

1週間前の13日(水)の時点で次週火曜のセカンドクラスが売り切れていた。その時はファーストクラスとセカンドクラスしかないのかと思っていたため、ファーストクラスを予約した。
が、のちにサードクラスまであることを知り、what's appで「サードクラスに変更することはできますか?」と聞いたが、「もう売り切れた」と言われてしまった。(ダルエスサラーム駅のチケットカウンターのワッツアップナンバーは+255778291777)

チケットカウンター

こんな風に書いてあったらセカンドクラスまでしかないと勘違いするのも無理はないと思う。

ちなみにザンビアサイドの列車予約はこの番号からできるよと教えてもらったこの番号。ワッツアップで連絡可能だが既読、返信が遅く、自分がザンビアサイドの駅(ナコンデ)のチケットカウンターに着く方が早かったので、これに頼りすぎない方がいいかもしれない。

ナコンデ駅チケットカウンターのナンバー


売り切れたと言われたサードクラスだが、19日(乗る当日)の14時頃から立つ人用(立ち見ならぬ立ち乗り)のチケットの列ができていた。つまり「売り切れた」と言われたのは、サードクラスの「座れる方」のチケットだったよう。


サードクラス立ち乗り用チケットの列



ザンビアサイド Nakonde - Kapiri Mposhi 間のサードクラスでは、床に座っている人や立っている人はおらず皆ちゃんと着席していたため、立ち乗りチケットはなかったみたい。ということは、タンザニアサイドよりもザンビアサイドの方が混まないのかもしれない。


どうやって帰ろうかな

19日火曜日の便がキャンセルになってしまったが、どうしてもタンザン鉄道に乗りたい→ザンビアサイド(Nakonde→Kapiri Mposhi)に乗ろう!じゃあダルからどうやってナコンデまで行こう、という話。
SGR(最近開通したらしい新幹線みたいなやつ)で首都ドドマまで行き、
そこから国境の街トゥンドゥマまでバスで行こうかと思ったが、
Tazara駅のparcelカウンターのおじちゃん、Mr.Bagaに

「ナコンデに行きたいならドドマに行くと逆に遠回りになるから、トゥンドゥマまでバスで行って、明日の夜18時だか19時ナコンデ発の鉄道に乗ったらいい。トゥンドゥマまで行く夜行バスのコンダクターの友達がいるから紹介するよ」

とナイスな情報をもらい、バス乗り場まで移動して20時に乗車、出発。
トゥンドゥマには翌日17時頃到着と聞いていたが、14時半頃に到着。
(バス乗り場はここらへん👇
https://maps.app.goo.gl/ohsmgYeMWumcH5LJ8?g_st=com.google.maps.preview.copy


Nakonde - Kapiri Mposhi


バスを降り、コンダクターのおじさんに紹介してもらったおじさんC(登場人物おじさん多すぎ)に国境のイミグレまで案内してもらい国境を越え、引き続きおじさんCの案内でナコンデ駅(https://maps.app.goo.gl/aTpVUqsfgXxFDs6V7)に到着。


ナコンデ駅

オフィスからナコンデ駅までは徒歩で10分ほどだったと記憶している。
道がわからなかったらたぶんそこらへんの人が教えてくれるはずだし、Googleマップにもおそらく出てくる。

17時45分頃にチケットカウンターが開き人がぶわっと一斉に並び始めたので、負けじと列に加わりサードクラスのチケットを無事購入した(限界に挑戦してみたかったため、寝台の無いサードクラスに乗ってみたかった。私の知人の中で一番のアフリカ通の男性の友人には「俺は乗ったけどおすすめしないよ」と言われた。)

一瞬でできた長蛇の列

ザンビアサイド Nakonde - Kapiri Mposhi の料金表

First class      345クワチャ(約1,920円)
Second class   288クワチャ(約1,600円)
Super seat    266クワチャ(約1,480円)
Third class    244クワチャ(約1,360円)

ちなみにおじさんCとイミグレの建物前でザンビアのAirtel SIMカードを売ってたおじさんには

”Today no train, tomorrow “

と言われた(この時はMr.Bagaの情報が間違ってたのかと思った)が、
駅に着いたら周りの人に「今日の20時出発だよ」と言われた。
情報がまことに錯綜している。

どうせ遅れるんだろうなぁ、今のうちにサードクラスがどの車両か確かめておこう、と思い案内をお願いした駅員のお兄さんには

「locomotive problemが起きて、別のlocomotive carを今ムベヤから運んでるところだから出発は22時になる」

と言われた。

ところがどっこい、そのあと同じく列車を待っていたおじさんに

「今日は列車は出ないよ、明日の朝6時出発だ」

と言われ、宿なんて取っていないしみんなそこらへんで雑魚寝しているので、自分もそこに混ざって駅舎の屋根の下でチテンゲを敷いて野宿。


野宿の図

朝5時前に隣で寝ていたおじさんに起こされ、フリッターと砂糖たっぷりあつあつの紅茶で腹ごしらえをし、トイレも済ませて準備万端!と思っていたら7時前頃、

「まだ別のlocomotive carがタンザニアの方にあって、届いてないから出発は10時半だ」

と駅員のおじさんに言われる。


フリッターと紅茶

結局9時頃にゲートがオープンし乗車、10時半過ぎにやっと出発。
聞けば時刻表通りだとMr. Bagaの言っていた通り18時発の予定だったらしいので、16時間半の遅延だった。

