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学園都市第六位とは?

こんにちは、シャントです。

今回は感想記事ではなく「とある魔術の禁書目録」に登場する、未だ謎に包まれた存在の学園都市第六位「藍花悦」についての記事になります。原作最新刊である創約二巻の内容も踏まえて、ここまでの「藍花悦」に関する情報を自分でも整理する意味で書いていこうかなと。本当はHF第三章や9-nine-シリーズの感想記事を書こうと思っていたのですが、こっちを先に書きたくなりました。とあるに脳を支配された男。

*この記事には創約2巻までのネタバレが含まれます。未読の方はご注文を。

新約の「藍花悦」

〇新約7巻
さて、藍花悦という名前がとあるシリーズにて初めて登場したのはこの新約7巻だった。それまでは学園都市第六位というのは名前さえも分かっていない存在だったわけである。

新約7巻P.350
「おいおい。やめてくれよ」
 ただの徒手空拳でこの結果。となれば、第六位としての力を振るわれればどうなるか…。
「僕の名前は学園都市第六位じゃない。七人しかいない超能力者の一人でもない。藍花悦って名前があるんだからさあ!」

新約7巻では薬味久子によって「人的資源」計画が実行され、保護対象であるフレメア=セイヴェルンをトリガーに学園都市内に人造ヒーローが約7500人出現することとなった。その際にこの黒い革のジャケットをまとった少年の藍花悦は多くの人造ヒーローたちを圧倒している。

しかし、この藍花悦は直後の食蜂操祈の発言によって本物ではないことが示されているのだ。

新約7巻P.351
「……ありゃ?どこかの誰かが演技力を駆使して第六位を騙っているようねえ」

この発言から食蜂操祈は、本物の藍花悦あるいは藍花悦が行っている事業(新約12巻の項目で述べます)について理解していることがわかる。今のところ超能力者内で本物の藍花悦を知っているかのような発言をしたのはこの食蜂操祈のみとなっている。他にも、もともと知っていたかは不明だが、知っていなかった場合に一方通行が学園都市統括理事長になった際藍花悦に関する情報も手に入れたと考えられる。いずれにせよ本物の藍花悦を知る者は少ないとみていいだろう。

〇新約10巻
正直言ってこの巻の藍花悦は登場シーンが一瞬しかない。しかし、藍花悦を理解するために避けられないため紹介しておこう。

新約10巻P.22-23
そのメールは一斉に送信された。
(略)
「…、」
学園都市第六位は手の中で携帯電話を弄んでいた。
(略)
異なる場所で同時に開いたその画面には、短い件名が表示されていた。
魔神オティヌスと、共に行動する上条当麻の殺害依頼について

世界の敵となったオティヌスと共に姿を消した上条当麻を学園都市側は危険視し、超能力者七名に殺害依頼を送ったという場面である。ここから何がわかるのかというであるが、このメールが学園都市上層部から送られている点が重要で、学園都市上層部が本物の藍花悦を把握している可能性があるわけだ。実際この場面の藍花悦が本物か偽物かについて具体的には語られていないが、各超能力者のこのメールに対する反応が同じ場面で描かれている以上、この場面の藍花悦が偽物であるという線は薄いと考えてる。わざわざ統括理事会の勅命が偽物に送られてくるというのも考えづらいというのもある。

ただ、この巻の他にも学園都市上層部が藍花悦について理解している描写が存在している。それは、旧約3巻にて上条当麻が美琴の部屋で絶対能力進化計画の資料を見つけるシーンだ。この場面で上条当麻は自身は読み飛ばしているが、その中に七人の超能力者のデータがあるのだ。このデータは「能力名と共に様々なグラフが描かれていた」とあるように能力内容まで載せているものとなっている。このことから学園都市上層部は藍花悦の具体的な能力まで理解しているということが現時点で判明しているのだ。

〇新約12巻
いよいよ新約12巻。この巻では新約7巻のパートで述べたような藍花悦自身が行っている事業についてなどが初めて明らかとなっている。これまで何もわかっていなかった人物についての情報が出てきたので、読んだ当時は非常にワクワクした。以下が新約12巻で出た藍花悦に関する情報となっている。

・苦境に陥っている者や自分の無力さに悩みを抱えている者などに「藍花悦」の名前を貸すことでその状況を脱するような行動を促すという事業を手掛けている。
・こうした事業は「藍花悦」本人が名前を借りる人物と直接連絡を取り合うという形ではなく、横須賀(スキルアウト)などを雇い彼らに事業を行わせている。
・「藍花悦」の名前を借りる人物の元には偽造された「藍花悦」のIDが送られ、新約12巻時点ではすでに何十人もの「藍花悦」が名前を借りている。

新約12巻でこれらが判明したことによって偽物の藍花悦が存在する理由についても分かるようになった。また、この横須賀という人物は本物の藍花悦に対して「第六位の力があれば回りくどい事をしなくてもテメェの手で救済できるだろうに」と文句を垂れているが、藍花悦はそれに対して「自分で解決しなくちゃ意味がない」と語っているようで、この事業を行う動機として悪意のようなものはないように感じられる。

(ちなみにこの横須賀という人物はSS二巻に登場したキャラクターで、カツアゲをしていたところを学園都市第七位の削板軍覇に乱入され「すごいパーンチ」の前にやられてしまう。その後削板を倒すために削板より上の序列である藍花悦に取り入ろうとするも時給900円で藍花悦の事業のために雇われて酷使される日々を送っているようだ。SS二巻はこうした様々な人物のエピソードが載っており、禁書をある程度わかる方なら誰でも読める内容となっているのでおすすめ。)