全身じんましん

サードクラスは悪くなかったが、ダルの暑さとナコンデでの野宿による寒暖差か、野宿中にダニかノミかなにかの虫にやられたか、はたまた移動の疲れとストレスで体が弱っているところに変な物を食べたかで、全身にじんましんが出てありえないほど痒くなってしまった。
気を失った方がマシなんじゃないかと思うほど痒くて痒くて、発車してからもずーっとあちこち搔きむしっていたら、同じボックス席に座っていたママたちが心配してくれ、乗務員に言ってファーストクラスに移り身体を洗わせてもらうことになった。

まずその乗務員が私のバックパックを抱え先頭に立ってファーストクラスへずんずん進んでいき、ママの一人がバックパック以外の荷物を持ってくれ私の後ろを付いてきてくれた。
私があまりにも辛すぎて途中何度もへたり込んで泣き出して「もう歩けない」とわめくたび、ママが私の腕をがっちりとつかんで立たせ(けっこう痛かった)、私はひどく疲弊した状態でファーストクラスにやっとたどり着いた。

乗務員に事情を説明し、石鹸を借りてトイレルームで水を出してもらい身体を洗うと、先ほどまでのかゆさが嘘のようになくなった。
ちなみにお湯は出ない。


赤いバケツに水を貯めてもらって沐浴。


部屋に戻ると寒さでまたじんましんが出てきそうだったので、そのままファーストクラスの下の寝台で毛布にくるまり寝かせてもらった。

長旅の疲れもあってか思いのほかベッドが居心地よく、そのまま差額を払ってファーストクラスに移動したが、体調が完全に戻ってから一度サードクラスのママたちのところへお礼を言いに行った。

もう二度と同じつらさは味わいたくないので、現地の人に混ざって外で雑魚寝はできないかもしれない。それか、せめて寝袋が欲しい。


さて、ここまで一気に書いて疲れてしまい、数か月空けてしまったのでもう記憶は鮮明ではないが、とりあえずルサカに到着したところまでは書こうと思う(現在2025年2月)。


アフリカの鉄道旅ってどんな感じ?


ナコンデからカピリムポシまでは結局1日と5時間、つまり29時間かかったわけだが、ずっと乗りっぱなしなため、飲み水などの補給は、写真のように駅で停車したときに集まっている(たぶん)地元の人に頼んで、近くの水が出る蛇口でペットボトルに水を入れてもらったり、もしくは水を売っている売り子さんがいればそこから買う。この駅ではなぜ水をタダでもらえたのか…よくわからない。ちなみに駅舎はこの反対側にあった。

他にもマンゴーやらオレンジやら名前のわからない果物やらを売っている子どもたちやおばさんたちもいる。そこはバスなどの移動中にバスに乗り込んで来たりバスの外にわらわら集まってくる売り子さんたちとあまり変わらない。

子どもたちが集まってるところが蛇口。車内からペットボトルを渡して汲んできてもらう。

こちらは11月22日の朝ごはん。
ちなみに21日の晩ご飯は鶏肉とシマだった。両方とてもおいしい。
死ぬほどメンテナンスしたり鬼遅延したりしているガバナンスがばがばなタンザン鉄道だけど、食堂車のごはんを意外にもちゃんとしていた。

コーヒーと紅茶が選べたような気がしなくもない

時間が経つにつれ、他のお客さんたちが途中の駅でどんどん下車していくので、車内が空いてきてちょっと寂しくなったころ。もうサードクラスのおばさんたちも降りてしまった…。
そして私はSIMカードのトラブルでインターネットに接続できなくなり(車内にフリーWi-Fiはありません)、この暇すぎる時間を持て余し、ただひらすらにYoutubeにダウンロードしていた数曲をエンドレスで流しながら車窓の風景に目をやるしかなかった。

ひとりで眺め続ける景色

ちなみにSIMカードのトラブルと思ったものは、ルサカの携帯ショップのお兄さんに見てもらったところVPNの誤作動かなにかでインターネットに繋げなくなったようであり、VPNを切ったら正常に使えるようになった。なぜ誤作動を起こしたかは不明。


カピリムポシ到着

22日午後3時半、ようやくタンザン鉄道の終点であるカピリムポシに到着。さてここからどうやってルサカに帰ろうかと考えていた時、「ルサカに行くやつはバスに乗れー!」と言ってるお兄さんがいたので、チケットを見せて駅を抜け、そのお兄さんに付いて行き駅前に停まっていたミニバスに乗り込む。


カピリムポシ駅

鉄道の到着に合わせてルサカ行きのミニバスがあるのは心強い。夕方4時にカピリムポシ駅前を出発し、ルサカのタウンに到着したのは夜9時ごろ。

ルサカまでの道中

到着したのが暗い時間だったのとネットに繋げずマップが使えなかったのでタウンのどこに降ろされたのかわからず、ヤンゴ(ザンビアで最も使われている配車アプリ)を呼ぶこともできず困ったが、結局流しのタクシーを捕まえ、最初は150クワチャ(812円)と吹っ掛けられたが交渉して100クワチャ(541円)まで下げてもらい、10キロ離れた寮まで帰った。ヤンゴだったらもうちょっと安かっただろうとは思う。

ちなみに、タウンで降ろされたのはおそらくここ。降りた時は全くわからなかったが、タクシーが発車して角を曲がったらすぐにホンダの支店が見えたので、よく知っている場所の割と近くだったことが判明した。


終わりに

タンザン鉄道は日程に余裕がある人、もしくは強運な人が乗れる鉄道だと思います。この記事がこれからタンザン鉄道に乗りたい人の参考になれば幸いです。

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