創約2巻の「藍花悦」

2020年9月現在、原作最新刊である創約2巻にも藍花悦は登場する。なんとこの巻ではボロボロになりながら戦場に赴く上条当麻の前に本物の「藍花悦」が現れる。(その状況に関しては前回創約2巻の感想記事を書いたのでそちらをご覧ください。)

では、この巻で判明した内容を見ていこう。

・望む能力をイメージすれば、それを相手に使わせることができる(能力を創るわけではない)
・能力の性質上、単独で正義を為せないので、誰の味方をすれば善玉が勝てるかを常に考えている。横須賀などを雇い、各地で「藍花悦」の名前を貸しているのもその一環。
・学園都市にその条件さえ整っていれば、能力によって上条当麻の無くした記憶を取り戻すことも可能である。
・本来であれば絶対に選ばない選択肢として上条当麻に接触してきており、上条当麻を善人ではない偽善者と評価した上で自分はどっちつかずの「偽善者」に関わるべきではない人物だとしている。

これまで語られることのなかった藍花悦の能力について、断片的ではあるものの情報が解禁されることとなった。気になるのは「能力を創るわけではなく使える状態にする」という箇所だろう。藍花悦自身、上条当麻を知っていて接触を図っているのでもちろん幻想殺しのことは知っているはず。なので、仮に能力の範囲が右腕に作用する場合藍花悦の能力は上条当麻に効力がないことになってしまう。食蜂操祈の心理掌握のように脳に働きかける力のだろうか。他に考えられるとしては上条当麻の自分だけの現実に作用する能力などがあるものの予測の域は出ない。創ることはできないと言っている以上、望む力を一時的に使用できるよう自分だけの現実をいじるみたいな能力を僕としては勝手に妄想している。いずれにせよ現時点では藍花悦の能力を具体的に考察するのは難しいというのが僕の見解だ。

また、これは前回の感想記事でも書いたが藍花悦が現在の上条当麻の状況やR&Cオカルティクスが表の世界に進出してやがて学園都市を中心とした科学の世界が危ないというところまでかなり詳細に理解している点が非常に気になっている。接触した時間があまりにもベストタイミングすぎて逆に怪しさを感じてしまう。どうしてかはわからないが上条当麻の記憶喪失や力不足を自覚していることなども知っていて、めちゃくちゃ不気味なのである。そもそも学園都市製の超能力者である藍花悦が魔術のことまで知っていそうな雰囲気を出しているということも疑問で、もしかしたら「藍花悦」への第三者の介入が上条当麻との邂逅前にあったという可能性もありそうだ。

それにしてもこの藍花悦、上条当麻を善人ではないとしたり、自分のような人物はあなたのような偽善者に関わるべきではないと言ったりとやたら上条当麻の善、偽善に拘っている印象がある。記憶喪失前の上条当麻が自らを偽善使いと自嘲していたことを思い出すと、もしかして「藍花悦」は旧約一巻以前の上条当麻に遭遇しているのかもしれない。さらに、上条当麻との問答の末に

創約2巻P.227
「……分からず屋め。そんなに不幸を求めるならば、早死にするがいい。」

という言葉を恐ろしく低い声で上条当麻に吐き捨てているところを見ると、学園都市の「悲劇」を経験した過去があるのかなとも思ったりした。善人、悪人の区別をしていたところからもそういう事情があるような気がする。

余談

学園都市第六位誰だ論争になった際によく登場するのは「青髪ピアス第六位説」なのはよく知られていると思う。デルタフォース中2人が今代の幻想殺しである上条当麻と必要悪の教会に所属する多角スパイ土御門元春なので後一人の青髪ピアスも物語に関わってくる人物だろうという主張だ。加えて、青髪ピアスはそもそも本名が現時点で明かされておらず、その能力も不明となると必然的に怪しいとなるわけである。実際に「藍花悦」の見た目が出ていない以上まだこの説が完全に否定されたわけではないのだが、僕としてはこの説はないのではないかと考えている。理由としては、創約2巻には青髪ピアスも登場することで、この説がかなり有名ということもあって作者の鎌池和馬もおそらく知っていると思うのだ。にも関わらず同じ巻に青髪ピアスと藍花悦を出すのってあからさますぎる気がするのだ。そのため、ミスリードのために青髪ピアスを序盤に出したというのを疑っている。まあこれも推測の域を出ないので真相は鎌池和馬のみ知るという結論に帰着してしまうのだが。

また、藍花悦の名前について調べたところ、「藍の花」の花言葉に「あなた次第」というものがあった。創約2巻から考えると確かに相手の望む能力を使用させるというのは他者依存であるから、「あなた次第」ということにななる。こういうところにもヒントはあるのかもしれない。(他には「美しい装い」というのがあった。)名前にも意味があるとしたら非常に面白い。

おわりに

というわけで、現時点での藍花悦の情報についてここまでぼくの見解も交えてまとめてきました。まだまだ分からない内容が多いというのが現状ですが、創約2巻にしてかなり情報を出してきたというのは今後意外と早く藍花悦について知る機会があるということなのかもしれません。鎌池和馬、待ってるで……

最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。それでは。

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